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EDENBRIDGE アルバム『THE BONDING』感想

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オーストリアのシンフォニック・メタル・バンドが2013年にリリースした8thアルバム。

各9曲ずつ収録。輸入盤のみ。

 

バンドメンバー

  • Sabine Edelsbacher:Vo
  • Lanvall:Guitars,Bass,Piano,Keyboards,Kacapi
  • Dominik Sebastian:Guitars
  • Wolfgang Rothbauer:Bass,Grants(Track.7)
  • Max Pointner:Drums

[ゲストメンバー]

  • Erik Mårtensson:Vocals(Track.9)
  • Robby Valentine:Backing Vocals&Choirs
  • Orchestra Klangvereinigung

前作『SOLITAIRE』では正式なベーシストがいなかったが、今作ではWolfgang Rothbauerという人物が加入した。ただ、レコーディングでベースを弾いているのはLanvallである。
Robby Valentineは引き続き、コーラスで参加している。
9曲目ではErik Mårtensson(ECLIPSE、W.E.T.)がボーカルで参加している。

各楽曲ごとのレビュー

①Mystic River

ギターリフで始まるミドル・テンポの曲。
最初に書いてしまうが、演奏やメロディ・展開などどれも「う~ん・・・」という感じである。特に1曲目から、これだとその後の曲を聴く気力が失せてしまう人もいるかもしれない。
オーケストラを導入して、迫力且つ荘厳のあるサウンドにはなっているが、曲がイマイチなので意味を成していない。
先に書いたが、特に1曲目としては、はっきり言ってアウトだろう。

②Alight A New Tomorrow

お薦め曲!

ノリの良い楽曲で、歌メロが覚えやすく印象に残りやすい。また、4分弱という曲だが、その中に起承転結がしっかりとしている。その為、何回も聴きたくなる曲である。
曲としてはシンプルな方だと思うが、その分バンドとしての纏まりが重要になる。この曲では、それがちゃんと整っているのが良い。
因みにギターソロは無いが、全く気にならなかった。

③Star-Crossed Dreamer

バラード曲。
出だしはゆったりとしていて、幻想的なキーボードの音に乗ってSabineが歌い始める。その後、楽器の演奏はピアノやアコースティックギターの演奏に変わり、サビではバンド演奏になる。
メロディアス・ハードのバラード曲に通じるものがあると思う。
物哀しい雰囲気の曲だが、美しいメロディがとても良い

④The Invisible Force

ホラー映画にありそうな効果音で始まるハードな曲。メタリックであり、オーケストラも活躍している曲である。
疾走感や壮大さを感じる曲だが、歌メロがイマイチな為、印象に残りにくい。せっかくのタイトでダイナミックな演奏が活かされていないのが残念である。
因みに、曲の終わりの方で「アッア~」みたいな喘ぎ声が聴こえるが、この部分もホラーっぽさを感じた。

⑤Into A Sea Of Souls

ゆっくりとした渋めの音色のギターで始まるミドル・テンポの曲。
AメロとBメロはそのままゆっくりとした「半アコースティック」な感じで、気怠い雰囲気を出した演奏をしている。サビになると、シンプルなバンド演奏になるが、それでも気怠い雰囲気はある。
2番のサビの後は、オーケストラが入ってやや壮大になる。
EDENBRIDGEにしては珍しいタイプの曲だが、こういう曲もありだろう。

⑥Far Out Of Reach

アコースティックギターで始まる曲。
サビになるとオーケストラが入って壮大な演奏になる。それ以外はアコースティックな演奏が中心だ。
サビまで持っていくのに、結構溜めている感じがする曲である。
歌メロは良くも悪くもなかった。

⑦Shadows Of My Memory

メタリックな演奏で始まる曲。先に書くが中途半端でイマイチな曲である。
まずWolfgangが各Aメロの最初で、Gruntsで歌っている(Sabineのボーカルと共に)。しかし、それが何だか「歌ってすみません」みたいな申し訳なさそうにGruntsをしている印象を受けた。また、WolfgangはAメロ以外では歌っていない。
せっかくGruntsが入っている曲なのだから、もっと振り切ってほしかった(AメロはWolfgangのGruntsのみにするとか、BメロやサビにもGruntsを入れるとか)。
また、歌メロも弱く、特に2番のサビの後の歌メロは蛇足に感じた。

⑧Death Is Not The End

お薦め曲!

冒頭からすぐにピアノ演奏とSabineのボーカルで始まるバラード曲。
この曲は歌メロが美しく、また、印象に残りやすい。Sabineの繊細な声と見事にマッチしている。
曲の展開も上手く、聴く者を引き付ける力がある曲だ。徐々に盛り上がっていく演奏も良い。
奇を衒った事はしていないが、その分メロディの豊潤さが際立っている。
EDENBRIDGEのバラードの中でも、上位になる曲だと思う

名曲だ!

⑨The Bonding

今作1番のお薦め曲!! 是非聴いてほしい!!

約15分30秒という長尺の曲。
展開が多いが、無理矢理な展開はしていない。この曲は特にメロディが際立っている。また、曲を盛り上げる部分やメロディを聴かせる部分などが、しっかりと良い所で入っているので退屈する事は無い。
ゲストボーカルのErik Mårtenssonが曲前半のBメロとサビを歌っている。Sabineとの相性もバッチリである。
8:44頃からカチャピと言う日本の琴に似た演奏が入る。その楽器のきめ細かい音色が曲に、より情感を与えており、そこに少しずつSabineの声やバンド演奏が重なり、曲を豪華にしていく。見事な展開だ。

特筆するのは12:45頃からの歌メロである。非常に琴線を揺さぶるメロディであり、ずっと聴いていたい気持ちにさせる。Robbyのコーラスも活躍しており、メリハリの役目も担っている。

文句無しの名曲である

全体的なレビュー

6th『MyEarthDream』、7th『SOLITAIRE』に続き、今作でもオーケストラを導入している。今作も前作同様、良い曲とそうでない曲にハッキリ分かれてしまうと感じた。
ただ、⑨は非常に優れた楽曲であり、メロディ・曲展開・雰囲気など、どれを取っても素晴らしいので、この1曲を聴く為だけでも、今作『THE BONDING』を買う価値があると私は思っている。勿論、他にも良い曲(②③⑤⑧)はある。それらの曲もメロディやノリが良い。また、オーケストラの演奏がしっかりとバンド演奏と調和もしている。
ただ、そうでない曲(①④⑥⑦)もある。イマイチに感じる理由としては、(前作と共通する部分があるのだが)歌メロが印象に残りにくい事だ。私の場合だが、どんなに壮大でも、技術的なレベルが高くても、歌メロがイマイチと感じてしまったら、その曲は「う~ん・・・」となってしまうのである。
また、EDENBRIDGEはメタル・バンドだが、ヘビーでメタリックなギターリフはあまり向いていないと思う。何故なら、そうなるとSabineの嫋やかな歌声が活かしにくいからである。唯一無二の声質を持ったSabineというボーカリストがいるのだから、彼女の声をもっと活かせる様な曲を多く作ってほしい。

先に書いたが、⑨を聴くだけでも今作は買う価値がある作品である。その珠玉の1曲を、1人でも多くの人に知ってほしい。そして、その曲の世界にどっぷりと浸ってほしい。

所で、今作『THE BONDINGは日本盤が見送られたが、日本での人気が落ちているという事なのだろうか?

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)と宝塚(全組観劇派)が好きです。 ツイッターも行っており、気儘に呟いています。