オーストリアのメロディック・メタル・バンドが2000年にリリースした1stアルバム。
全9曲収録。
バンドメンバー
- Sabine Edelsbacher:Vocals,Backing Vocals
- Lanvall:Guitars,Keyboards
- Kurt Bednarsky:Bass
- Roland Navratil:Drums
[ゲストメンバー]
- Gandalf:Sitar(Track 9),Recording
- Dennis Ward:Mixing
LanvallはEDENBRIDGEでデビューする前に、ソロ作品を3枚(『MELOLYDIAN GARDEN』(’94)、『AURAMONY』(’96)、『THE PYROMANTIC SYMPHONY』(’98))をリリースしている。
ゲストとして、オーストリアのシンフォニック・ロックの才人として、名を馳せているGandalfが全曲レコーディング・エンジニアとして参加、9曲目ではシタールも演奏している。
また、ミキシング・エンジニアとして、当時PINK CREAM 69にいたDennis Wardが参加している。
各楽曲ごとの解説と感想
①Cheyenne Spirit
浮遊感のあるホワーンホワーンしたキーボードと、甘い音色のギターから始まるやや疾走感のある曲。
幻想度が高い曲だが、3:50頃から始まるキーボードソロ、そこから繋ぐギターソロはより幻想度を上げる。ギターリフはあまり激しくない。5:08からサビのリピートだがフェイドアウトしてしまうのが、少し早い気がした。だが、それが逆に「もう1回聴きたい」という気持ちにもさせた。
もう出だしからノックアウトされた。名曲である。別世界へ誘われそうな雰囲気を持った曲である。
②Sunrise In Eden
名曲!!
銅鑼のドーンという音とシタールの演奏で始まるミドル・テンポの曲。ゆったりとしていて、異国情緒のある曲だ。
出だしのギターソロと1:36からの短いギターソロが琴線を揺さぶる。
サビに入るのは3:10頃だが、決して冗長さは感じさせない。
特に5:01頃からのギターソロが入る間奏が堪らない。浮遊感のある雰囲気になり、何回も聴きたくなる心地良さがある。その後シタールソロ→ギターソロと展開をする。6:39頃からシンセコーラスが入る演奏があるが、その部分も魅惑的に感じた。
8:32程の曲だが、決してその長さを感じさせない、不思議な魅力を持った曲であり、非常に中毒性がある。
③Forever Shine On
アコースティック・ギターで始まる落ち着きのある曲。1番のAメロが終わった後に、バンド演奏となる。Sabineのボーカルは2番のBメロまで低めの抑えた様な声で歌うが、2番のサビから高音で歌う。
ただ、高音部は苦しそうに歌っている様に感じた。とは言うものの、その苦しそうな高音が逆に曲に合っているとも感じた。
④Holy Fire
キーボードのリフから始まり、そこにギター・歌と繋がる。今作『SUNRISE IN EDEN』の中では疾走感のある曲。ギターも激しめの音である。
最後のサビは1オクターブ高くなり、この曲でも高音が苦しそうに聴こえる。しかし、相変わらず浮遊感や幻想感があるので、それ程気にならないかもしれない。
⑤Wings Of The Wind
ギターリフとキーボードのジャンという音から始まる曲。
コーラスが活躍する曲であり、今にも天に昇りそうな気持ちになる曲。基本的にゆったりとした曲だが、2:52頃から転調して、やや激しめになる。3:24頃からギターソロ、3:41頃からはまた違う歌メロになる。4:16頃からサビに戻る。
展開が多い曲だが、メロディが印象に残る曲なので、忙しなさは感じなかった。
⑥In The Rain
小鳥の囀りから始まる、ゆったりとした曲。展開は少なく、他曲と比べるとシンプルに感じる曲。この曲も浮遊感があり、聴いていると、良い意味で心地良くなり眠ってしまいそうな気持ちになる。流れに身を任せながら聴くと良いかもしれない。
⑦Midnight At Noon
ドラムの演奏で始まる疾走感のある曲。この曲にもキーボードは入っているが、完全に脇に回っている印象を受けた。その影響か、浮遊感や幻想感は薄れる。サビにコーラスを入れればより良くなったと思う。
曲はサビのリピートでフェイドアウトする。
⑧Take Me Back
しっとりとした出だしで始まる、落ち着きのある曲。とは言ってもバラード曲ではない。幻想感は低めであり、正直今作『SUNRISE IN EDEN』の中では1番ピンとこない曲かもしれない。
バンド演奏だが、中途半端な音作りの様に感じてしまった。逆に完全にアコースティック風にアレンジした方が世界観が出たかもしれない。
⑨My Last Step Beyond
幻想的なキーボードリフから始まり、そこにギターリフと短いギターソロが加わる。
歌が始まるのは1:53頃からであり、2番のサビまでは疾走感がある。ただ、5:00頃から雰囲気が変わり、5:15頃~6:33頃まではシタールの演奏も加わる。その後ピアノソロ、ギターソロと続く。8:00頃から全く違う歌メロになる。ここでも高音部の歌は苦しそうに感じるが、③④と同じく曲に合っていて、逆に魅力を発揮している。
10:45程の長めの曲だが、その長さを感じさせない。それは歌メロが非常に印象に残りやすい事と、展開の仕方が上手いからだと思う。
全体的な感想
非常にクセになり、中毒性のある作品だと思う。
ギターとキーボードは甘い音色で聴者を包み込み、幻想感の高い作品となっている。Sabine Edelsbacherという女性ボーカリストの歌声は線は細いが、浮遊感がある。それが曲と相俟って、より夢心地な世界へ連れていってくれる。
ただ、③④⑨に書いた様に、高音部を苦しそうに歌っている所があるが、それは全く作品の世界観を崩してはいない。恐らく、曲と声がとてもマッチしているからだろう。
この『SUNRISE IN EDEN』は非常に中毒性が高く、何回も聴きたくなってしまう魅力がある。しかし、激しめの曲や、ヘビーな演奏を好む人が聴いたら、「甘すぎる音だ」「これはHR/HMじゃない」と言うかもしれない。確かにそういう人にとっては物足りなく感じる作品だろう。私見なのだが、HR/HMはただ頭を振ったり、興奮させるだけの音楽ではないと思う。HR/HMは別世界へと誘ってくれる美しい音楽でもあるのだ。
普段の日常から少し離れたいと思っているなら、『SUNRISE IN EDEN』は非常にお薦めである。楽な姿勢でこの『SUNRISE IN EDEN』を聴き、その幻想世界へ足を踏み入れ、その世界を篤と味わってほしい。
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