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星組公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

先日、東京宝塚劇場にて星組公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』『JAGUAR BEAT-ジャガービート-』を観劇して参りました。

今回は浪漫楽劇『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』(脚本・演出:生田大和)の感想を書いていこうと思います。

纏まりのある美しい作品

今作は並木陽作先生の『斜陽の国のルスダン』を原作とした作品です。
私は原作を読まずに観劇しました。

原作を読んだ方がより楽しめると思いますが、予備知識が無くても楽しめる作品になっています。

舞台がジョージアという国で、正直あまりメジャーではありませんが、その様な事は全く問題にはなりませんでした。

少し駆け足な展開があった様に感じた所は見受けられましたが、全体としては纏まり感があり破綻も無く、しっかりと起承転結もありました。13世紀のジョージアという国を堪能出来ました。

個人的に良かったのは紫のリラの花が出てくる場面が美しかったですね。紫色の照明も上手く駆使していて、観ていて幻想的な世界の様に感じました。この様な場所があれば本当に行きたくなる気持ちになります。

宝塚やミュージカルを観た事の無い方でも充分に感動したり、引き込まれる作品に仕上がっていると言えるでしょう。

纏まり感がある故に・・・

確かに観ていて感動しましたし、人間関係の駆け引きや悲喜こもごもなども描かれていて、その辺りの展開も上手かったです。

ただ、同時に何となく無難に纏めた感じもしないではありません。良かったのですが、何か物足りない・・・。
全ての出来事が予定調和の様に起こった感じに観えたのです。

星組公演『Gran Cantante!!』の感想でも書きましたが、【想定内の感動・面白さ】なのです。

「貴方の好みの問題でしょ」お叱りを受けそうですが、今の星組はただ舞台役者としての技術が高いだけの組に感じるのです。

観ているその時は「礼真琴さんは本当に上手い!」「星組はパフォーマンス力が高い」と確かに思うのですが、観終わった後は正直残る物があまり無い様に感じてしまいます。

余韻力』というのが星組には不足していると思うのです。

演出の問題もあるのかもしれませんが、初めて思った事ではないので、もしかするとこれは星組の1番の課題なのかもしれません。

とは言っても、先に書いた様に充分に及第点に達する作品にはなっています。難しい事は考えずに観た方が良いのでしょう。

その他に思った事

いきなりクライマックス!?

ディミトリ』の主人公は言わずもがな、さんが演じるディミトリです(原作では舞空瞳さんが演じるルスダン)。

開幕して間もない場面で綺城ひか理さんが演じるギオルギと、有沙瞳さんが演じるバテシバがソロで朗々と歌う所があります。
この歌は簡単に言うと愛しているからこそ別れる内容の歌なのですが、とても壮大で盛り上がる曲なのです。

「アレ? この物語の主人公ってギオルギとバテシバだっけ?」と錯覚するぐらいだったのです。

綺城さんと有沙さんの迫力のある歌声には打ち震えました。このお2人のお陰で舞台はより魅力的になったと言っても過言ではありません。

ただ、この歌はクライマックスで使われそうな歌なのです。
確かにお2人の歌には聴き惚れましたが、ちょっと最初にしては盛り上がり過ぎた感じもしました。

ですので、その後のディミトリの場面が少しの間霞んでしまいました(笑)。

因みにバテシバは平民出身の元人妻なので、周りからは良い目で見られていません。だから、自分の国に帰ると序盤で告げるのですが、急すぎて「何のこっちゃ?」とやや感じました。
ですので、無理やりバテシバの場面を作った様にも観えてしまいました

1番酷い役は?

13世紀の美しいジョージアを舞台にしており、それを堪能出来る作品ですが、悲劇は突然やって来ます。

モンゴルやホラズムに攻め込まれる場面があるのです。

通常(と言う言い方は変ですが)なら、そのモンゴルやホラズムが悪党として描かれます。
勿論、その様に描かれていましたが、私は1番の悪党はモンゴルやホラズムではないと感じました。

じゃあ誰なのかと言うと、暁千星さんが演じたアヴァク・ザカリアンです。
アヴァクはジョージア王国の副宰相で、ギオルギ王に仕えていました。

しかし、そこに人質として送られていたディミトリが王配となります。
これに疑念や憎しみを募らせ、「何でアイツが!?」と憤ったアヴァクがディミトリとルスダンの仲を引き裂こうとするのです。

確かにディミトリは異国生まれの身ですが賢い若者です。経験を積ませればジョージア王国をより良くする事が出来たでしょう。

なのにアヴァクときたら(笑)。
この人が精神的にもう少し大人で、ディミトリに色々と助言などをしたら、ホラズムから攻められてももう少しマシな状況になったのではないでしょうか?

恐らくアヴァクはディミトリに嫉妬していたのでしょう。
オーシャンズ11』のテスに「男の嫉妬ってみっともないわよ」という台詞がありますが、正にその通りです。

でも、こういう人って必ず職場に1人はいるんですよねぇ・・・。自身の勘違いから周りを巻き込んで滅茶苦茶にしてしまう・・・。

とは言っても、アヴァクの気持ちは分からないでもないです。私も若い時は「成績も態度も私より下のあの人が何故!?」と不満を抱いた事はあります。
ですが、幸い私は国の存亡に関わる様に地位に就いてもいなければ、その様な仕事もしていません(笑)。

アヴァクはディミトリが亡くなった後、改心してルスダンに誠心誠意を尽くして仕える事を伝えますが、今まで自身がディミトリとルスダンの仲を引き裂こうとしてきた事も伝えたのでしょうか?

この辺りをもう少し描いてほしかったですね。

とりあえず、私にとってこの作品で1番の悪党で曲者なのは私の中ではアヴァクという事です。

娘役の扱いが・・・

観ていて気付いた事がありました。それは娘役の扱いです。

蒼穹の昴』ほどではありませんが、娘役の大部分がその他大勢という扱いを受けていました。

例えば、小桜ほのかさんはガンベダオバという役を演じていますが、この役はリラの精です。歌と踊りをする場面はありました。しかし厳しい事を書きますが、物語上いなくても良い役です。

白妙なつさんが演じたタマラ女王(ルスダンの亡母)は回想のシーンのみしか出てきません。それもほんのちょこっとだけ。

娘役を応援しているファンにとっては、その辺りがちょっと不満に感じてしまうかもしれません。

PCのRPGゲームに出来そう

最初に「全体としては纏まり感があり破綻も無く、しっかりと起承転結もある」と書きました。

人間関係の駆け引きやすれ違い、戦いの場面などが詰め込まれているので、PCのRPGのゲームにも出来そうな気がしたのです。

どの様にすればジョージア王国を他国から守りながら発展させていくかという内容で、プレイヤーはディミトリとルスダンを交互に変えながらプレイします。

結構面白いゲームになりそうだと思うので、どなたか作ってくれませんか(笑)?

以上が私が『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』を観た際の感想です。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)と宝塚(全組観劇派)が好きです。 ツイッターも行っており、気儘に呟いています。