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森瑤子『非常識の美学』を読んだ感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

森瑤子さんの『非常識の美学』(角川文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。

感想

とても毒が効いている!

いやぁ~、さんの一切容赦が無い書き方が痛快で堪らないです。途轍もない程の毒も効いているので、スカッとした気持ちにもなりました。

特に個人的に印象に残ったのは〈一人遊び〉の部分です。このコラムには3人の馬鹿女が出てくるのですが・・・。

三人よると文殊の知恵という言葉がある。いや、あったというべきか。今や死語だ。三人よると、知能や感覚、集中力、常識などが三分の一に減退する。

と書いています。本当にその通りですね。普通は人が集まれば色々な知恵が出て来て、物事をより良く出来る筈ですが、残念ながらそうはならないとの事・・・。

でも、それだけじゃない。締めも強すぎる程の毒が効いているんです。

口さえ開かなければ、結構いい線いっているんだから。ね?

私はこの部分を電車の中で読んでいたのですが、「ガハハハハハハ!」と大笑いしそうになりましたよ。堪えるのが大変でした(笑)。こんな見事な締めありますか? 私にはとても書けません。

もう私は「ハハァー! 森様、仰る通りでございます」と跪きそうにもなりました(笑)。

他のコラムも面白いですが、私は〈一人遊び〉が1番インパクトがあると感じました。

殆どが今も色褪せない

この『非常識の美学』は文庫化される前は、1990年~1991年頃にかけて雑誌『anan』に掲載されていました。

既に30年以上の時が経っていますが、今読んでも色褪せない事ばかりです。

確かにアッシー君やメッシー君とかは完全に死後ですし、文中で登場する著名人(安井かずみさん、近藤正臣さん、北方謙三さん、岡本綾子さんなど)は時代を感じるものがありますが、さんが指摘している当時の日本人に関しては令和の今でも殆どが通じると私は思います。

勿論、全員がそうではないでしょうが、この時代はまだバブルだった事もあり、男性も女性も何だか軽くて中身が無かったんだな、というのが誌面上から伝わってきました。

まぁ、それは今も変わりませんがね。私も含めて(笑)。

もし現在も生きていたら

さんは1993年7月に52歳で亡くなりました。作家としてはまだまだノリがあった時期でしょう。早過ぎる死です。

1978年に作家としてデビューし、1993年に亡くなるまで数多の作品を出版しました。作家として活動したのは15年程ですが、かなり濃密な作家人生だったと思います。

亡くなられてから30年以上も経ちましたが、今も生きていたらアクティブに本を書き続けていた事は想像に難くありません。

あと、今の日本人をどの様に感じるかを聞いてみたいですが、「どんどん幼稚化しているな」と恐らく思うでしょう。

でも、今は日本人だけでなく世界中の人が幼稚化している気がします。それも老若男女を問わず。まぁ、私もその幼稚な1人ですが(笑)。

今こそ読んでほしい

繰り返し書きますが、2025年の今読んでも面白い本です。雑誌『anan』に掲載されていたので若い女性向きの内容や書き方にはなっていますが、決して若い女性だけに書かれた事だとは思いません。

老若男女問わずに読んでほしいと思いました。

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ABOUT ME
霜柱
ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴いたり、宝塚(全組観劇派)を観たり、スイーツ(特にパフェ)を食べる事が好きです。これらの事を気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿中。