皆様こんにちは、霜柱です。
フランスの小説家、マルグリット・オードゥー(Marguerite Audoux)の小説『孤児マリー』(堀口大學・訳、新潮文庫)を久しぶりに読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
優しく儚い文体
まず思ったのが文体が美しくて優しい、しかしどこか儚げな感じがするという事です。
丁寧な細やかな描写も印象的だと言えるでしょう。
からかわれたり、邪険に扱われる場面もどこか上品さがあります。
何だか童話っぽい奮起も感じましたね。
主人公マリーは苦労しているが…
本書の主人公であるマリーは幼い時に母親を亡くし、父親は行方知れずとなってしまいます。
したがって、孤児院で過ごす事になり、後に農園の家族に引き取られ家畜の手伝いをします。
マリーの境遇はとても辛いものでしょう。幼い頃からこんなに苦労しないといけないなんて・・・。
ただ、先に書いた様に文体は優しい感じなのですが、同時に淡々でもあるのです。
その為か、マリーの気持ちがハッキリと伝わってきませんでした。
また、最後の方で孤児院でお世話になったシスターのマリー・エーメに再会しますが、正直「そう上手くいくか?」と感じました。
う~ん、何ともなぁ・・・。
超簡単なまとめ
美しい文体が良いです。儚げさがある事により、散文詩を読んでいる様な気持ちになれるかもしれません。
ただ、その文体が逆にマリーの苦悩とかを上手く伝えきれていない様に感じました。
だからと言って、リアルに描写するとこの作品の良さが減退するのかもしれないですが。
難しい所ですね。
本書はピンと来なかったというのが、私の正直な感想です・・・。
でも、美しい文体に触れてみたいという人なら、関心を持って読めるかもしれません。
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