皆様こんにちは、霜柱です。
池上俊一(いけがみ しゅんいち)さんの『動物裁判―西欧中世・正義のコスモス』(講談社現代新書)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
様々な動物を人間の様に裁いた
今では信じられませんが、13~18世紀のヨーロッパ(主にフランス)では罪にかけられた動物を人間と同じ様に裁いていたのです。
当時の人達はそれが当たり前で真剣にやっていたのでしょう。
本書には様々な事件がこれでもかと載っています。どれも「本当にこんな事やったの!?」と言いたくなる事ばかり。
裁かれたのも多種多様です。
1番多かったのはブタですが、他には牛、犬、馬、驢馬、ハエ、蜂、ネズミ、毛虫、ヘビなど・・・。
本当に多岐に渡りますね。
それだけでなく、果樹園とか鐘楼の鐘までも対象に・・・。
大部分は死刑になりました。
死刑の方法は絞首刑、火刑、生き埋め、斬首などです。
因みに当時は獣姦もあり、それをした人も処刑されています・・・。
大変申し訳ないのですが、読みながら「ドリフのコントに出来るのでは?」と感じてしまいました。あまりにも奇想天外すぎるので。
因みに日本では動物裁判は無かったとの事。
何故そんな事をしたのか?
沢山の動物に対して法廷手続きをして量刑(主に死刑)を下した例は数え切れない程あります。
しかし、何故動物裁判をしたのか?
確固たる理由はよく分かっていません。
農業の発達や技術革新、異教徒に対する対応、自然との関わりの変化、合理主義・・・。
色々な理由はある様ですが、どれも予想の域を出ません。
タイムマシンがあったら、当時の人に「何故、動物裁判をするのですか?」と聞いてみたいですね。そうしたらどんな答えが返ってくるでしょうか?
簡単なまとめ
本当に信じられない事が書いてありますが、それは現在という観点から分析しているからそう感じるのでしょう。
「動物裁判をしていたなんて・・・。当時は変な時代だったんだな」と判断するのは簡単です。しかし、13~18世紀の長い間、それをしていたという事はそれなりの理由がある筈なのです。ただ、先に書いた様にそれは分かりませんが。
動物裁判に関する本ってなかなか無いと思います。なので、本書は結構貴重な事が書いてあると言えるでしょう。
「動物裁判ってどんな感じだったんだろう?」と、当時の裁判所の雰囲気、人々や動物の様子を思い描きながら読むと、より興味深く面白く読めるのではないでしょうか?






