皆様こんにちは、霜柱です。
私はこの間、星組公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』の感想を書きました。
今回はこの公演の役ごとの感想を書いていきます。
役ごとの感想
ディミトリ:礼真琴
ルスダンの王配、ルーム・セルジュークのエルズルム公の息子(第4皇子)の役。
人質としてジョージア王国に送り込まれました。
人質ですが暮らしぶりはとても良く小さい時からルスダンとは仲が良いです。
綺城ひか理さんが演じるギオルギ王が亡くなった後は、ルスダン女王の王配になりジョージア王国を支えようとします。
しかし、ルスダンとはすれ違いが起き、牢屋に入れられてしまいます。しかし、彼を助けたのは瀬央ゆりあさんが演じる敵国の帝王、ジャラルッディーンです。ディミトリは波乱な運命を辿ります。
最後はジャラルッディーンを裏切った事が発覚し服毒自殺します・・・。
観ていて感じたのは「主人公が服毒自殺するのは珍しい」という事です。なかなか無い結末だと思います。
華やかな役ではありませんが、逆にそれが新鮮だと言えるでしょう。
ルスダン:舞空瞳
ジョージア王国の女王、ギオルギの妹、タマラ女王の娘の役。
幼い時からディミトリとは仲良く接しており、いつの間にか恋心をお互いに抱きます。
ギオルギ王が亡くなった事によって、ルスダンは女王に、ディミトリは王配になってジョージアを導いていこうとします。
しかし、嫉妬したアヴァクの虚言を真に受け、それによりディミトリとはすれ違ってしまうのです。
最後は誤解が解け、ディミトリ亡き後は女王としてジョージアを支えていこうとします。
政治の事にかんしては全くの不案内だった女性が、国を支えようと懸命に奮闘する女王を見事に演じていたと思います。
ジャラルッディーン:瀬央ゆりあ
亡国・ホラズムの帝王の役。
後半になってから登場します。
自身の要求を呑まない者には容赦がない残虐な性格ですが、それと同時にディミトリの事を大事に守ろうとする面もあります(ディミトリの父親のエルズルム公からお願いされたからですが)。
最後の場面で、誰がホラズム軍の情報を漏らしたか問う場面は、手に汗握る場面となりました。
ジャラルッディーンがディミトリに優しく語りかけるのが、逆に恐かったのです。恐怖で背中が冷えましたよ(笑)。
ディミトリが服毒自殺をし「お前はジョージア女王の王配だ」と認めるやり取りは涙を誘いました。名場面と言って良いかもしれません。
ただ、ジャラルッディーンの出番はここでお終いとなります。
ちょっと尻切れトンボな感じがしたので、最後にちょこっと登場して「美しい王子よ、お前は勇気のある王配だった」みたいな事を言ってほしかったですね。
アヴァク・ザカリアン:暁千星
ジョージア王国の副宰相、イヴァネの息子の役。
ギオルギ王に仕えていましたが、彼が亡くなったのはディミトリが原因ではないかと勘違いして、そこからディミトリに対して疑念・不満を露にします。
それだけならまだ良いのですが、アヴァクはルスダンに対して、「ディミトリがジョージアを裏切って敵国と通じている」と嘘を言って、ディミトリとルスダンの仲を引き裂こうとするのです。
自分より地位や年齢が下の人が、自分より上の立場になったからって、これは酷いですね。
ホラズムが攻めてきて、首都のトビリシを陥落されてしまいますが、その原因の半分はアヴァクにあると私は思います。
アヴァクがもう少し大人で、ディミトリをしっかりと支えてくれる人なら状況はもう少しマシになっていたのではないでしょうか?
悪役ではありませんが、それに近い存在でした。
暁さんはソロもあり、朗々とした歌声には憎しみが込められており、その感情が伝わってきました。
星組生になって初の本公演の作品ですが、既に星組に馴染んでいます。
これから暁さんが星組でどの様に活躍されるかが注目ですね。
物乞い:美稀千種
その名の通りの役ですが、ストーリーテラーの役も果たしています。
登場した時は「この方は誰なの!?」とビックリしました。
もう怪メイクが印象強かったのです。
坊主頭と目の周りを黒く塗っている事によって不気味さが出ていました。それだけでなく、舞台上でしっかりと雰囲気を締める役割も果たしていました。
今作で1番印象に残った役は美稀さんの物乞いと言って良いでしょう。
タマラ女王:白妙なつ
ギオルギとルスダン兄妹の亡母の役。
登場シーンは回想のみで、それもちょこっとしか出てきませんでした。
本当に「えっ!? たったこれだけ!?」と叫びたくなる程の出番の少なさです。
いくら何でも扱いが酷すぎる様に感じました。
それでも、高貴な女王という雰囲気はしっかりと出ており印象に残りました。
これは白妙さん自身の力があってこそでしょう。
エルズルム公:大輝真琴
ディミトリの父親の役。
ディミトリがルスダンと結婚して王配になったと聞いた時、親戚の叔父さんが喜んでいる様な様子で、観ながらほっこりした気分になりました。
しかし、ジョージアがホラズムから攻められて、何の利益も無くなったジョージアとは同盟を解消したいと申し出ます。
人が良さそうに見えて抜け目が無い、その様な現実的な役を上手く演じていました。
ギオルギ:綺城ひか理
ジョージア王国の王、タマラ女王の息子、ルスダンの兄の役。
物語が始まって間もない場面で、バテシバ役の有沙瞳さんと共に歌を歌います。
お2人の歌は至福の時であり、その歌声に聞き惚れていました。また、壮大で盛り上がる曲なので、それも相俟って神々しく見応えのある場面になっていました。
また、この場面があまりにも素晴らしかったので「この作品の主人公ってギオルギとバテシバだっけ?」と錯覚する程です。
眼福・耳福の場面でした。
ギオルギはその後、モンゴル軍と戦いますが、矢で射抜かれてしまい亡くなってします。
後半は殆ど出番はありませんでしたが、それでも充分に印象を強く植え付けたと言えます。
2023年2月13日付で花組に戻りますが、花組で更に活躍される事を祈っています。
バテシバ:有沙瞳
ギオルギの妻の役。
物語が始まって間もない場面でギオルギと共に歌を歌います。
ギオルギの項で書きましたが、その場面が本当に素晴らしかったのです。観ながら聴きながら打ち震えていました。
有沙さんの歌が上手いのは勿論ですが、少ない場面の中でも演技力を発していました。
前作の本公演『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-』では、やや姐さん的なティアを演じていましたが、今作のバテシバは嫋やかさを纏った役です。
この役では王の妻という品をしっかり出しながら演じていました。
もはや有沙さんは星組に、いえ宝塚に欠かせない存在だと言えます。
アン・ナサウィー:天華えま
ジャラルッディーンの腹心の役。
登場するのは中盤になってからです。
他の役と比べると、ちょっとのんびりした喋り方をしています。役柄の影響もあると思いますが、いつもの声より柔らかい感じが出ていて、それが癒しになりました。
ソロで歌う場面もあり、印象に残りました。
ガンベダオバ(リラの精):小桜ほのか
人間の役ではありません(笑)。
物語上では正直重要な役ではありませんが、ジョージア王国の物語を語る存在として登場します。
綺麗な歌声とダンスが印象に残りました。
ただ、もう少し良い役を宛がってほしかったですね。
ミヘイル:極美慎
ジョージア王国の白人奴隷の役。
奴隷なので周りからは軽く扱われているだけでなく、人として見られていません。
最後は状況を勘違いしたディミトリに切り殺されてしまいます。
何とも救いのない役ですが、この役を極美さんはいじらしく健気に演じており、その姿がとても可愛らしかったです。
衣装は他の役と違い白1色でした。これも奴隷なので、他の役の様にキラキラだったり派手に出来ないという事ですが、逆にそれが目に付きました。
ただ、それは衣装の力だけではなく、極美さんからスターのオーラが出ているというのが大部分でしょう。
公演ごとに上手くなってきている極美さん。歌は固さを感じる時がありますが、それも段々と改善していくでしょう。今後の作品もどの様に活躍されるか楽しみです。
タマラ王女:藍羽ひより
ディミトリ・ルスダン夫妻の娘。
いたいけな雰囲気が可愛らしく、ハッキリした声も印象に残りました。
可愛らしさと綺麗さを兼ね備えた娘役で、これからの活躍が楽しみになります。
娘役の出番があまり無い
今作『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』は主だった役以外はあまり目立っていませんでした。
特に娘役がそうです。
娘役で印象に残ったのは舞空さん、有沙さん、藍羽さんぐらいです。
雪組公演『蒼穹の昴』程は酷くありませんが、ハッキリ言って娘役の大部分はモブ扱いされている様に観えてしまいました。
他に感じたのは男役・娘役のキャラクターを問わず、それぞれのキャラクターの個性が他の作品と比べるとあまり際立っていない事です。
この作品で1番印象に残ったキャラクターは誰かと言われたら、躊躇なく美稀さんが演じた物乞いを挙げます。
しかし、それ以外のキャラクターはちょっと弱いです。
作品自体は破綻なく起承転結もあり美しかったのですが、もう少しキャラクターの個性が出るような演出と娘役にもっと役を宛がってほしかったですね。
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