皆様こんにちは、霜柱です。
よしもとばななさんの小説『鳥たち』(集英社文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
重いテーマであるが・・・
主人公は女子大生の佐川まこ、パン職人の光野嵯峨の2人。彼らが幼い時にこの2人の母親はどちらも自ら命を絶っています・・・。
その為、いつも自分の人生に死が近くに存在する様に感じています。
確かにテーマとしては重いです。2人のそれぞれの母親の死の過程、また、まこの母親が近隣の住民に意地悪をされていた場面などは心苦しかったです。
だけどまこと嵯峨の2人は死が身近にあっても、絶望しすぎる様な雰囲気ではなく、むしろ生きようとしている姿勢を見せている様に感じました。その点は良かったと言えます。
ストーリー的には・・・
率直に書きます。
読み終わった後、「それで、結局どうなったの?」という気持ちになりました。
正直、ストーリーの流れに起承転結を感じられなかったのです。それだけではなく、殆どの登場人物のキャラもあまり印象に残りませんでした。その理由はどの人物も影が薄くてキャラ立ちしていない様に感じたからでしょう・・・。
というより、他の女性キャラが何だか、まこの分身の様に感じたのです。まこが自分の中で違う人物を作り上げて、その人物と対話している様な。でも、上手く分身出来ていないみたいな。
勿論、そう言う訳ではないですが、何故だか私にはそう感じました。
ただ、まこが通っている大学の末永教授は良い先生だな、と思いました。この様な先生がいたら学生にとって心の支えになる気がします。
簡単なまとめ
重たいテーマを扱ってはいますが、読んだ後暗い気分になる感じではないです。
だからと言って、爽やかさがある訳でもない。何とも言えない気持ちになりました。
展開にもう少し緩急があったら、と感じたのも本音です。
どことなくですが、本書は全体的にとても淡い水彩画の様な印象を受けました。






