公演の感想

花組公演『エンジェリックライ』役ごとの感想

皆様こんにちは、霜柱です。

私は先日、花組公演『エンジェリックライ』を観た際の感想を書きました。

今回はその作品の役ごとの感想を書いていこうと思います。

役ごとの感想

アザゼル:永久輝せあ

天界一のホラ吹きの天使の役。

声が他の作品と比べると少し高めになっていて、確かにホラ吹きで悪童、お調子者という感じが出ていました。実際にこういう中学生や高校生がいそうです(笑)。

どの場面も元気一杯に演じていましたが、なかなか体力のいる役だなと思いました。

ただ、懸命に舞台に立ってはいたものの、この役は正直永久輝さんの魅力を引き出せていない様な気がしました。演出の問題もあると思いますが、アザゼルの様なヤンチャな役は似合わないのかもしれません。

あと、もう1つ気になったのはアザゼルの衣裳です。
全身が白に統一されている衣装で、ジャケットの中に白と灰色のトップスを着ている時があります。その衣装の時は天使というより綺麗すぎる囚人に観えたというのが正直な所。

何故、そういう風に観えたのかは上手く説明は出来ませんが、少なくとも天使には観えなかったのです・・・。

今回の役は「ウ~ン・・・」でしたね。それと同時にこういった役は龍真咲さんがやればピカイチだろうなとも思いました。

エレナ:星空美咲

トレジャーハンターで、フェデリコの娘の役。

芯のあるしっかりとした性格という役という事もあり、舞台を力強く引っ張っていました。父親のフェデリコに対しては非常に複雑な思いを抱いていますが、その心情を繊細にしっかりと表現していたのが良かったです。

ソロで歌っている時は、高音がとても綺麗で透き通っていました。星空さんの歌声はエンジェルボイスですね。もっと聴きたい気持ちにさせてくれます。

フェデリコ:凪七瑠海

「エンピレオ」のオーナー、宝石商でエレナの父親の役。

まず声が良かったです。渋みがあり、良い意味での枯れた感じの声になっていました。低音も効いていて魅力的な声です。それだけでなく、一言話すだけで「只者ではない人物だ」というのを見事に表現していたのが素晴らしかったです。

回想の場面では、声を少し若く作っているのもGOODでした。

ソロの歌も聴く者を惹きつけたと言えるでしょう。

演技も歌も迫力が込められていたので、見応えのある役だったと言えます。

今作で凪七さんは卒業します。
まさか、凪七さんが宝塚を卒業する日が来るとは思ってもいませんでした。
ご卒業後も、更なるご活躍と幸せな人生を歩む事を心より祈っております。

アズラエル:美風舞良

人間観察省の長の役。

天界で長として務めている有能な人物(天使物?)という佇まいをしっかりと表現していました。ソロを聴けたのも良かったです。

ただ、アズラエルがヴィータという若い娘に化けて、フェデリコと結婚し出来た子供がエレナだった。
それを告白する場面があります。非常にシリアスな場面の筈です。

確かに「超ヤベー」状況なのですが、その深刻さがあまり伝わってこなかったのです。

何故なのでしょう? ちょっと淡々としすぎたのかもしれません。

天帝:紫門ゆりや

天界を統べる天使の役。

威厳のある風貌ですが、お茶目な部分もあり、そのギャップが印象的でした。

情報屋トト:羽立光来

エレナにソロモンの指輪に関する情報を提供する役です。

気の良いおじさんみたいな感じで、奇を衒わない自然体の演技が印象に残りました。今作で1番リアリティのある役だったと思います。

出番は少なかったですが、貫禄のある立ち居振る舞いで舞台を締めていました。

ミケーレ神父:紅羽真希

孤児院の院長の役。

出番はごくわずかでしたが、エレナの事について語る重要なキャラとなっています。

柔らかい物腰で、言葉の一つ一つに感情を込めて丁寧に話しているのがとても良かったですね。

ラファエル:綺城ひか理

天帝の右腕で、アザゼルと同期の役。

アザゼルの考えや要望に振り回されている姿が愛おしかったですね。真面目な性格の役なので、尚更それを強く感じました。

殺陣の場面があります。「どの様な剣捌きをするのだろう?」とワクワクしながら観ていましたが、何だかほぼ持っているだけだったのです。そういう演出なのかもしれませんが、正直その場面は間延びをした様に感じてしまいました。

今作で綺城さんは宝塚を卒業します。
花組に戻って来たばかりなので、退団発表は寝耳に水でした。
ご卒業後もどうか多幸に溢れた人生を歩む事を心より祈っております。

レベッカ:凛乃しづか

アナウンサーの役。

フェデリコのエンピレオをレポートしてますが、強めにグイグイ来る感じが印象的でした。

キャラ作りでたまたまそうなったのだとは思いますが、凛乃さんの声質や話し方が、純矢ちとせさんそっくりだったのです。目を瞑って聴いたら「純矢さんが出ているのか?」と思う程でした。

ラウロ/フラウロス:聖乃あすか

人間に扮した悪魔の役。
ラウロは仮名でフラウロスが本名です。

実は観劇前に他の方のブログを読んだのですが、そこには聖乃さんの喉の調子が良くなかったと書いてありました。舞台役者は声をとにかく使いますので喉に負担がかかるでしょう。それに今は非常に乾燥もしているので、その影響もあるのかもしれません。

しかし、私が観た時はそんな事は微塵もなかったです。それどころか、朗々として迫力のある心地の良い歌声でした。聴き惚れましたよ。

演技も良かったです。丁寧な口調ですが、自分の願いを叶える為なら躊躇をしない冷酷な面も併せ持っています。それを大仰過ぎず自然に表現していたのが印象的でした。

マリオ警部:一之瀬航季

ICPOの警部の役。

出番は多くはなかったですが、ちょっと大仰な演技が印象に残りました。クセをもう少し強くしても良かったかもしれません。

ジュリオ:侑輝大弥

フェデリコの手下の役。

危ない用心棒みたいな雰囲気が出ていましたが、格好良くて色気もあって素敵でした。特に流し目や目を伏せている時が堪らんのですよ。同じ意見の人がいたら嬉しいな。

あと、侑輝さんはとにかく黒が似合う男役だなとも思いました。

サリエル:希波らいと

人間観察省の天使の役。

序盤から登場してくれたのが嬉しかったですね。

眼鏡をかけていて、ゆったりとした落ち着きのある話し方が、心にしみじみと響きました。

ただ、やや印象に残りにくい役だったというのも正直な所です。希波さんの魅力もあまり引き出せていなかった気もしました。

ファビオ:天城れいん

フェデリコの手下の役。

役柄としては侑輝さんのジュリオと同じですが、侑輝さんよりも若く作り上げていたのが良かったですね。

迫力という点では少し欠けた気がしますが、それはこれから磨いて更にパワフルになるでしょう。

ルーナ:美羽愛

フラウロスの使い魔の役。

まず思ったのがとにかく可愛くてコケティッシュだったという事です。目を引きましたし華もある娘役だなと改めて思いました。

出番が多いのは嬉しかったですが、その割には台詞は少なかったです(登場していても喋っていない場面も多かったので)。
ですが、その分声を聴けた時は何故だか興奮しました(笑)。

他に印象的だったのは、ラファエルと戦っている(?)場面です。
新体操で使いそうなリボンをクルクル振り回しているのですが、これは攻撃しているのでしょうか? 全然効果は無さそうに観えましたが(笑)。何だかアニメっぽい場面でした。

あと、以前にも書いていますが、公演を重ねるごとに愛加あゆさんに似てきている気がするのです。声も見た目も。
でも、私は愛加さんの見た目、声や演技も好きなので、似てくるのは大歓迎です。

花組生の演技力

今作は良くも悪くも異色の作品だったでしょう。宝塚の作品は途轍もない数がありますが、天使と悪魔の両方が登場する作品はそうそうないと思います。

そんな中、花組生と凪七さんは懸命に舞台に立っていました。

ただ、気になった事があるのです。
それは花組生の演技力です。

実はそれに関しては既に書いたのですが、もう1度書かせていただきます。

上手かった人は確かにいますが、全体として観るとメリハリに欠けていたり、ちょっと感情がこもっていない様に思えたのです。

演出や脚本のせいもあるかもしれませんが、今作はそればかりではない様に感じます。

あくまで私の意見ですが、月組や雪組と比べると・・・。下手という訳ではありませんが、「良いお芝居だったね!」というレベルではない。そう思うのです。

まぁ、そもそもこの作品自体が「ウ~ン、何だかなぁ・・・」という感じなのですが、それでもね・・・。

もし、月城かなとさんと海乃美月さん率いる月組、または彩風咲奈さんと夢白あやさん率いる雪組が、この作品を上演していたら全く違う物に仕上がっていたでしょう。

ショーの『Jubilee』の感想に書きましたが、花組はダンスに卓越しています。
キリっとしていて、ビシッと決まっています。

ですが、もう少し全体の演技力も上げてほしい。それが私の願いです。

次回の本公演には期待したい・・・と言いたい所ですが、次回の劇はゲームを原作とした『悪魔城ドラキュラ』です。何だか花組はトリッキーな作品が続きますね。

果たしてどうなるのか? それは実際に観て判断するしかないでしょう。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。趣味はハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴く事、宝塚(全組観劇派)を観る事、美味しい物を食べる事です。これらの事を気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿しています。