皆様こんにちは、霜柱です。
桂歌丸さんの『歌丸 不死鳥ひとり語り』(中公文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
落語に対する一途な熱い想いが詰まっている
中学3年生の時に5代目古今亭今輔さんに弟子入りをし、2018年7月に亡くなるまでの間ずっと落語家として(二ツ目の時に廃業の危機はあったが)活躍した桂歌丸さん。
本当に落語が好きで好きで堪らないという事が、とても伝わってきました。
かなりの噺を覚えていると思いますが、「覚えたい噺がまだまだある」と語っているそのバイタリティには度肝を抜きます。それと同時に私は私自身が老人になった時を想像しました。果たして歌丸さんの様なバイタリティを持っているだろうか?
う~ん、正直その自信はありません(笑)。
ここまで1つの事に一心不乱に夢中で取り組める事があるのは、本当に凄いと言えます。1日1日の日々がさぞかし濃かったでしょう。
私は仕事の時は、そこまで一心不乱にはやっていません(笑)。あぁ、フラフラしている私とは大違い・・・。
歌丸さんは81歳で亡くなりました。長生きした方だとは思いますが、まだまだ落語家として活躍したかったでしょう。ですので、もしかするとご本人は悔しかったかもしれません。
ですが、歌丸さんが落語界に残したものは非常に大きく、それは弟子や後輩が受け継いでいる事でしょう。
辛苦を味わった二ツ目時代
落語家はまず最初に前座になります。そこで修行して師匠や落語協会などに認められたら二ツ目、そして真打へとなる事が出来ます。
二ツ目になると雑用をせずに済む事が出来、1人前の落語家として扱われるのですが・・・。
この二ツ目が実は結構大変で、もう師匠がおまんまを食わせてくれる訳ではないですし、自分で仕事を見つけないといけません。
ただ、詳しい事は省きますが歌丸さんは二ツ目の時に、師匠の今輔さんとぎくしゃくし、更に協会に反旗を翻しました。その様な事をしたのですから落語の仕事が無いのは目に見えて明らかです。
その為、生活費を稼ぐ為にセールスマンになりました。歌丸さんがセールスマンをしていたというのは結構有名な話だと思います。全然売れなかった事も含めて(笑)。
そんな苦しい日々を味わっていた時に、声をかけて来てくれたのが3代目橘ノ圓さん。
橘さんの口添えで無事に落語界に復帰が出来たのです。
もし橘ノ圓さんが声をかけてくれなかったら、歌丸さんは復帰出来ていなかった可能性があります。
それと、こんな事書いたら怒られそうですが、セールスマンとしては全然ダメだったというのも良かったとも思います。もし歌丸さんが敏腕なセールスマンになっていたら、「こっちの方が給料良いや。落語は好きだけど家族の生活も支えないといけないから、落語家は辞めよう」となっていた可能性だって0とは言えません。
そうなったら、歌丸さんの人生は勿論、落語界の歴史も変わっていた事になります。
運命というのはどこでどうなるか本当に分からないですからね・・・。
落語ファンでなくても読んでほしい
この本は歌丸さんや落語のファンだったら充分に楽しんで読めると思いますが、落語の事を知らなくても面白く読めると思います。
何故なら、落語に疎い私が読んでも「ああ、読んで良かった!」と思えたのですから。
特に映画や釣りの話は面白くて興味深かったです。
ですので、興味がある人は読んでみてほしいと思います。