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宙組公演『NEVER SAY GOODBYE-ある愛の軌跡-』役ごとの感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

私はこの間『NEVER SAY GOODBYE-ある愛の軌跡-』の感想を書きました。

今回は役ごとの感想を私なりに書いていきます。

役ごとの感想

ジョルジュ・マルロー:真風涼帆

世界的フォトグラファーの役。

アナスタシア』で演じたディミトリもそうでしたが、歌がとても上達しているのです。
特に2幕終わりの方で歌う「NEVER SAY GOODBYE」の❝♪グッバーーーイ❞の❝バーーーイ❞の部分では綺麗な高音を聴く事が出来、「真風さんて、こういう歌声も出せるの⁈」と驚きました。その部分だけ目を瞑って聴いたら真風さんとは分からないでしょう。

カメラマンという役柄も似合っていました。真風さんはどの様な姿もサマになりますね。

キャサリン・マクレガー/ペギー・マクレガー:潤花

さんは2役演じています。
キャサリン・マクレガーは劇作家の役、ペギー・マクレガーはジョルジュとキャサリンの孫という役。

キャサリンは最初激高した状態で登場するので、「結構気が強そうだなぁ。この後どの様に展開するんだろう?」と思っていましたが、無事にジョルジュと和解し協力し合える関係になって良かったです。

そういえば、怒りながら登場するのは、綺咲愛里さんが『GOD OF STARS-食聖-』で演じたアイリーン・チョウと重なりますね。

真風さんとの並びは本当に大人の男女という感じになっており、ただ2人が立っているだけで絵になります

歌の場面では上手い時と、そうでない時がありました。アップテンポや元気な曲の時は上手かったですが、バラードやゆっくりした曲になると、ちょっと声が震えて不安定になっている様に感じました。

ペギーは1幕目の最初と、2幕目の最初と最後のみの登場です。
さんは2役演じていましたが、キャサリンの時はしっかりした声、ペギーの時は優しい声という感じで声色を使い分けていました。

また、パンツスタイルも似合っており、本当に華のあるトップ娘役だと思いました。

ヴィセント・ロメロ:芹香斗亜

マタドール(闘牛士)の役。

誰よりも故郷のバルセロナの事を思っており、その為に戦おうとします。しかしその気持ちが強すぎるあまり、2幕目になると仲間とは喧嘩をしてしまいます。

故郷の為に立ち上がろうとする勇気、しかしPSUCやPOUMに振り回されて思い通りにいかない焦りなどが、とても繊細に表現されていたと思います。

コマロフ:夏美よう

ソビエト連邦の文科省諜報員の役。
フランシスコ・アギラールと共に活動し、反乱軍を倒そうとします。

最初、アギラールとは同志の様な関係でしたが、次第に彼の欲望に振り回されていきます。
2幕になってからは、「俺の指示に従え!」と言われる状況になってしまいます。

ヴィセント・ロメロの隠れ家を突き止めた時、暴走するアギラールを躊躇わずに射殺します。そしてジョルジュ達を逃がします。

と言っても、ジョルジュ達の味方になったという訳ではないと思います。戦況を逐一把握し、自分の身が危うくなったら、サッと行動を切り替える事が出来る柔軟な人という事でしょう。

最後の場面は特に難しかったかもしれませんが、アギラールとは違う沈着な男というのを見事に表現していました。

マーク・スタイン:寿つかさ

映画プロデューサーの役。
1幕目のみの登場で、2幕目はほぼ出番無し。

大物の映画プロデューサーらしい振舞いをしており、自分自身の作る映画に自信を持っている事が伝わってきました。

パオロ・カレラス:松風輝

ラジオ・バルセロナのプロデューサーの役。

明るく陽気で前向きな性格。ラジオ・バルセロナのプロデューサーがを解雇された後は、PUSCのチャリティ公演に協力するなど、非常に生きようとする力が強い人物だと思います。
人によっては媚びを売っている様に見えるかもしれませんが、生きている上では仕方の無い事なのでしょう。

役柄も他の登場人物と違う雰囲気を持っていますが、それだけでなくカルロは歌を歌う場面がとても多く目立ちました。

松風さんのソロが沢山聴けたのは嬉しかったです。今後も宙組の副組長として非常に重要な存在であることは間違いありません。

ピーター・キャラウェイ:春瀬央季

キャサリンの作家仲間。

実はキャサリンの事を愛していますが、その思いはキャサリンには届きません。
また、スペインで反乱軍が攻めてくる事態になった時、ピーターはモスクワへ行く事を提案しますが、キャサリンは残ると言い、意見の食い違いが発生します。

1幕終わりの方では、無言でキャサリンに上着を差し出し誘おうとしますが、キャサリンが応じない事が分かると、踵を返して去っていきます。

この時に辛そうな気持ちをしていたのが伝わってきました

春瀬さんは今作で退団です。『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』の時、「綺麗な人がいる!」と思って注目していました。
退団は悲しいですが、最後まで応援をしています。

フランシスコ・アギラール:桜木みなと

人民オリンピックの宣伝部長でPSUC(統一社会党)のメンバーの役。

主人公と対立する悪役。

最初は反乱軍を倒したいという気持ちが他の人より強く、また、支配欲もややあるという感じでしたが、それが段々エスカレートし、最後はスペインを我が物にしようと企てます。
ましてや、最後の方ではキャサリンを自分の女にしようとしますし・・・。これは反乱軍は関係無いですね(笑)。

もしアギラールが反乱軍を倒したら、間違いなくスペインは彼が支配し圧制を敷いていたでしょう。

因みに、登場した瞬間から、もう「私は悪役」という雰囲気が出ていました。
この役を演じている時、桜木さんはイキイキと演じている様に観え、悪役なのに輝かしかったのが高ポイントですね。

このアギラールという役は『オーシャンズ11』で桜木さん自身も演じたテリー・ベネディクトと重なる部分も多いですが、さすがにテリーは人の命まで奪いません(多分)。
ですので、アギラールの方が酷い人と断言出来ます(笑)。

もっと桜木さんの悪役や主人公と対立する役を観てみたくなりました。

アニータ:瀬戸花まり

占い師の役。ヴィセントに協力している仲間。

サグラダファミリアでジョルジュを占う時にソロを歌いますが、朗々とした歌声の中に、妖しさもちょっと含まれているのが印象に残りました。

占い師という雰囲気もしっかりと出ていました。

今作で退団は寂しいですが、退団後もお幸せな人生を歩む事を祈っています。

ラ・パッショナリア:留依蒔世

バルセロナの女性闘士の役。

反乱軍と戦う民衆の1人です。しかし、ただ舞台に登場しただけで迫力(というより、威圧感や圧力感に近いかも)があり「本当に一介の市民なの? 本当は凄腕の女戦士なのでは?」と思ってしまいました。

ソロの歌があり、それにも圧倒されました。
非常に印象深い役でした。

女役でも留依さんは歌がとても上手い、というより、私としては男役の時より伸び伸びと気持ちよさそうに歌っている様に感じました。

「女役に転向しても良いのでは?」とも思いましたが、留依さんは身長が172cmなので無理でしょう。

しかし、「留依さんの女役での歌をもっと聴きたい!」と言わしめる役だったという事は間違いありません。

市長:若翔りつ

バルセロナ市長の役。

1幕と2幕でそれぞれソロの場面がありました。特に1幕目はスペインを守る為に立ち上がろうと奮起していました。

正直、ちょっと舌ったらずな歌い方をしている様に感じました。しかし、歌は上手く迫力があり、しっかりと自身の見せ場を活かしている事が、客席に伝わったでしょう。

スペインの状況を伝える上で、非常に重要な役だったと思います。

エレン・パーカー:天彩峰里

アメリカのスター女優。
マークと同じ様に主要になるのは1幕目です。

自身に人気がある事を鼻にかけていて、高慢な所がある性格です。しかしキャサリンが言う様な、頭空っぽな女優ではないと思います。
女優の仕事に関しては誰よりも、女優という名に恥じない自信やプロフェッショナルさを持っている様に観えました。

沢山の男性からチヤホヤされますが、エレンが好きなのはジョルジュ。しかしジョルジュには受け入れてもらえません。その辛さや悲しさは「運命の人」という歌で伝わってきました

また、エトワールも務めており、その歌は美しさと迫力があり聴く者を圧巻させました。
天彩さんの歌は上手いだけでなく、「もっと聴きたい!」という気持ちにさせてくれます。

天彩さんにとっても、この役は非常にやりがいのある役だったのではないでしょうか。

テレサ:水音志保

ヴィセントの恋人役。
しっかり者の性格で、ヴィセントとは相思相愛の関係。

台詞もあり結構目立っていました。可愛らしさと大人っぽさの両方を兼ね備えている娘役さんだと思いました。

タリック:亜音有星

人民オリンピックの、モロッコのボクシング選手という役。

ヴィセント達と共に、バルセロナの為に戦っていましたが、2幕目で仲間割れをし故郷へ帰ろうとします。しかし途中でPSUCに捕まり、ヴィセントの隠れ家を強制的に案内されます。

正直役柄としては格好良くは無いですし、仲間を売った奴と思われるでしょう。

しかし、これをきっかけにヴィセント達とは和解をし、共に反乱軍と戦う事になります。

人民オリンピックの外国人選手の中で、1番印象に残りました。「ああぁぁ」と膝を崩して泣き叫ぶ姿は真に迫っており、仲間を裏切った事や、それでもその仲間が自分を助けてくれた事に対しての複雑な思いが、その一言にしっかりと刻み付けられていたのです。

エンリケ・ロメロ:奈央麗斗

ヴィセント・ロメロの孫。
ペギーと共にオリーブの丘で祖父母の軌跡を辿ります。

可愛らしい感じの雰囲気で、目に付きました。
ペギーに対して敬語で話していたので、エンリケの方が年下という事でしょうか?

出番は少なかったですが、とても印象に残る役でした。

それにしても、2021年に初舞台を踏んだばかりの方なのですね! 凄い大抜擢です。
これからどの様に活躍するかが気になります。

他の役ももう少し丁寧に描いてほしかったが・・・

個性的だったり魅力的な役が多かった作品ですが、出来たらもう少し1人1人の役をもう少し丁寧に描いてほしかったとも思いました。

特に人民オリンピックの外国人選手は出身地や競技が違いますが、あまり意味を成してなかったです。それぞれ少しのソロで自己紹介みたいな歌を歌いますが、パッパッとしすぎていた感がしました。

また、上級生の方達でもあまり印象付ける役を与えられていなかった様にも感じました。

とは言うものの、今作NEVER SAY GOODBYE』は名作である事は間違いないでしょう。

特にコーラスの力がとても素晴らしく聴いていて圧倒されました。

今後も宙組生のコーラスを活かせる作品を作ってくれると良いですね。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)と宝塚(全組観劇派)が好きです。 ツイッターも行っており、気儘に呟いています。