宮崎市定『科挙 中国の試験地獄』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
宮崎市定(みやざき いちさだ)さんの『科挙 中国の試験地獄』(中公新書)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
いくつ試験があるんだ!?
官吏になるには科挙の試験に合格しないといけないのですが、まず驚いたのは試験の数です。何回試験に合格し続けないといけないのか!?とビックリしました。しかも四書五経を始めとした儒教の経典を覚えなくてはいけない・・・。
最早沢山なんてレベルではありません! 暗記だけではなく文章を作成する能力も求められるのです。
ですので私だったら、受ける前から「こりゃ無理だ・・・」と諦めちゃいます。
でも、受ける人は後を絶たず、それどころか時代が下るに連れて問題は難しくなるのに受験者数は増加した・・・。
それ程、当時の中国では官吏というのが途轍もない程魅力的だったという事でしょう。
587年に科挙制度が成立し、1904年に実質廃止されるまで続いたのが、その証拠なのかもしれません。
因みに科挙が誕生した理由は、天子が貴族と戦うための武器として案出されたそうです。これにも驚きました。
武科挙があったとは!
科挙と言うと通常は知識や文章能力を問う試験を浮かべますが、それとは別に武芸や軍事知識の試験を行う武科挙というのもありました。
馬上から弓を放って的を射たり、薙刀を使って舞ったり、持ち上げる石の重さを量ったりなどなど。
これはこれで大変ですね。
でも、武科挙に受かっても戦功をたてた人はほぼいないらしいです・・・。じゃあ何の為の試験だったんだ?と言う気がしないでもない。
他に印象に残った諸々
科挙に関する逸話や出来事は色々と印象に残りました。先に書いたこと以外に印象に残ったのを書きます。
- 身分を問わず受けられると言いながら、女性は受けられない。当時は男女差別があった。
- やはり経済力と家庭環境が良い家庭の方が有利だった。
- 出費が多い。旅費・宿代・試験官への謝礼・係員への祝儀など。
- 筆跡が乱れているとどんなに文章の内容が立派でも落第になる。
- 郷試が行われる会場での幽霊話は興味を引いた。
- 蒲松齢も科挙を何回も受けたが合格出来なかった。
- 不正を働いた正考官で死刑になった人がいた。
他にもありましたが、こんな感じです。
後序(後書きのようなもの)で著者が、日本の試験や教育の問題点に触れていたのも「その通りだな」と感じました。これは2026年現在も変わっていないと言って良いでしょう。
簡単なまとめ
「科挙って名前は聞いた事あるけど具体的な事は分からないな」「科挙全般について書かれている本は無いか?」と思っていたら、本書は紛れもなく相応しいと思います。
科挙の成り立ちや歴史、それに関わった人達の考え方や人生模様も出てくるので、とても興味深く読めると言えるでしょう。書き方が分かりやすいのも良いです。
私自身は科挙を受ける力なんてこれっぽっちもありません。ですので、合否に関わらず官吏になる為に血が滲むほどの勉強をした人々に対しては本当に凄いと心から思います。
科挙について興味がある方は是非とも本書を読んでみてはいかがでしょうか?
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