皆様こんにちは、霜柱です。
佐藤愛子さんと田辺聖子さんの共著『男の背中、女のお尻』(中公文庫)を読みました。

今回はこの本の感想を書いていこうと思います。
感想
容赦が無い対談
佐藤さんも田辺さんも言いたい事を言いまくっています。それが時には「ガハハハ!」と笑いを誘い、時には「その通りですね」と膝を打ちたくなったり、ととても面白い対談でした。
お2人共タイプが違っている様で、基本的に佐藤さんは喜怒哀楽がハッキリしていて、田辺さんは落ち着いているという印象を受けました。特に佐藤さんはよく憤っている様で(笑)。
でも、田辺さんは夫の川野純夫さん(2002年死去)とは猛烈な夫婦喧嘩をしていて、物を投げ合う程激しかった様です。その話は結構インパクトがありました。
お2人の対談は読んでいて飽きなかったですね。
匿名座談会が特に面白い
個人的に今作で特に面白く感じたのは、中山あい子さんを交えた〈匿名座談会 男性作家読むべからず〉です。
この座談会では3人の名前がA・B・Cとなっています。なので、「Aが佐藤さんで、Bが中原さん・・・いや、Cが佐藤さんっぽいかな?」って想像しながら読んでみるのも一興かもしれません。
このコーナーでは色々な男性作家の名前が出てきますが、3人共もう好き放題に言っているのです。読んでいて吹き出しました。ですが、ここまで言ってくれたら言われる方も却って気持ちが良い・・・かな(笑)?
登場する男性作家(敬称略)が誰かというと、
小島政二郎、三浦哲郎、筒井康隆、野坂昭如、五木寛之、渡辺淳一、吉行淳之介、三好徹、澤野久雄、池波正太郎、川上宗薫、北杜夫、井上ひさし、松本清張、井上靖、奥野健男、笹沢左保、庄野潤三、小川国夫、辻邦生、佐野洋、菊村到、結城昌治、江崎誠致、檀一雄、井上光晴、開高健、丸谷才一、遠藤周作、山口瞳、早乙女貢、江藤淳、石原慎太郎、柴田錬三郎、五味康祐
と言った方々です。
重鎮達ばかりですね。日本文学が好きな人なら、垂涎してしまうのではないでしょうか?
ですが、佐藤さん、田辺さん、中山さんは一切手加減無しで言いたい事を言いまくっています。
「澤野久雄さんは、病的でいや」「あれ(野坂昭如)はね、もう中学校の遠足のときから全然変わっていない」「最近の渡辺淳一さんは太りすぎよ」などなど、他にも色々言っているのですが、読んでいて笑いを堪えるのに私は必死でした(笑)。
この3人での座談会はもっと読んでみたくなりましたね。
ただ、恥ずかしながら私はここに登場した作家の作品をほぼ読んでいません・・・。
流石にそれはまずい気がするので、気になった作家がいたら読んでみようと思います(←本当に読むのか?)
時代を感じる部分はある
歯に衣着せぬ対談でとても気持ち良かったですが、この本に収録されている対談や座談会は全て1970年代に行っているので、時代を感じる部分はあります(特に男や女の性質について語る部分)。
今となってはもう叶いませんが、もし現在、同じ様な対談や座談会をしたら、どんな感じになったでしょうか?多分、当時と同じ様な感じでやったでしょう。
まとめ
繰り返し書いてしまいますが、とにかく面白い対談でした。ただ、電車の中で読む時はちょっと注意が必要かな(笑)。
特に〈匿名座談会 男性作家読むべからず〉は読んでほしいです。登場する作家の事を全く知らなくても充分に楽しめると思います。
そこから、気になった作家の作品を読むのも良んで、読書の幅を広げるという手もあると言えるでしょう。