皆様こんにちは、霜柱です。
私は先日、『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』の感想を書きました。
今回はその作品の役ごとの感想を書いていこうと思います。
役ごとの感想
アーサー・コナン・ドイル:彩風咲奈
作家兼医者兼アマチュアボクサー、ルイーザ・ドイルの夫の役。
彩風さんはスタイルの良さに目を引かれますが、今回も例外ではなく足の長さが際立っていました。口髭を付けた姿も似合っており、イケオジでダンディな雰囲気を醸し出していたのが良かったです。
キャラクター的には『夢介千両みやげ』の夢介に、『CITY HUNTER』の冴羽獠を加えて、紳士っぽくした感じに観えました。勿論夢介ほど田舎っぽくはなく、冴羽獠の様にすぐ女に手を出すわけではありません(笑)。
何だかこの作品のアーサー・コナン・ドイルのノリが、上記のキャラクターを彷彿とさせる気がしたのです。どれも彩風さんが演じていたというのもあるかもしれないですが。
今作では笑いを多く取っていましたが、途中ややシリアスな場面もあります。
シャーロック・ホームズがとても売れて有名作家になりはしましたが、自身が書きたい作品と、読者が求める作品に乖離が大きく開き、それに悩まされてしまいます。
コミカルさを交えながらも苦悩している姿を、見事に表現していたと感じました。
また、今作では彩風さんの歌が非常に伸びやかで、聴いていて圧倒されました。ここまで気持ち良く歌っている彩風さんは、あまり観た事が無い気がします。
歌・演技・ダンス、どれも見応え(聴き応え)があり、彩風さんは今まさにトップスターとして非常に熟している、そう感じさせる出来栄えでした。
ルイーザ・ドイル:夢白あや
アーサー・コナン・ドイルの妻の役。
前向きでポジティブな性格です。ですので、登場したらその場が一気に華やいで明るくなりました。
作品の中では1番笑いを取っていた気がします。言動がいちいち大袈裟(勿論良い意味で)なので、観ているだけで面白かったです。でも言動だけではなく表情もとても豊かでしたね。夢白さんは表情の作りが上手いと言えるでしょう。
今作での夢白さんの話し方ですが、まるで洋画の日本語吹き替えの声優の様な感じでした。話している時の声質やイントネーション、アクセントなどが正にその物だったのです。
目を瞑って聴いていたら、日本語吹き替えの洋画だと勘違いするかもしれません。
歌も前より上手くなっていましたね。以前は音程や活舌に不安定な所がありましたが、今回はそれが少し改善されている様に聴こえました。
それにしても、本当に夢白さんは美しいです。
どこにいても目に付きますし、ただ立っているだけで絵になります。この様な事を書くのはちょっと酷ですが、他の娘役の方々が霞んで観えてしまいました。
各組の歴代トップ娘役はどの方々も魅力に溢れていますが、美貌でここまで惹き付けるのは近年では稀な気がします。
まだ役は決まっていませんが、次回の本公演『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』ではマリー・アントワネットを演じるでしょう。
夢白さんのマリー・アントワネットの姿も早く拝見したいですね。
因みに、今回夢白さんが演じたルイーザ・ドイルは潤花さんにも合いそうな気がしました。
シャーロック・ホームズ000:朝美絢
アーサー・コナン・ドイルの著書『緋色の研究』から生まれた名探偵の役。
私の勝手なイメージかもしれませんが、シャーロック・ホームズというと、いつでも冷静で無駄口を叩かない紳士を想像していました。
しかし今回朝美さんが演じたシャーロック・ホームズ000は、少年っぽさが残った雰囲気で、色々喋ったりします。
「この様な描き方もあるんだな」と観ながら感じました。
ノリが良く、良い意味で悪ガキ感のあるホームズになっていたと言えるでしょう。
ただ、観ている分には面白かったですが、いざ演じるとなると結構難しい役だったのではないでしょうか?
それでも、この役を朝美さんはとても楽しくノリノリに演じていた様に思えましたね。
チャールズ・ドイル:奏乃はると
アーサー・コナン・ドイルの父親の役。
重度のアル中に罹り、施設に入れられています。
奏乃さんはアル中に罹ってしまった姿を表情・喋り方・動きなどで見事に表現していました。特に目付きが上手かったですね。
出番は少しだけですが、とても印象に残ったのは流石と言えるでしょう。
欲を言うなら、奏乃さんは歌もとても上手いので、ソロを少しでもいいので歌ってほしかったですね。
ジョージ・ニューンズ:真那春人
ストランド・マガジン編集部のオーナーの役。
オーナーなので、意見を編集部員より編集長に言いますが通らず(笑)。
今作の登場人物の中では貫禄がある方の役でした。とは言ってもお堅い役ではありません。立ち居振る舞いや話し方に貫禄がありながらも、コミカルさを上手い割合で入れていたと思います。
口髭も似合っていましたね。
ハーバート・グリーンハウ・スミス:和希そら
ストランド・マガジン編集部の編集長の役。
頑固で妥協しない編集長で、応募してきた小説を全てボツにしてしまいます。雑誌の売り上げは全く伸びず、他の編集部員から顰蹙を買ってしまう始末です。
しかし、アーサー・コナン・ドイルの書いたシャーロック・ホームズを世間に広めた功績者でもあります。
今回の作品では和希さんの歌が多かったです。
因みに和希さんは3番手ですが、通常の3番手よりも歌が多く長かった印象があります。
和希さんの歌が上手く心地良いのは勿論ですが、安定した演技も素晴らしかったです。
出番も多く、この役をとても楽しんで演じている様に観えましたね。
更なる活躍を期待しましたが、残念ながら今作を最後に和希さんは宝塚をご卒業されます。
いずれは雪組のトップスターに就任して大活躍すると思っていたので、ご卒業されるのは本当に寂しく痛手です。
ですが和希さん自身が決めた事です。千秋楽まで応援して参ります。
そして、宝塚をご卒業された後もお幸せな人生を歩む事を祈っております。
メアリ・ドイル:妃華ゆきの
アーサー・コナン・ドイルの母親の役。
登場した瞬間、妃華さんの美しさに目を引かれました。
出番は少なかったですが、ドイル家の複雑な家庭状況を表していたと思います。
でも、やっぱりもう少し登場させてほしかったですね。
エステル・ロバーツ:沙羅アンナ
心霊現象研究協会の霊媒師の役。
縣千さん演じるミロ・デ・メイヤー教授と共に、インチキ心霊をしています。
インチキとは言っても霊媒師の姿は妖しいだけでなく、色気もあった気がします。
気の強い性格なのも印象に残りました。
沙羅さんは今作を最後に宝塚をご卒業されます。
生粋の雪娘として、雪組を支え続けてきた沙羅さんが去るのは、本当に寂しいです。
宝塚をご卒業された後も、ご多幸な人生になる事を祈っております。
ウィリアム・ブート:諏訪さき
ストランド・マガジン編集部の編集部員の役。
諏訪さんも舞台上で安定した演技をしていて、観ながらとても安心感がありました。
ただ、役柄上仕方が無いのかもしれませんが、ちょっとインパクトに欠けた気がしないでもなかったです。
ロティ・ドイル:野々花ひまり
アーサー・コナン・ドイルの妹、コニィの姉の役。
出番は少なめで、後半の方にならないと登場しません。
しかし、限られた場面の中でも、家族思いである優しい性格の人物だという事が伝わりました。
性格が陽気だとかはっちゃけている訳ではありませんが、舞台上にいると夢白さんが演じたルイーザとはまた違う明るさが舞台に出ていたのが良かったです。
ミロ・デ・メイヤー教授:縣千
心霊現象研究協会の権威の役。
権威となってますが本当は単なるペテン師です(笑)。
実際に存在しない心霊現象を用いて仲間達と共に、信じ込んでいる人々を騙します。しかし後にその仲間達からゆすられてしまう場面は、悪い事をしているとは言え、ちょっと悲哀を感じました。
ですが、最後は書きやすいペンを売るセールスマンになって成功します。まぁ、そのペンも元はと言えば、アーサー・バルフォアにあげたのが、コナン・ドイルに廻って、それが自分の所に戻ってきただけなんですけどね(笑)。
でも、結果オーライになったので良かったと思います。
それにしても、縣さんは本当に色々な役を演じますね。
特徴的な口髭(少しサルバドール・ダリの髭を連想させました。あそこまで極端ではないですが)も似合っており、表情豊かに演技していたのが伝わってきました。
歌も前より上手くなっていた気がします(それでも、ちょっと怪しい所はありましたが、笑)。
本当に縣さんは上手い役者だとつくづく感じました。
ジョー:壮海はるま
郵便配達員の役。
少年っぽさが残る可愛らしい雰囲気と喋り方が印象に残りました。
ビアトリス・エリザベス・B・ハリスン:音彩唯
ストランド・マガジン編集部の編集部員の役。
とにかく可愛くて可愛くて可愛かったです(笑)。
作品数を重ねるに連れて、音彩さんの出番が多くなってきて嬉しいです。
でも、もう少し目立たせてほしかった気もします。
アーサー・バルフォア:華世京
保守党議員の役。
『夢介千両みやげ』で走助を演じた時も感じましたが、本当に新人とは思えない程の演技の上手さ、堂々とした立ち姿でした。
今年で研5を迎えますが、何学年も上の上級生と対等に舞台に立っています。いえそれどころか華世さんの方が舞台を支配する力が大きいと感じましたね。
声もしっかりしているだけでなく、色気もあった気がします。
現時点でこのぐらい仕上がっているのですから、ここから先、華世さんがどの様な男役になっていくのか?
それが楽しみですね。
コニー・ドイル:華純沙那
アーサー・コナン・ドイル、ロティ・ドイルの妹の役。
野々花さんが演じたロティ・ドイルと同じく、物語の後半になってようやく登場します。
正直役柄としては、それ程重要という訳ではありません。しかし、上品な立ち居振る舞いや台詞回しが、少ない出番の中で印象を残しました。
余談ですが、この様な妹なら欲しいですね(笑)。
上級生から下級生まで芸達者揃い! しかし・・・
本当に雪組生は演技が上手く、舞台上で繰り広げられる世界に観客を見事に連れて行ってくれます。
それに演技が上手いのは上級生だけでなく、新人まで本当に心を込めて舞台に立っているのが伝わってくるのです(勿論、他の組が心を込めてないという意味ではありません)。
全体的に層が他の組より厚いのも強みなのでしょう。
因みに月組は「芝居の月組」と言われてますが、雪組も負けず劣らずです。是非この見応えのあるお芝居を雪組も維持していってほしいですね。
ただ、今作『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』で気になった事があります。
今作は主な役以外の人達は、あまり目立っていない様に観えたのです。
特に娘役は完全に夢白さんの一強状態でした。2番手であろう野々花さんや、後に続く音彩さんはそれ程目立ってなかったです。そうなると脇を支えている娘役は言うまでも無いでしょう・・・。
男役も彩風さん、朝美さん、和希さん、縣さん以外は出番が少なく、あまり目立たない様に感じましたね。
面白く楽しい作品でしたが、もう少し他の方々に役を振ったり、目立つ場面を与えてくれたらとも思ってしました。
ですが、限られた出番や台詞の中でも、しっかりと濃厚で楽しい面白いお芝居をしていたのは流石と言えます。
気が早いですが、次回の本公演『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』がどの様に仕上がるのかが楽しみですね。
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