皆様こんにちは、霜柱です。
私は先日、東京宝塚劇場で雪組公演『蒼穹の昴』を観劇して参りました。
今回は、その観劇の感想を書いていきます。
壮麗で重厚感のある見事な舞台
浅田次郎先生原作の『蒼穹の昴』は、文庫本で4巻に渡る壮大で読み応えのある小説です。
物語もとても長いので、当然全てを舞台に詰め込む事は出来ません。
しかし、それでも原作の重要な所を上手く押さえて纏め上げていました。
演出家の原田諒先生の手腕が光ったと言って良いでしょう。
確かに事前に原作を読んだり、清朝の歴史を知っていないと、ちょっと内容が掴めない所はありますし、知っていた方がより楽しめるでしょう。
因みに私は原作を読んだ事はあります。しかし、もう何年も前に読んだきりなので、綺麗さっぱり内容は覚えていません(笑)。
もう1度、原作を読もうと思いましたが、結局読まずじまいで観劇となりました。
ただ、原作や清朝の事を事前に把握しなくても充分に、今回の舞台を堪能出来ると私は思います。
仮に内容がよく理解できなくでも、煌びやかでオリエンタル性が溢れる清朝の衣装は、もう圧巻です!
和服やドレスとはまた違う魅力があるので、これだけでも観る価値は充分にあります。
全ての作品を観た訳ではありませんが、今作『蒼穹の昴』は中国を舞台にした作品の中では間違いなく上位に食い込むと断言して良いでしょう。
『お芝居の雪組』の完成度の高さ
お芝居の上手さと言うと、月組の名前が1番最初に挙がり『お芝居の月組』とよく表現されます。
勿論私はそれに関しては異論は全くありませんし、その通りだと思います。
しかし、月組に負けず劣らずのお芝居をしているのが雪組です。
非常に深みのある演技をしており、もう魅入ってしまい圧倒されました。
あれだけ重厚感のある作品を上演するには、それだけの演技力が無いと出来ません。ちょっとやそっとの演技力ではすぐに退屈になって現実に引き戻されてしまいます。
そうは全くならなかったのは、雪組生の演技力があってこそです。
因みに今作は専科から6名が出演しています。その方々の力や功績があったのは言うまでもありません。
しかし、仮に専科の方々が出演していなくでも、今作は充分に成り立ったのではないでしょうか?
そこまで思わせる程の深味や奥行きのある演技力が、今の雪組には確実にあります。
専科生の活躍は目覚ましいが・・・
今作には専科から何と6名の方々が出演しています。
京三紗さん、汝鳥伶さん、一樹千尋さん、夏美ようさん、悠真倫さん、凪七瑠海さんの6名です。
特に京さんと悠真さんが本公演に出演するのは久しぶりなので、とても嬉しかったですね。
専科の皆様は芸達者で、一言発するだけでもう惹き込まれます。
それだけでなく、ただその場に登場しただけで舞台の空気を変えてしまいます。
もう「さすが!」としか言いようがありません。
皆様、それぞれ役に嵌まっていて大活躍しており、観ていて圧倒されました。
しかし、それと同時に専科の方々が6名も出演した事により、雪組生への役の割り振りが悪くなってしまった事も事実です。
今作では主だった役以外は、ハッキリ言ってその他大勢という状態でした。それでも雪組生は懸命に演じており舞台を支えていました。
ですが、純粋に雪組生を観たいと思っている方にとっては、その点に関してあまり満足出来ないかもしれません。
私見ですが、専科生の出演人数は2~3名ぐらいが調度良いのでは?と思います。
娘役に対する扱いが・・・
専科生が6名出演した事により、雪組生への役の割り振りが悪くなった事は先に書きました。
その中でも、娘役に対する扱いがあまりにも酷いです。
殆どの娘役はその他大勢と言う扱いでした。
娘役(と言うより女性の役)で目立ったのは、李玲玲を演じた朝月希和さん、白太太を演じた京三紗さん、西太后を演じた一樹千尋さんぐらいです。
ポスターでは夢白あやさんがポスター入りをしていたので、舞台ではどの様な活躍をするのか期待していましたが、何の事はありません。
1幕目と2幕目にそれぞれ少し登場してお終いだったのです。
夢白さんが演じたミセス・チャンは原作では重要な役だったと思いますが、今回の宝塚版では正直言って、いてもいなくても良い存在でした。
全ての役者に上手く役を割り当てる事は難しい事は分かります。
ですが、ここまで娘役達をその他大勢にしたのはそうそうないと思います。その点でもある意味観る価値が言えるのかも(笑)。
宝塚の娘役が好きな方にとっては、今作はお気に召さない可能性が高い気がします。
もう少し娘役にもスポットライトを当ててほしかったですね。
良かった点・気になった点、両方書きましたが、今作『蒼穹の昴』は濃厚で深いお芝居、煌びやかな清朝の衣装やセットなどが楽しめる作品になっています。
叶うならもう1回、生で観たいですね。
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