皆様こんにちは、霜柱です。
ヤマザキマリさんの『パスタぎらい』(新潮新書)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
腹が減ってきた!
本作にはイタリア料理だけでなく、他の国々の料理も登場します。どれも美味しそうで「一体どんな料理何だろう?」と興味が湧いてきます。
『パスタぎらい』というタイトルですが、これはパスタを批判しているのではありません。他にも美味しい料理がある事、日本とイタリアではパスタに対して認識の違いがある事など、を意味しているのです。
色々な国で色々な料理を堪能したヤマザキさん。グルメなイメージがありますが、ご本人は決してグルメ評論家や美食家ではないとの事。
ですが、ヤマザキさんの料理の描写の仕方がとても上手いので、読みながら涎が垂れそうになりました(笑)。
ランプレドット、ジェラート、パネットーネ、ブロード、チベットのバター茶などなど・・・。「食べてみたい!」と思う料理が沢山出て来て困っちゃいます(笑)。
日本とイタリアの比較
日本のパンってかなり美味いと言われていますが、それは本当の様ですね。確かにどのパン屋のパンも美味しくて個性的だったりします。
しかし、イタリアのパンはそれ程ではなく、腹を膨らませる以上の物ではない。それが興味深かったですね。
ジャンクフードやお菓子も日本の方が美味しいらしい。
ですが、日本は果物が異常に高いです。しかし、イタリアでは手頃な金額で買えるとの事。この点はイタリアの方が良いですね。
オリーブオイルの話は驚きました。日本でもオリーブオイルを使っている人は多いですが、料理人でもない限り、そんなに拘りは無いと思います。
しかし、イタリアでは各家庭に拘りがあり、どこの物でも良い訳ではないとの事。これもなかなか興味を引きましたね。
そうなると仮にイタリア人に何か贈り物をしようとした時、オリーブオイルを送るのは止めた方が良さそうです。「うちではこのオリーブオイルは使わないよ」という風になるかもしれません。
特に印象に残った話
〈思い込んだらソーセージ〉の話が特に印象に残りました。機内に乗ってソーセージを食べているドイツ人の話です。
ソーセージを食べている描写が途轍もなく上手くて、もう目の前にその光景が明確にありありと浮かびました。読みながら涎を垂らしました(笑)。
こんなにソーセージの美味さを魅力的に書ける人はそうそういないでしょう。あぁ、腹がグーグー鳴ってきたぞ(笑)。
ソーセージは身近な食べ物ですが、至福感を高めてくれる食べ物でもあると私は思います。ただ、自分の家でソーセージを料理しても上手くパリっと感やジューシー感が出ない・・・。
あぁ、魅惑的な食べ物ですなぁ、ソーセージって。
〈串刺しハングリー〉で串に刺さっている料理に関するヤマザキさんの見解は面白かったです。引用すると、
串に刺さったものを食べる時、私たちは皆、三十万年前から変わらぬワイルドでハングリーな精神を密かに覚醒させながら、味わっているのである。
おぉ、そんなに前から人々は食べ物を串に刺していたのですね。それが今日まで継承されている・・・。串に刺して食べるのは日本では焼き鳥がメインですが、結構原始的な食べ方なのかなと思いました。
〈あとがき〉に載っている兼高かおるさんのアフリカでのエピソードも超強烈でした。
アフリカのとある国にいた兼高さん。料理人が鍋の中に何と・・・!
ですが、兼高さんはしっかりと完食をしました。凄すぎます! 私だったら躊躇してしまうでしょう。
私は海外では・・・
食に関するエピソードがてんこ盛りで面白いですが、同時に思ったのは「私は海外では暮らせないなぁ・・・」という事。
実は私は硬水を飲んで、お腹の具合がおかしくなった経験があります。水だけでそうなってしまうのですから、食べ物となると大変な事になってしまうかもしれません。
簡単なまとめ
ヤマザキさんの書き方は決してグルメ通みたいに気取っておらず親近感があります。ですが、料理の描写がとても上手いので、「どんな料理何だろう? 食べてみたい!」と読み手をウズウズさせます(笑)。
イタリア料理に限らず食べる事が好きな人には読んでほしい作品ですね。