皆様こんにちは、霜柱です。
藤子・F・不二雄さん原作、辻村深月さん著作の『小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記』(小学館ジュニア文庫)を読みました。

2019年に公開された『映画ドラえもん のび太の月面探査記』を小説化したものです。
今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
月を中心とした冒険譚
のび太が「月にはウサギがいる」と言った事が発端となり、そこから物語が展開していきます。
最初はほのぼのとした感じですが、カグヤ星の捜索船に見つかった後からは、怒涛の様にストーリーが進むので、途中で読むのを止める事が出来ませんでした。
私は小説版の『ドラえもん』を読むのは初めてですが、充分に面白いと断言出来ます。
読みながら登場人物の声や表情が、ありありと思い浮かべられる程です。
これは著者の辻村さんの描写が巧みで、尚且つワクワク感のある文体だったから、読む者を更に惹き付けたのだと思います。
印象に残った諸々
登場人物ではカメのモゾと、のび太に似た雰囲気のウサギのノビットが個性的で良かったですね。
異説クラブメンバーズバッジと言うひみつ道具が登場しますが、これがカギを握ります。後半の展開でノビットがこれを・・・。
因みにこの道具は「当たり前とされている定説とは別の、異説の世界を実現する道具」との事。
本書でも少し出ますが、これを付ければ天動説の世界を見る事が出来ます。
なかなか面白そうなひみつ道具ですね。
また、個人的に印象的に残った言葉もあります。
ドラえもんの台詞です。
人間の歴史はそれぞれの時代の異説が切り開いてきたようなもの
現在、私達の周りで定説とされているものは、その前に異説があったからそうなれたと言えます。例えば、現在は地動説が完全に定説です。しかし、その前に天動説と言うのが出てこなかったら、地動説を唱える事も無かった。もしくはそれが定説になるのが大分遅れたかもしれない。
鎌倉幕府が成立したのは1192年が定説でしたが、今では1185年になっています。
しかし、その様に変更が出来たのは1192年という説があったからこそだと言えるでしょう。
1発で定説を発見出来る事もあると思いますが、大体の定説は沢山の異説が登場したから成り立つ事が出来るのかもしれません。
簡単なまとめ
「『ドラえもん』はテレビアニメや映画、漫画では見た事あるけど、小説は読んだ事は無いなぁ」という方は案外多いのではないでしょうか? 私もそうでした。
ですが、小説でも充分に面白く読む事は出来ます。ドラえもんやのび太を始めとしたレギュラーメンバーの姿が読みながら、脳内で再生出来るでしょう。
また、映画を観た方なら「映画と小説はどう違うかな?」と比べる事が出来るので、「この場面は小説の方が緻密だな」みたいな発見があるかもしれません。
『ドラえもん』が好きだと言う方なら、是非とも読んでほしいと思います。







