皆様こんにちは、霜柱です。
開高健の『食の王様』(ハルキ文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
グルメ集かと思いきや
読む前は「古今東西の様々な料理を食べた事に関しての本かな」と思っていました。確かにそういった面もありますが、それだけではありません。
ベトナムでネズミを食べた話とかも載っています。とても美味いらしいですが、私だったら食べるのに躊躇してしまいそうです・・・。事前に知らない状態ならイケるかな? こればかりは何とも・・・。
また、作者の開高健は第二次世界大戦の時を生き抜いています。自身が経験した戦後の食についても書かれており、その中でも〈パンに涙の塩味〉の話は衝撃を受けました。
開高健が中学3年生の頃、彼の机に友人がイモを入れてふかしたパンを入れた話が書かれていますが、これは私を含め現代の日本人には想像が出来ない事だと思います。
文章から2人の辛さがとても伝わってきました。
食・酒に関しての描写が豊か
食や酒に関しての描写がとても豊かなのも本作のポイントです。読みながら「あぁ、こういった表現をするのか。凄いなぁ」としきりに私は唸っていました。
文面から、料理の形・色・香り・味などが伝わって来る様な気がしたのです。
因みに、私も自分のブログで美味しかった料理について書いてますが、その表現力の雲泥の差よ(涙)。
ただ、確証はありませんが開高健が食に関して、ここまで豊かで独自の表現が出来るのは第二次世界大戦後の飢えを経験しているからなのかな、とも感じました。
もし今も生きていたら
開高健は1930年12月30日に生まれ、1989年12月9日に亡くなっています。58歳没。
若すぎますね。まだまだ書きたかった作品があるでしょう。
今、日本は美味しい物があちらこちらで溢れ返っています。テレビもグルメ物に関する番組が多いです。
もし今も生きていたら、その事について、どの様に書いたでしょうか? それを想像するのも一興かもしれませんね。
まとめ
単なるグルメ集でないのがポイントです。特に本作のあちこちで第二次世界大戦後の食や酒についても触れているので、その辺りも興味深いと言えます。
独自の観点で、独自の表現をしているので、正直私はつっかえながら読みましたが(笑)、他の作家には無い味わいがあると感じました。