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マルセル・エーメ『マルタン君物語』を読んだ感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

フランスの作家、マルセル・エーメMarcel Aymé)の『マルタン君物語』(江口清・訳、ちくま文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。

感想

マルタンを主軸とした少し不思議な話

本書には9つの短編が収録されており、それらの作品の大部分にマルタンという人物が登場します。ただ、それぞれの物語に関連性はありません。

どれも個性的な作品であり、中には「よくこんな設定思いついたな!」というのもあります。

話によっては結構大変な事が起きたりしていますが、どこか冷めていたりするのです。
変に大仰にならず、スリリングしすぎない点がポイントだと言えるでしょう。

各短編について

ここからはそれぞれの短編を読んで思った事を書いていきます。

小説家のマルタン

主人公で作家のマルタンは、自身が書いた小説の登場人物を殺さずにはいられない性質です。その為、読者からの人気は段々と落ちていきます。

今度書いた新作もそうしようとしますが・・・。
因みにその内容は夫であるアルフレッド・スービロンが自分の妻の母親に恋してしまう話です・・・。

その時点で不穏ですが、まさか、アルフレッドの奥さんが直接マルタンに会いに来るという展開にビックリしました。

小説家マルタンの日常と、小説の世界が交差するのが面白かったです。
因みに結末はハッピーエンドでした。

おれは、くびになった

銀行で働いていたアベルダームが主人公。マルタンという人物は出ませんでしたが、「サン・マルタン門」「サン・マルタン通り」は出てきました。

ただ、正直あまり印象に残らなかった作品です・・・。「この後どうなるんだろう?」という気になった終わり方ではありますが。

突飛な展開は無かったです。

生徒のマルタン

まず読み終わって思ったのは「自分だったら絶対にこんな学校に通いたくない!」という事です。

生徒監エスキュエルは自分が正しいと思い込んでいますし、プリウール校長は横柄でエラそうな態度で人を小馬鹿にしています。

マルタンは劣等生として登場し、可愛そうな目に遭います。

まぁ、冒頭でエスキュエルが怒りたくなるのは充分に分かりますが、背中で判断するのではなく、現場に行って直接捕まえないといけないのでは? という気持ちが湧きました。

死んでいる時間

個人的にはかなり面白かった話でした。
叔父の遺産で生活をしているマルタンが主人公です。マルタンは何と1日おきにしかこの世に存在しないのです!

マルタンはこの秘密を誰にも話していません。しかしふと出会ったアンリエットにその事を話し、2人は2年程交際を続けます。しかし破局してしまい・・・。

終わり方がとても印象的でしたね。

それにしても、1日おきにしか存在出来ないとすると大分生活に支障が出ますね。
仕事の種類は限られますし、夜中を越える業務は出来ません。正社員になるのも無理でしょう・・・。
もっと気になるのは1日おきに生きているという事は、普通の人よりも歳をとるスピードが半分になっているのでしょうか? それとも普通の人と同じ様に年齢を重ねるのか?

生まれた時からそういう状態だったのか? マルタンの両親はどうだったのか?

色々と気になる事がありますね。

女房を寝取られた二つの肉体

この話もかなり面白かった!
浮浪人(名前は不明)が主役です。彼がある村に辿り着くのですが・・・。

その村はなんと、2つ体を持った同一人物が住む村だったのです!

奇妙奇天烈でありながらも、どこかユーモラスな感じだったと思います。
「よくこういう物語が作れるなぁ」と読み終わった後、しみじみと関心もしました。

因みにマルタンは出ません。

マルタンの魂

出だしから強烈です。
主人公のマルタンは自分の妻と、妻の両親を射殺します。妻が不貞を働いたからだそうですが、それにしても・・・。

他の作品とは結構毛色が違うとは感じましたが、あまり印象には残りませんでした。

エヴァンジル通り

貧乏なアラブ人、アブデル・マルタンが主人公です。貧乏と言ってもホームレスの状態です。

おれは、くびになった〉と同じく「この後どうなるんだろう?」と気になる終わり方でしたが、何だかこの作品もあまり印象には・・・。

クリスマスの話

コンスタンタン特務曹長が主人公です。マルタンは出ません。

童話っぽい雰囲気がありました。終わり方もファンタジー感があって、少し心が温まった様な気がします。

この話に出て来るクリスマスの子供って何者だったのでしょう? 普通の人間ではないでしょうけど。

銅像

発明家マルタンが主人公。
彼は周囲の人々から死んだと思われて、彼自身の銅像も建てられました。でも、本当は生きているんですけどね。

これも何だか不思議な話でしたね。途中で登場したジュリイ・パントンという女性は誰だったのか?

そもそも何故マルタンは死んだと勘違いされてしまったのか?
いや、それ以前にこの主人公のマルタンが本当に銅像のマルタンと同一人物なのか? そういった疑問まで湧きました。

簡単なまとめ

9つの短編が収録されており、個性的で不思議な話が大部分です。ただ、「面白い!」と思える話と、「う~ん・・・」と思ってしまう話の二極化が起きた気がします。

もしかすると、どの話が気に入ったかによって、その人の話の好みが少しは分かるかもしれません。

個人的には〈死んでいる時間〉と〈女房を寝取られた二つの肉体〉が特に良かった!

「少しばかり不思議な話を読んでみたいな」と思っている方は、試しに読んでみてはいかがでしょうか?

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ABOUT ME
霜柱
ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴いたり、宝塚(全組観劇派)を観たり、スイーツ(特にパフェ)を食べる事が好き。これらを主に気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿中。