元聖飢魔Ⅱのギタリスト、ダミアン浜田が1996年に唯一リリースしたソロ作品。全作詞・全作曲をしている。
全10曲収録。
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照魔境の演奏メンバー
- ダミアン浜田:Vocals,Guitars,Synthesizer Programming
- デーモン小暮:Vocals(Track 8)
- エース清水:Vocals(Track 6)
- ゾッド星島:Vocals(Track 4)
- ライデン湯沢:Drums
- ゼノン石川:Bass(Track 1,2,3,5,6,8,10)
- 鈴木研一(人間椅子):Bass(Track 4,7,9)
- 松崎雄一:keyboards,Synthesizer Programming
ダミアン浜田は聖飢魔Ⅱに在籍していた頃は、曲作りの中心人物だったが、メジャーデビュー前に脱退。脱退後は聖飢魔Ⅱの1st「聖飢魔Ⅱ~悪魔が来たりてヘヴィメタる」、2nd『THE END OF THE CENTURY』、3rd『地獄より愛を込めて』に曲を提供した。しかし、その後は音楽活動をすることは無く、高校の数学教師になった。
また、聖飢魔Ⅱが1996年にリリースした9th『メフィストフェレスの肖像』に曲も提供している。
各楽曲ごとの解説&感想
①世界破滅への序曲
インスト。シンセのコーラスが印象に残る。0:39からギターリフは始まり、1:00からギターソロになる。1:26からギターとキーボードのユニゾンになり、1:40からはキーボードソロになる。ギターよりキーボード主体の曲になっている。
幻想的な曲で掴みはバッチリである。
②SORCEROUS KINGDOM
やや激しめのギターのリフから始まるミドル・テンポの曲。キーボードはイントロとアウトロと途中のギターソロの間は目立つが、それ以外は殆ど脇に回って曲を引き立てている。他の曲より少し地味かもしれない。
③灼熱の蜃気楼
キーボードの煌びやかな音から始まる疾走感のある曲。②とは違いキーボードが曲のあちこちで活躍している。ギターの音はソロ以外はあまり目立たず、むしろベースの音の方が目立っている。メロディが印象に残りやすい。
④ANOTHER・・・
ボーカルはゾッド星島。やや影のある粘着的な声が曲と合っている。出だしはやや不穏な雰囲気がする鐘の音から始まる。この曲もギターが殆ど目立たず、ベースが1番目立っているように思った。
目立つ順としてはボーカルを除いて、ベース>ドラム≧キーボード>ギターである。
⑤嵐が丘
疾走感のある曲。歌メロも印象に残りやすく、ライブでは観客が共に歌ってより盛り上げれそうな曲である。私的には『照魔鏡』の中で1番のオススメ曲だ。曲の雰囲気は明るく、ギターのリフも激しめである(Bメロでは一切ギターを弾いていない気がするが)。
中毒性が高く、何回も聴きたくなる曲である。
⑥TEARS IN THE RAINBOW
バラード曲。ドラムとピアノで始まり、そこにギターソロも混ざる。歌が始まるのは1:17頃から。この曲のボーカルはエース清水である。ダミアン浜田はコーラスだが、サビになるとエース清水がコーラスでダミアン浜田がボーカルになっている印象を受ける(ミックスの問題だろうか)。
エース清水の味わい深いボーカルが、悲しげな雰囲気のある曲と合っている。楽器ではダミアン浜田の繊細なギターソロが目立つ。曲の終わりはサビのリピートになり、そこにギターソロが重なり、ゆっくりフェイドアウトしていく。7分半程の曲だが、冗長にはなっていない。
⑦月光
シンフォニック・メタル傾向が強いミドル・テンポの曲。キーボードの音だけ聴くと初期の頃のNIGHTWISHを思い出す。2:45頃からのキーボードの音色はシンフォニック+プログレという印象を受けた。全体的にキーボードが活躍する曲である。
⑧失楽園はふたたび
デーモン小暮がボーカル。全体的には派手派手しくなく落ち着いた雰囲気の曲である。テンポもミドル・テンポの為、盛り上がるという曲ではないが、デーモン小暮が歌っているという事もあり、安心感を感じる曲である。
⑨照魔鏡
このアルバムの中で1番ヘビーな曲。重々しいリフから始まるのが特徴である。すれゆえキーボードは入っていても、あまりメロディアスではない。テンポは遅め。ギターソロはアウトロでも弾いている。このアルバムの中では1番地味な曲の様に思えた。
⑩LONESOME ANGEL
浮遊感のあるキーボードから始まり、そこに他の楽器も加わる。幻想感が高めでありながら、ノリの良い曲である。私的には2:40頃からのキーボードのファンファンという音色→ギターソロ→キーボードソロ→ギターソロ→ギターとキーボードのユニゾンという流れが堪らなかった。後半のボーカルは左と右のダブル(左が高音、右が低音)になる。
全体的な感想
ギターの線が細く、重いリフを弾いている曲(⑨)でも他のギタリストと比べたら、あまり力強さは感じない。むしろ主体の音はキーボードであって、ギターは添え物の様な位置付けになっていると思った。その為、ギターのサウンドが物足りないと感じる人もいるかもしれない。
だが、この『照魔鏡』の世界観を表現するにはこの位のサウンドが良いのかもしれない。これが逆にギターの音がメインになっていたら、中途半端なサウンドになってしまったであろうと思う。
さて、曲ごとの感想では、あえて触れなかった事がある。それはダミアン浜田のボーカルである。正直に書く。初めて聴いた時は「何だ、この声は!? 喉で歌っている感じがするし、高音部は苦しそうな声を出しているではないか。そもそも歌った事があるのか? 素人でももっと上手い人はいる」と思った。1996年に販売した当時も、ダミアン浜田のボーカルは賛否両論を呼んだらしい。確かに曲は素晴らしく良いのにダミアン浜田のボーカルを聴いてしまって引っ繰り返ってしまった人もいただろう。それに比べてデーモン小暮のボーカルは本当に安心して聴けるし、ボーカリストでないエース清水やゾッド星島の歌もちゃんと聴ける。
しかし、何回も聴くうちに慣れてきたのかは分からないが、「ダミアン浜田が歌うから良いのである」と考えが変わったのである。あの喉で歌っているような声が曲の雰囲気に非常に合っていると気付いたのである。確かにデーモン小暮の方が音域も広いし安定感もある。だからと言って、デーモン小暮が全曲を歌ったら、逆に『照魔鏡』の魅力を出し切れなかったのではないかと思った。何故ならデーモン小暮のボーカルは聖飢魔Ⅱのような力強いサウンドに力を発揮する訳であり、『照魔鏡』のようにギターの線が細い繊細な楽曲では浮いてしまう可能性がある。
それによって気付いたのは、必ずしも「歌が上手い=楽曲の良さを引き出せる」とは限らないという事だ。私は曲を聴く時、その曲にどれだけその曲の持つ世界に引き込む力があるかを重点に置いている。
勘違いしないでほしくないのだがデーモン小暮が駄目と書いてる訳ではない。それどころか、デーモン小暮は世界を代表するボーカリストだと私は確信している。だが、今作の『照魔鏡』はダミアン浜田が歌って正解だと私は思っている。
全体的にはメロディアス・ハード/メロディック・メタルのような雰囲気だが、他のどのバンドよりもメロディの力が強い。
ダミアン浜田の作る曲はとても中毒性がある。嵌ってしまうと抜けられない。だから是非聴いてほしい。聴けばダミアン浜田が非凡な作曲能力を持っている事が分かるだろう。
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