皆様こんにちは、霜柱です。
日本の西洋中世史学者、朝倉文市(あさくら ぶんいち)さんの『修道院 禁欲と観想の中世』(講談社現代新書)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
修道院の起源から中世末期までの歴史が記載されている
本書は修道院や修道士に関しての歴史(起源から中世末期頃まで)を大体網羅している感じです。
流れが分かりやすいので、この時代の修道院について知る方には良いと言えます。事前に修道院の事を知っていなくても、興味深く読めるでしょう。
載っている内容を一部挙げると、
- パコミオスの修道院
- トゥールの聖マルティヌス
- 聖ベネディクトゥスの『戒律』
- クリュニー修道院
- グレゴリウス改革
- ドミニコ会
などなどです。
個人的には、「禁欲」にあたるギリシャ語「アスケーシス」が元々は❝体を動かしてする訓練やトレーニング❞という意味だった事に驚きました。
深掘りはしていない
確かに流れは分かりやすく、重要な点を要所要所しっかりと抑えていると言えるでしょう。
ただ、その分一つひとつの出来事を詳しく掘ってはいません。
ですので、具体的な事や細部を知りたいという方には、正直印象に残りにくい様な気がします・・・。
あくまで流れを掴むという感じなのでしょう。
印象に残った言葉
トマス・アクィナスの言葉が印象に残りました。何かと言うと、
ただ輝くよりも、輝き照らすほうが大切なように、ただ観想するより、観想しそれを他人に分かち与えるほうがよい。
自分だけ良い気分や満足感に浸るのではなく、それを他の人にも分けて役立てる様に努めなさい。という事でしょうか。
言葉では簡単に聞こえますが、いざこれを実践するとなると難しい…。
簡単なまとめ
修道院や修道士についての起源から始まり、中世末期までの出来事が綺麗に網羅されている感じです。
流れを知りたいという方には良いですが、一つひとつの詳細は書いていないので、それを望む方にとっては本書は違う様に感じるかもしれません。
読み終わって取りあえず思った事は「自分には修道院で生活は出来ないや」という事でしたね(笑)。







