皆様こんにちは、霜柱です。
小池滋さんの『欧米汽車物語』(角川選書)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
鉄道の裏側の事情について書かれている
私はこの本を手に取った時、「旅行記みたいな内容かな? それとも鉄道の誕生や発展について書かれているのかな?」と思い購入しました。
しかし、そういった内容ではありませんでした。
確かに鉄道の誕生や発展などには触れています。ですが、それよりも華々しく誕生した鉄道の裏側ではこんな事があった、みたいな内容の方が多かった気がします。
例えば、アメリカの鉄道建設には中国人移民や日本人移民が関わっていましたが、扱いが酷かったりとか…。
汚辱も酷かったらしいです。まぁ、金の臭いがプンプンしたと思いますし…。
とにかく、裏事情だったり、鉄道の恩恵を受けるどころか、それに振り回されている人々に焦点を当てていると感じました。
「欧米」と書いてあるが…
本書のタイトルは『欧米汽車物語』ですが、登場する国はアメリカ、フランス、ドイツの3ヶ国です。前半がアメリカで、後半がフランスとドイツという流れになっています。
ヨーロッパがフランスとドイツだけなのが、少しばかり物足りなさを感じました。でも、他の国も書いたらかなり厚くなってしまうと思うので、致し方ないのでしょう。
なので「ヨーロッパの鉄道について知りたい!」と思っている人にとっては「ちょっと違うなぁ」と感じる可能性はある気がします。
小説の引用が多数出てくる
昔、鉄道を舞台にした小説がありました。何かというと、
- マーク・トウェイン「社会改革者と旅して」
- ゾラ「野獣人間」
- ウーヴェ・ヨーンゾン「ヤーコプについての推測」
この3作品です。
恥ずかしながら、私はどれも読んでいません。読んだ事がある方なら「あ、あの本か」と分かるでしょう。
これらの小説からの引用が多いです。
その中でも、「社会改革者と旅して」は強烈でしたね。これに登場する社会改革者と名乗る人物は、まぁ何とも厄介な存在(笑)。確かにこういった人、時々いますよね。今なら、SNS(特にX)に溢れているでしょう(笑)。
興味が出たら、これらの本を読んでみようと思います。
簡単なまとめ
タイトルや表紙だけを見ると、ほのぼのとした内容を思い浮かべるかもしれません。私もそうでした。
しかし、そういった事はほぼ書かれていません。それよりも鉄道の誕生の裏で起きた市井の人々の苦しみや戸惑いなどに着目しています。それが本書の何よりの特徴だと言えるでしょう。
なので、「鉄道が好き」且つ「表の華々しさだけでなく、裏の事情も知りたい」という人なら、ページを繰る手がもしかしたら止まらなくなるかもしれません。