皆様こんにちは、霜柱です。
澁澤龍彦のエッセイ『ドラコニア綺譚集』(河出文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
不思議で奇怪なものを取り上げている
極楽鳥、淮西(わいせい)の朱橘(しゅきつ)、飛頭蛮(ひとうばん)、衣魚(しみ)、シドニウス・アポリナリス、玉虫の厨子、桃鳩図(ももはとず)、仮面、童子などあらゆる不可思議で奇怪な要素があるものを本書では取り上げています。
個人的に特に印象に残ったのは淮西の朱橘の話です。彼は5年前の自分自身に出会います。暫くは彼と親しくしますが、段々と疎ましくなり井戸に落として死なせてしまうのです。
どこか虚しさを感じる話な気がしました。
トイレのドアを開けたら仮面をつけた女性がいたのは確かに驚きますね。
噴き出してしまったのは❝文字食う虫について❞の項ですね。
衣魚が文字を食べてしまうのですが、その理由が、
どうせ食うなら、私どもは字を食いたい。字がうまいのです。
この部分を読んで大笑いしてしまいました。何だか落語みたいな展開です。
誰か落語にしてくれないかしら? 面白い作品になりそうな気がします。
澁澤の知識や好奇心を目の当たりに出来る
私は澁澤龍彦の作品は数冊しか読んだ事がありませんが、どれも彼独自の観点が光っており、それだけでなく広範な知識や好奇心などを余すところなく活かしていると感じるのです。
変わった題材を選びますが、書き方自体はむしろ冷静で、学芸員の様に対象を並べて比較をしています。決して面白おかしく書いたりセンセーショナルに取り上げないのが澁澤の魅力だと言って良いでしょう。
勿論面白く書いたり大袈裟に扱ってはいけない、という訳ではありません。ただ、そういう手法を使わずに綺譚を扱うのは結構難しい事ではないか? と感じるのです。
簡単なまとめ
澁澤龍彦は独自の観点でちょいと変わった物や人などを取り上げます。ただ、その際に面白おかしく書きたてるのではなく、どこか冷静に分析していて自身の考えを述べている事に感服します。
彼の作品って博物館みたいな雰囲気がありますよね。
「少しばかり不思議な世界を覗いてみたいな」と思っている方は、本書を興味深く読めるかもしれません。
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