皆様こんにちは、霜柱です。
仙川環(せんかわ たまき)さんの医療小説『カナリア外来へようこそ』(角川文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
臭い、音、味などについての病気を知れた
本書には5人の患者が登場し、それぞれ職場や家で症状が出ます。
その病気はあまり巷間に知れ渡っている病気ではありません。
化粧水の香り、ボイラーの音などで生活に支障が出たりする事を私は知りませんでした。
大概の場合は気にしなかったり我慢したりして過ごせるのかもしれないですが、そうはいかない方もいるのが現実。
一筋縄ではいかない問題で、周りの理解を得るのも大変だと言えるでしょう。
しかし、出来る範囲で歩み寄って協力する事が大事だなと感じました。
とても面白かったけど・・・
ぶっきらぼうで男口調な保泉クリニックの医院長の保泉則子と、優しい雰囲気の男性看護師のレン。この2人の組み合わせが良かったですね。
読む前はこの2人が主人公かと思いきや、そうではなかったので意外性を感じました。
描写がとてもリアルで、物語のテンポも良かったのでページを繰る手が止まりませんでした。
しかし、正直「う~ん・・・」と思った事があります。
何か?
結末です。
本書は物語が5章に分かれています。それぞれの章で異なる患者が登場して、症状の原因を突き止めようと物語は進みます。
「よし! 原因が分かったぞ! さあ、ここからどの様にして展開するのだ!?」とワクワクした気持ちが高まった時に、物語は終わってしまいます。
「ちょ待てよ!」と言いたくなりました(笑)。佳境を迎えた途端ブツっと強制終了した印象を受けてしまいました。まぁ、尻切れトンボと言えるでしょう。
なので、ちょっとモヤモヤしてしまったのが本音です。
簡単なまとめ
医療系の小説は沢山ありますが、本書はなかなか珍しいタイプと言えるのではないでしょうか。過敏症に着目しているのが何よりのポイントです。
なので、医療系の作品が好きな方にとっては、目新しく写って面白く読めると思います。
医療系に興味が無い方でも、興味深くページを進める事が出来る気がします。
ただ、結末がね・・・。
これはもう読者の想像に任せるしかない(笑)。






