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フーケー『水妖記(ウンディーネ)』を読んだ感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

ドイツの作家、フリードリヒ・フーケーの『水妖記(ウンディーネ)』(柴田治三郎・訳、岩波文庫)を読みました。

今回は、この本を読んだ感想を書いていこうと思います。

感想

清らかで美しい描写と文体

読みながら思ったのが、「一体どうすれば、この様な清らかで美しい描写と文体を表現出来るのだろうか?」という事です。幻想的な要素もあるので、ページを繰る手が止まらなくなりそうでした。

訳者の柴田さんの手腕による功績がとても大きいと言えます。原文は読んでいないので分かりませんが、そちらも素晴らしいのでしょう。

特別に難しい事が書いてあるわけではありません。ですが書けそうで書けない文体です。

物語の雰囲気がちょっと変わる

前半は漁師の小屋が舞台となっており、ウンディーネという水の精霊を除けば、何気ない人間の日常を描いている様に感じました。ただ、主に仕切っているのはウンディーネなので、人間達は振り回されています。

ですが、後半は宮廷が主な舞台となっており、ウンディーネは人間達の生活(主に宮廷での)に否が応でも接しなければなりません。そこでウンディーネは苦しむ事がありますが、自身の主張は決して曲げずに物事を進めていきます。

後半になると、世俗的な要素が強くなるのがポイントだと思います。

印象に残った登場人物について

個人的に印象に残った登場人物について、簡単に書いていきます。

ウンディーネ

言わずもがな今作の主役。人間ではなく水の精霊。純で穢れの無い性格ですが…。正直、個人的には好きになれません。漁師の小屋にいる時は落ち着きが無く、人をからかってばかりいて、周りを乱し、気に入らない事があると逆ギレ(という言い方は大袈裟ですが)します。
後半になると、それは薄れますが…。う~む、個人的にはこういったタイプは苦手ですね(笑)。

フルトブラント

騎士。ウンディーネに惚れて結婚しますが…。まぁ、この男は心変わりが多いのです。ウンディーネと結婚したにも関わらず、ベルタルダにも恋をしちゃうんですから。あ~あ。

ベルタルダ

貴婦人。実は漁師の娘だという事が後に判明。読みながら傲慢で不遜な人物だなぁと思いました。しかし、いきなり境遇が変わってしまって取り乱してしまう場面は仕方が無い様に感じました。
今作の中で良い意味でも悪い意味でも、1番人間らしいと言えるでしょう。

キューレボルン

ウンディーネの伯父。何かにつけ主人公達の邪魔をします。ですが、物語の緩急を付ける上で非常に重要な存在とも言えます。
もしキューレボルンがいなかったら、弛緩した感じになっていたでしょう。

まとめ

幻想的な要素があり、美しい描写と文体が何よりも素晴らしいです。

しかし、主要な登場人物が案外クセがあるのも事実(笑)。ですが、好き嫌いを別にすれば、それぞれ特徴があるので印象には残ると思います。

Wikipediaには『ウンディーネ』は幻想譚と書かれていますが、恋愛小説にも近いので、こういった物語が好きな人は読んでみてはいかがでしょうか?

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ABOUT ME
霜柱
ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴いたり、宝塚(全組観劇派)を観たり、スイーツ(特にパフェ)を食べる事が好きです。これらの事を気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿中。