フセーヴォロド・ガルシン『あかい花 他四篇』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
ロシアの小説家、フセーヴォロド・ミハイロヴィチ・ガルシン(Vsevolod Mikhajlovich Garshin)の『あかい花 他四篇』(神西清・訳、岩波文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
暗くてハッピーエンドではないが・・・
本書には5編の短編が収録されていますが、内容は違えどどれも結末は暗いです。ですので、読んで楽しいとか明るくなるとか、そういった気分にはならないと思います。ハッピーエンドでもありませんし。
主に人間の極度の限界や傲慢さが描かれていますが、その様な内容でも何故か活力に満ちている様に感じるのです。
何故そう感じるのかは分かりませんが、作者のガルシンの体験を基にしている場合があるから、というのも1つの理由かもしれません。
暗い結末と書きましたが、だからと言ってそれが尾を引くという訳ではないのも特徴と言える気がします。
各短篇について
先に書きましたが5つの短篇を読む事が出来ます。
各短篇について思った事を軽く綴っていきます。
あかい花
本書の中でやはりインパクト大でした。主人公は日に日に衰弱して最後は亡くなってしまいますが、何故か生命力溢れている様に感じました。
また、本書は作者自身の体験が基になっていますが、だからこそ、主人公の描写にリアルさがあるとも言えるでしょう。
四日間
何となくですが、演劇の1人芝居の様な迫力さがありました。
主人公のイヴァーノフが死んだ敵のトルコ兵と2人きりになっている場面が主ですが、そこでの心理描写が非常に巧みです。特に精神的に限界を迎えている所の描写は怖さすら感じました。
何だか、イヴァーノフのそばにいる気持ちにもなりました。
因みにイヴァーノフは助かりますが・・・・。
あと、腐敗していく死体の描写は生々しくて真に迫っていたと断言して良いでしょう。
信号
蔑まれて憤るヴァシーリイ・スピリドーノフ(ステパーヌィチ)の気持ちは充分に分かります。この作品を読むと「本当にお上という奴は・・・」という気分になります。
だからと言ってヴァシーリイの行為は許されません。セミョーン・イヴァーノフのお陰で惨事は免れましたが、ヴァシーリイがこの後どうなってしまうのかが気になります。
夢がたり
犬、鶏、馬、毛虫、くそ虫、蟻、コオロギ、カタツムリ、トカゲなどの生き物が会議をしています。
童話っぽい雰囲気の話ですが、内容はやっぱり暗かったです。
少しばかり急展開な結末という印象を受けました。
でも、「夢がたり」というタイトルには皮肉が込められている気がします。
アッタレーア・プリンケプス
アッタレーア・プリンケプスと言うのは棕櫚の木の名前です。
植物園が舞台となっており、他にサボテン、肉桂、わらび、サゴ椰子などが登場します。
「夢がたり」と系統は似ています。
それにしても、アッタレーアが自分自身の考えを貫いて行った事がそんな悲劇を招いてしまうなんて・・。やらずに大人しくしていれば、そんな目に遭わずに済んだでしょう。
でも、やらなかったらそれはそれで不満が溜まるでしょうし・・・。
簡単なまとめ
読んでいて楽しくなったり心が弾んだりする作品ではありません。
それどころか、人間の精神の限界や弱さ、世間の不条理などの負の面を描いており、勿論ハッピーエンドでもない。
しかし、そういったのに目を向けられる方にとっては、本書を熱心に読む事が出来る気がします。また、短編ながらも内容の濃さは長編に負けず劣らずでしょう。
また、ロシア文学に興味がある方にも読んでみてほしいと思います。
お読み頂きありがとうございました。ブログ村に参加しています。![]()
にほんブログ村






