皆様こんにちは、霜柱です。
私は先日、東京宝塚劇場で『うたかたの恋』『ENCHANTEMENT(アンシャントマン)-華麗なる香水(パルファン)-』を観劇して参りました。
「もう公演はとっくに終了したぞ」という声が聞こえてきそうですが、今回はミュージカル・ロマン『うたかたの恋』(脚本:柴田侑宏、潤色・演出:小柳奈穂子)の感想を書いていきたいと思います。
王道の宝塚を思わせる作品
『うたかたの恋』は1983年に初演をし、その後何回も再演されている名作です。
優雅な音楽に乗せて、主役のルドルフとマリーの結ばれない恋を描いています。
私が初めて観た『うたかたの恋』は真琴つばささんと檀れいさんのバージョンです。ただ、この頃は私がまだ宝塚を生で観ている時期ではなく、宝塚にハマってから過去作を追ってビデオで観たのみです。もしかすると生で観なかったからかもしれませんが、正直言って全然嵌まりませんでした。というより真琴さんと檀さんが全然似合っていない様に感じたのです。内容も全く印象に残っていません。
その後も再演されていますが観ようとは思いませんでした。ですが、今回本公演では30年ぶりの再演、そして今回ルドルフを演じるのは柚香光さん。
ポスターや先行画像を観た時、もう柚香さんの格好良さ・美しさに射抜かれてしまいました。
「正直印象に残っていない作品だけど、潤色と演出は小柳先生だし、何より柚香さんが出るから、これは観ないとアカン!」と興奮したものです(笑)。
いざ舞台が始まったら、あの名曲「うたかたの恋」のイントロが流れ、その後、柚香さんの「マリー 来週の月曜日 旅に出よう」と、マリーを演じる星風まどかさんの「あなたと御一緒なら 何処へでも」という台詞を聴いた時、もう一気に引き込まれました。
柴田先生の手掛ける作品は純愛美しく描いている作品が多く、そこが魅力的だと私は思います。
もう本当に王道の宝塚という感じの作品です。
因みに柴田先生は既に2019年に逝去されているので、小柳先生が潤色と演出をしました。ただ、私は過去作は真琴さんと檀さん以外のは観ていないので、どの様にアレンジしたのかまでは分かりません。ただ、その時よりかはとっつきやすくなったと思います。
全体的にはシリアスで結末はとても悲しいですが、宝塚が好きならやはり1度は生で観ないといけない作品だなぁと痛感しました。
特に良かった所
今作で1番良かったのはマイヤーリンクの別荘の場面です。先に来たマリーはテーブルリネンがかけられたテーブルの下に隠れます。ルドルフは彼女を見つけようとし、その時のやり取りが笑いを誘っていました。
それだけでなく、テーブルの下で猫の様にちょこんと座っている星風さんが可愛らしかったです。
緊張がほぐれる場面でホッコリしますが、逆にこの様な場面を設ける事によって、あまりにも悲しい結末がより強調されるのだろうとも思いました。
「う~ん・・・」と感じた所
美しい王道の宝塚の作品である事は先に書きました。
ただ、正直言って内容自体はそんなに濃いものではないのです。「ハプスブルクがうんたら」「自由主義がかんたら」とか舞台上では何回もその言葉が出てきますが、結局は「周りに反対されている相思相愛の2人が、この世では結ばれないと確信し死ぬ事を選んだ・・・」というだけの話です。
ハッキリ書きますが、ありきたりで何の新鮮味もない話だと言えるでしょう。『ロミオとジュリエット』とそんなに変わりません。
ですが、その様な話でも、この様に高潔(の様に観える)に描き、それを観て観客は引き込まれるのですから、やはり脚本を書いた柴田先生の手腕は凄いという事にもなります。
もう1つ思ったのは、全体的にちょっと冗長に感じた所です。メリハリがあるとはあまり言えない気がします。ですので、人によっては退屈に感じるかもしれません。
柚香光の代表作になる!
主役のルドルフは過去に何人もの方々が演じていますが、柚香さんが登場した時、もう一気に目が柚香さんの方にいってしまいました。
この役は完全に柚香さんにピッタリだと言えます。端正で格好良いお姿は言うまでもありませんが、役柄も柚香さんに合っていました。
思い通りにならない苦悩や苛立ちを見事に演じていたのです。観ていて母性本能がくすぐられました。
また、酒場で酒に溺れてやさぐれている場面がありますが、そのお姿も素敵でした(実際に関わったら、そんな事は言ってられないと思いますが、笑)。
このお姿にやられた方も多かったのではないでしょうか?
柚香さんの出演作は良い作品が多いですが、今作も間違いなく柚香さんの代表作になるでしょう。
以上が私が『うたかたの恋』を観て感じた感想でした。
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