日本のシンフォニック・メタル・バンドが、2021年にリリースした4thアルバム。
全12曲収録。
バンドメンバー
- JULIA:Vocal,Chorus&Choir
- Yoshi:Guitar,Chorus&Choir
- MASUMI:Guitar,Chorus&Choir
- ZARY:Bass,Chorus&Choir
- ShinKi:Drums,Chorus&Choir
- KeiTaro:Keyboards,Chorus&Choir
2nd『ROYAL ETERNITY』と3rd『Gate of Fantasia』に参加していたベーシスト、Shoyoは脱退。新たにZARYという人物を新ベーシストに迎えた。
各楽曲ごとのレビュー
①Earth Beat
打楽器の音(打ち込み?)から始まるインスト。そこに鮮やかなキーボードが重なって展開する。
壮大な曲で、1分20秒程の曲ながらも、緩急があり力強い曲になっている。聴いていると大地を駆ける情景が浮かぶ。
②Cross for Unity
お薦め曲!
力強い疾走曲。豪華なキーボードの音があちこちに入っているメロスピの曲となっている。
完全に攻めている曲でドラムの演奏が目立つ様に感じた。また、コーラスがが荘厳な役目を果たしている。
3:11からキーボードの厚い音から間奏に入る。ギターソロだけでなく、キーボードソロも少しだが入っているのが良い。
個人的に歌メロはBメロが1番良かった。
③Balsam
音が色々詰め込まれており、一筋縄ではいかない曲である。
ヘビー且つシンフォニック且つトリッキーな雰囲気。サビはメロディアスだが、それ以外は殆どヘビーで激しい。楽器はベースが結構目立っている様に思えた。
最初の歌詞を歌う加工されたJULIAの不気味でありながらも、ややおちゃらけた歌声が印象に残った。
④Another Way
ハードな疾走曲なのだが、今作の中ではポップに感じた。
勇ましいコーラス(2:54~3:09)とジャズの香りがするピアノ(3:28~3:36)が特徴的な曲だ。
しかしそれ以外は、正直あまり印象には残らなかった。
⑤TRUE CASTLE
ややローファイなキーボードから始まるミドル・テンポの曲。
ストリングスのサウンドが活躍しており、ドラムの演奏も目立つ。また、男性陣の低いコーラスが入っているのが特徴だ。
歌メロは良くも悪くもない。ただ、3:52~4:19のギターソロ→キーボードソロへと繋がる部分は堪らなかった。
⑥Chain
映画のサントラを思わせる、壮大なコーラスとストリングスから始まるミドル・テンポの曲。
この曲はストリングスやコーラスを多用したシンフォニック・メタルになっており、LIV MOONも演奏しそうな曲である。
歌メロは普通だった。
⑦Phantom of Gothica
インスト。ピアノと広がりのあるキーボードから始まるが、そこから激しい展開になる。どの楽器も攻めている演奏をしており、ギターソロやキーボードソロも多い。
特に2:04~2:53のギターソロ→キーボードソロ→ギターソロの展開は圧巻だった。
余韻を残したまま次の曲へ繋がる。
⑧Living on the Stage
お薦め曲!
前曲から繋がった状態で始まるミドル・テンポの曲。
全体的にカラフルで鮮やかであり、ノリも良いのでメロスピファンは喜ぶ曲だと思う。活気もあるのでライブで演奏されたら盛り上がるに違いない。
歌メロもとても印象に残りやすく、2:16~3:10のギターソロ→キーボードソロ→ギターとキーボードのユニゾンソロの繋ぎ方も良かった。
曲の終わりの方にもギターソロが入っているが、絶妙な具合がクセになる。
⑨EXISTENCE
全体的にダークな、ややハイ・テンポの曲。
出だしはシンフォニックだが、それ以降はストレートなメタルの様に感じた。
ギターサウンドも控えめで、メロスピ要素も薄い曲である。
CROSS VEINの中ではやや地味に感じる曲かもしれない。
⑩Beautiful Warrior
お薦め曲!
出だしから急き立てている曲である。疾走感があり、特にAメロに音が「これでもか」という程詰め込まれている。楽器ではドラムが忙しそうに感じた。
メロディがとても印象に残りやすく、「ウォーオーオー、ウォーオーオー」というコーラスも曲を盛り上げるに一役買っていた。
ベースのスラップやキーボードソロも曲に華を添えている。
メロディがしっかりありながらも、骨太で勇ましい曲になっているので、メロスピファンは好む曲だと思う。
⑪Sound of Creation
1分程のインスト。キーボード・サウンドのみの演奏。
ディズニーのアニメ動画のオープニングで使われそうな、軽やかでありながらも、壮大なサウンドとなっている。
⑫Stargazer
お薦め曲!
サビ始まりの曲。出だしは主にKeiTaroのキーボードとJULIAのボーカルのみだが、すぐに激しいバンド演奏となる。
シンプルで疾走感のあるシンフォニックの要素もあるメロスピになっている。
ドラマティックでメロディもとても良く、琴線を揺さぶる。この曲はオープニングに持ってきても映えると思う。
また、キーボードが時折、初期NIGHTWISHやLUNATICAを思い出させる音色を出す所がある。
全体的なレビュー
今作『Life of Veins』を聴いて思った事はまず「音数が多い」という事である。過去3作と比べると桁違いな音の情報量だ。
しかし、ただ音を詰め込んでいるだけでなく、しっかりどの楽器も見せ場がある様な音作りをしているのが良かった。また、力強く骨太な音になっているので、メタル・バンドとしての強さが増しているように感じた。
所が、過去作と比べるとメロディの要素が若干減った様な気がする。確かに②⑥⑩⑫は曲が全体的に輝いていて、メロディもとても印象に残った。
また、①③④⑨はCROSS VEINの中では新しい領域に踏み込んだ曲である。
それだけでなく、過去作と比べると今作『Life of Veins』は、バラエティに富んでおり、シンフォニック・メタルという枠に囚われない姿勢を感じた。
演奏の技術力やJULIAの歌唱表現もパワーアップしている。
しかし、正直それらが上手く消化されていない気がする。
私見だが、JULIAの歌はメロディが満ちた曲で輝くのであって、ヘビーさを重視している曲にはあまり合わないと思う。
今作『Life of Veins』を普通にシンフォニック・メタルとして聴くと「少し違う・・・」様に感じるかもしれない。しかし、躍動感があり、バンドも活き活きと演奏しているのは聴いていて感じた。
正直微妙な曲もあったが、それでも、CROSS VEINの曲は美しい曲である。初めて聴く人には勿論お薦め出来るし、音楽性がガラリと変わった訳ではないので、過去作を聴いた人も受け入れられる作品だと思う。
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