公演の感想 PR

月組公演『桜嵐記(おうらんき)』感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

私はこの間、月組公演『桜嵐記』『Dream Chaser』を観劇しに行って参りました。

↓『Dream Chaser』の感想はこちら

ここでは『桜嵐記』の感想を書いていきます。

感想の前に・・・

現在(2021年8月時点)、東京宝塚劇場の2階ロビーでは、2001年から20年間の月組の東京宝塚劇場公演のチラシと舞台写真が展示されています(写真が不明瞭ですみません)。

真琴つばささんと檀れいさんのコンビ作、『いますみれ花咲く』『愛のソナタ』から展示されています。
私は月組の観劇は、紫吹淳さんと映美くららさんのコンビから始まりました。とても懐かしいです。特に「長い春の果てに」の紫吹さんはとても格好良かったです!

瀬奈じゅんさんと彩乃かなみさんのコンビもとても良かったです。このお2人は私の青春時代のコンビでした。
特に大劇場お披露目公演の『JAZZYな妖精たち』『REVUE OF DREAMS』はとても印象深い作品です。どちらも良い作品なので再演をしてほしいと願っています。

見事な大作!!

まだ観る前で『歌劇』の座談会を読んだ時や、ポスターを見た時は、正直に書きますと「う~ん、どうなんだろうなぁ」とあまり期待していませんでした。

しかし、観劇した時はそれが一気に覆りました。

何と素晴らしい作品だろう』と。

まるで一本ものの作品を観ているぐらいの充実した、とても華やかで見応えの作品だったのです。
月組生全体のお芝居の力も凄くレベルアップしており、それぞれの場面で繊細且つ力強い演技をしていました。
お芝居の月組」と評価されるのも当然でしょう。また、和物というと雪組が1番上手いというイメージがありますが、今回ばかりは、雪組に引けを取らないと言っても納得される人はいるのではないでしょうか?

また、月組生のお芝居だけでなく、演出や構成も良かったです。始まりから終わりまでしっかりと緩急があり、見所のある場面も多かったので、和物が苦手という人も本作『桜嵐記』は受け入れやすかったのではないかと思います。

ただ、今回の作品は南朝と北朝の対立がやや分かりづらかったり、「主人公の楠木正行(くすのき まさつら)って誰? というより正行をまさつらって読むの⁉」と歴史が苦手な私は最初その様に思ってました。
個人的に有名な登場人物といったら、足利尊氏、後醍醐天皇、楠木正成、高師直ぐらいしか知りません。それもただ名前を知っているだけです。

ですので、もしかするとこの時代の歴史に少し詳しくないと、内容があまり頭に入ってこないかもしれません。しかし、そのハンデが合っても、充分にこの『桜嵐記』を楽しんだり感動出来ると私は思っています。

因みに『桜嵐記』の演出は上田久美子先生です。もう「さすが上田先生!!」と喝采したくなります(笑)。
そういえば上田先生は朝夏まなとさんの退団公演『神々の土地〜ロマノフたちの黄昏〜』、望海風斗さん・真彩希帆さんコンビの退団公演『fff-フォルティッシッシモ-』も手掛けています。

もう、トップスターの退団作品の演出は上田先生にお任せで良いのではないでしょうか(笑)?

特に良かった点

ここでは、個人的に印象に残ったシーンなどを書いていきます。

足利尊氏ら北朝の武将が楠木正行らを訪ねる場面

良かった場面は色々ありますが、まずは足利尊氏ら北朝の武将が楠木正行らを訪ねる場面です。
足利尊氏にとって、楠木正行という人物は敵方であっても、とても魅力的な人物に映っています。
その正行に尊氏は「北朝に寝返れ、そして長けた武力で家名をあげよ」(←この様なニュアンスの台詞でした。)と提案してきます。また、尊氏は百合の父親、大田佑則が北朝に寝返った事も告げます。

楠木3兄弟はその言葉を聞いて、これからをどうするべきか苦悩します。しかし、正行が「家名でも忠義でもなく、もっと大きなものの為に己の命を捧げたい」と言い、尊氏の誘いを断ります。

この場面は正行らにとって、決断するのが非常に難しい場面です。仮に北朝に寝返ったとしても誰も責めはしないでしょう。私だったら、やはり自分の命が惜しいので寝返っちゃうかもしれません(笑)。

この場面に登場している人達は、皆さんそれぞれの思いや考えを抱えている表情が出ていて、印象に残っています。
特に個人的に良かったのは足利尊氏を演じた風間柚乃さんです。この場面では風間さんは下級生の方になりますが、もう上級生と同等、いえ上級生を圧倒する程の、落ち着きや貫録を持っていました。特に「何故、南朝に拘る!」という台詞は迫力があったのです。

高師直を演じた紫門ゆりやさんも良かったです。大田佑則が寝返った事にショックを受ける百合に対し、師直は「より良い君主の所に行くのは当然の事。武士とは欲得で動く者」と厭味ったらしく言っていました(笑)。高師直は綺麗な役柄ではないですが、この様な汚れ役に近い役を紫門さんは、他者を寄せ付けない程の負のオーラを出し、見事に演じていたのです。

回想の場面での輝月ゆうまさんのソロ

楠木3兄弟に、輝月さん演じる、父、楠木正成は「民から作った米を食べて生きる武士は、彼等から貰った時間と力を何に使うのか?」と問い、その後、下手で『楠木の歌』をソロで歌います。その朗々とした歌声は涙を誘いました

正成は回想のみの登場で、最初の方では鎧姿で出てきました。鎧姿の輝月さんはとても迫力があり、強そうなオーラを発揮していて、どんな敵もバシバシと倒しそうな雰囲気でした。

しかし、この場面では子供達に、民が我々武士を支えてくれているという、自分1人の力で生きている訳ではないという事を優しく教えている良き父親に観えたのです。表情も鎧姿の時は怖い感じでしたが、この場面では穏やかな表情になっていたのが印象的でした。

出陣式の場面

この場面は1番最後の場面です。

楠木3兄弟達が四条畷に行く前に、暁千星さん演じる後村上天皇に謁見します。この時の場面は本当に華やかで美しいです。それと同時に「あぁ、もうすぐ終演してしまう・・・」という寂しさもこみ上げました。

さんがこの場面でようやく、ちょっとですがソロを歌います。他の場面では、基本的にのんびりとした口調での演技だったので、ソロを聴けて良かったです。さんの歌は上手い事は勿論ですが、聴いていると安心感を覚えるのです。

後醍醐天皇登場の回想シーン

輝月さん演じる楠木正成と同じく、一樹千尋さん演じる後醍醐天皇も回想のみのシーンです。出番は多くないですが、かなりインパクトがあります。
「ハッハッハッハ」と悪魔の様に不気味に笑いながら登場します。1つ間違えたらコミカルな演技になりそうです。しかしそこは「さすが一樹さん!」というべきで、決してその様な軽い感じにはならず、不穏さ・怖さを纏いながら舞台を支配していく力は抜きんでていました。ただ、後醍醐天皇は最後は狂乱して亡くなってしまいます(実際の後醍醐天皇は違うかもしれませんが(笑))。

『王家に捧ぐ歌』のアモナスロ、『ポーの一族』の大老ポーを彷彿とさせるキャラクターでもありました。

先にも書きましたが、本当に素晴らしく見応えのある作品です。
和物が好きな人なら、きっとお気に入りになると思います。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)と宝塚(全組観劇派)が好きです。 ツイッターも行っており、気儘に呟いています。