皆様こんにちは、霜柱です。
西成活裕(にしなり かつひろ)さんの『クルマの渋滞 アリの行列-渋滞学が教える「混雑」の真相-』(技術評論社)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
渋滞・行列についての仕組みについて分かりやすく書いてある
車の渋滞やアリの行列は勿論出てきますが、それ以外の事にも触れています。お店の行列、電車の行列や混み具合、パニックが起きた時の人の密度、踏切の遮断機での車の対応など、幅広く触れているので、結構興味深く読めました。
分かりやすくも書いてあるので、渋滞や行列の仕組みについて知りたい人には打って付けだと思います。
また、本作で渋滞学という学問がある事も知れました。そういう学問があるという事は、日常生活はそれ程渋滞や行列に溢れているという事ですね。
専門用語や数学も出てくる
読みやすい内容でしたが、専門用語(相転移、準安定状態、セルオートマトン法、スロースタートルール、など)もちょこちょこと出てきます。ですが、それらについても丁寧に書かれているので、その点は大丈夫かと。
ただ、数学の公式も登場します。私は数学が得意ではなかったので、「ウオォ‥」と感じましたが、それも落ち着いて読めば理解出来るのではないでしょうか?
個人的に印象に残ったのは「アーチアクション」という言葉です。「狭い出口から人が皆、同時に出ようとしてつっかえてしまう事」という意味です。1つ賢くなりました。使う機会はほぼ無いかもしれませんが(笑)。
「リトルの公式」と言うのも初めて知りました。
「待ち時間(分)=行列の総人数÷1分間の到着人数」の事です。では、何か行列を見たら、この公式を頭に思い浮かべて、「今、行列の人数がこのくらいで、1分間に〇人来てるから、大体待ち時間は△分くらいかな?」と計算が出来そうですね。とは言っても、本当にそれをする人は稀だと思いますが(笑)。
シミュレーションは発達していると思うけれど…
本作は2007年に出版されました。渋滞や行列の予想は主にシミュレーションで行っています。実際に人や車を配置しては出来ないので。
多分ですが、2025年現在は当時よりもシミュレーションをする能力が上がっているでしょう。
ですが、人は機械ではないので、シミュレーション通りにいかない時の方がむしろ多いかもしれません。今でも渋滞や行列は無くなっていません。人がいる限り無くなりはしないのは明らかです。
なので、渋滞や行列は無くそうとするよりも、なるべくそういう場所に行かない。行ったとしても出来る範囲でイライラしない様に努める事が大事な気がしますね。
簡単なまとめ
日常的に見かける車の渋滞や、人の行列などについての仕組みやカラクリに興味がある人には面白く読める本だと思います。
ただ、人によってはボリュームが足りない、と感じる可能性は無きにしも非ず。なので、本作は初心者向けとも言えるでしょう。興味が持てたなら、この本を読んだ後、もっと専門的な本を読むのも1つの手です。