皆様こんにちは、霜柱です。
松永俊男さんの『博物学の欲望 リンネと時代精神』(講談社現代新書)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
植物学・博物学の歴史
本書は植物学・博物学がどの様に発展や変遷をしていったか? それを中心に書かれています。
歴史を振り返っている感じになっているので、「現在の植物学を知りたい」という方には、本書はちょっと違うように感じるかもしれません。
植物学者も沢山登場しますが、その中でも絶対に外せないのがスウェーデンのカール・フォン・リンネです。
彼が存在していなかったら、恐らく植物学・博物学は発展が遅れていたかもしれません。
リンネの生い立ちから死去後の動向も載っているので、それに興味がある方は面白く感じるでしょう。
リンネ以外の植物学者が登場する
先にリンネは植物学を語る上で外せないと書きましたが、他にも様々な学者が関わっています。
本書に登場する人物を一部列挙します。
アリストテレス、ギャスパール・ボアン、ジョン・レイ、ツルヌフォール、ベルナール・ド・ジュシュー、ミシェル・アダンソン、A・W・アイヒラー、ハンス・スローンなどです。
リンネの弟子として、ペール・カルム、フレデリク・ハッセルキスト、ペール・レコリング、カール・ペテル・ツンベリーなどがいます。ツンベリーはこの中でも特に有名ですね。
また、伊藤圭介という人物がリンネの体系を初めて日本に紹介したそうです。
どうでしょう。上記の中で知っている人はいましたか?
私はアリストテレスとツンベリーしか聞いた事ありません。それも名前だけで具体的な功績は知りません(笑)。
リンネが初めて使ったのか!
今では当たり前のように雄を「♂」、雌を「♀」として使っていますが、これらは元々は占星術で用いられていたのです。ですので、本来は「♂」「♀」は全く雄と雌に関係ありませんでした。
しかし、リンネがそれらを初めて雄と雌の記号として用いり、その後世界中に広まりました。
雄と雌の記号をその様に使おうと思いついたのは、本当に凄くて慧眼があると言えますね。
簡単なまとめ
植物学の歴史やリンネを中心とした植物学者の事について知りたいと思っている方にとって、本書は入門書として最適だと思います。
平易な文体なので読みやすいとも言えるでしょう。
本書をきっかけにして植物学・博物学に興味が持てたら、他の専門書を読んでみると良いかもしれません。