原民喜『小説集 夏の花』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
日本の詩人/作家、原民喜の『小説集 夏の花』(岩波文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
原爆文学の最高峰
本書には6つの短編小説、1つの詩、1つのエッセイが収録されています。
内容は全て、第二次世界大戦の時の空襲や、広島の原爆投下についての事です。
原爆について書かれた本は沢山あると思いますが、本書は特に原爆文学の最高峰だと私は思います。
本書の特徴は空襲や原爆の悲惨さや凄惨さを、淡々と書いている事です。感情的になりそうな事はあったでしょう。ですが、そうはならずにありのままを書いていると思いました。
大袈裟に書くのでもなく、遠慮して詳しく書かないという訳でもない。この塩梅が見事だと言えるでしょう。
特に「夏の花」と「廃墟から」は1度は読むべき作品な気がします。
各内容について
先に書きましたが、6つの短編小説、1つの詩、1つのエッセイを本書で読む事が出来ます。
ここでは各内容を読んで思った事を簡単に書いていこうと思います。
夏の花
著者の広島での被爆体験が基となって書かれた短編です。
感情に流されない淡々とした文体ですが、それがより原爆の恐ろしさを伝えている気がします。
ケガをした人や死体の描写がリアルでした。まるで目の前にいる様な・・・。
中でも、女中の腕が化膿して蠅が群れて蛆が湧いた描写は特に凄惨さを感じました。
廃墟から
出だしから惨憺たる感じです。「夏の花」と同じ様な傾向の作品な気がします。
描写が淡々としていて緻密です。
特に耳に蛆が湧いたり、鼻血を出したり吐血する描写はインパクトがありました。
❝広島では誰かが絶えず、今でも人を捜し出そうとしているのでした❞という結末は、容赦が無い悲惨さが詰め込まれている様な気がします。
壊滅の序曲
原爆が落とされる前の広島を描いた短編小説です。
人々の何とも言えない息苦しさや心苦しさが描かれていると感じました。
燃エガラ
短めの詩です。
❝苦患ノミチガヒカリカガヤク❞に想像を絶する苦しみが凝縮されていると感じました。
小さな村
短編です。
正直、内容はあまり印象に残りませんでしたが、トーマス・マンに似た人が登場するとは思ってもみなかったです。
昔の店
短編です。
本書の中で1番読みやすい文体や流れになっている気がしました。
ですが、内容はあまり印象には・・・。
氷花(こおりばな)
綺麗なタイトルが印象的な短編です。
ただ、この作品も読んでいて印象にはあまり残らなかったです・・・。
エッセイ
タイトル通りエッセイです。
“戦争について”という章には、落ち着いた文体で原爆の影響が書かれていました。
決して風化させてはいけません。
簡単なまとめ
著者の原民喜自身が被爆者だからなのか、原爆の途方も無い恐ろしさ、更にその影響による人々の様子の変化をかなり生々しく描いていました。読んでいるとその場にいる様な気持ちになります。
特に「夏の花」と「廃墟から」は悲惨さが誌面上からヒシヒシと伝わってきたのです。
戦争や原爆に関する本は色々とありますが、本書はその中でもトップクラスだと言って良いでしょう。
正直、読んでいて気持ちが明るくなる作品ではありませんが、そういう事があったという事を私達は決して忘れてはいけません。
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