ノルウェーのゴシック・メタル・バンドが1997年にリリースした2ndアルバム。
全11曲収録(日本盤ボーナストラック2曲含む)
- バンドメンバー
- 各楽曲ごとの解説と感想
- ①Velvet Darkness They Fear(邦題:畏れるは天鵞絨の闇)
- ②Fair and ‘Guiling Copesmate Death(邦題:公平にして慰みに満ちた友たる死)
- ③Bring Forth Ye Shadow(邦題:汝の陰を生ぜしめよ)
- ④Seraphic Deviltry(邦題:熾天使の如き悪魔が所業)
- ⑤And When He Falleth(邦題:彼が墜落する時)
- ⑥Der Tanz der Schatten(邦題:幻影の舞踏)
- ⑦Black as the Devil Painteth(邦題:悪魔が塗りし如き黒)
- ⑧On Whom the Moon Doth Shine(邦題:誰が上に月は照らす)
- ⑨The Masquerader And Phoenix(邦題:仮面舞踏会の客と不死鳥)
- ⑩A Rose for the Dead(邦題:死者への薔薇)
- ⑪Der Spiegel(邦題:鏡)
- 全体的な感想
バンドメンバー
- Raymond I. Rohonyi:Vocals
- Liv Kristine Espenæs:Vocals
- Geir Flikkeid:Guitars,E-bow
- Tommy Lindal:Guitars
- Eirik T. Saltrø:Bass
- Hein Frode Hansen:Drums
- Lorentz Aspen:Synth,Piano
各楽曲ごとの解説と感想
※全曲に邦題あり(厨二病っぽい邦題もある(笑))。
①Velvet Darkness They Fear(邦題:畏れるは天鵞絨の闇)
1分程のインスト。冷たく暗いピアノのサウンドと、後ろでうっすらと不気味に流れているキーボードのみの演奏。1:00からLivの歌が入り、そのまま2曲目に繋がる。
②Fair and ‘Guiling Copesmate Death(邦題:公平にして慰みに満ちた友たる死)
前曲から繋がった状態で始まる。長さは7分程であり、スローで重々しく、鬱々とした雰囲気の曲だ。
テンポが途中で何回か変わる(1:18~はテンポがアップするが、4:06~は元のスロー・テンポに戻る。5:23~は再度テンポがアップする)。
メロディはあまり印象に残らなかった。
③Bring Forth Ye Shadow(邦題:汝の陰を生ぜしめよ)
6分50秒程のミドル・テンポの曲。不安感を煽る暗いギターの音色から始まる。
ギターリフがとにかく重々しい事と、RaymondのグロウルとLivの可憐な歌声のコントラストが印象に残る。また、荘厳で美しい雰囲気を持っている曲だ。
ただ、サビがどこか分からず、メロディは印象に残りにくかった。
因みに、今作のアルバムタイトルであり、1曲目のタイトルでもある❝Velvet Darkness They Fear❞が歌詞に出てくる。
④Seraphic Deviltry(邦題:熾天使の如き悪魔が所業)
今作のお薦め曲。
ミドル・テンポでノリの良い曲。
他曲と比べてメロディラインがはっきりしており、歌メロも印象に残りやすい。緩急もあり、構成も良い。
キーボードが良い所で、曲を荘厳にしている。RaymondとLivの声の割合も良く、中毒性がある曲だ。
⑤And When He Falleth(邦題:彼が墜落する時)
冷たく暗いピアノから始まるミドル・テンポの曲。長さは7分程である。
この曲の特徴は、4:05~5:44でRaymondとLivが台詞の掛け合いをしている所である。正直何と言っているのかは分からないが、明るい内容ではない事は確かだろう(多分)。
この台詞の部分だが、面と向かって話しているのではなく、電話で話している様な雰囲気を感じた。
ただ、この曲もサビがどこか判断出来ず、メロディもあまり印象に残らなかった。
⑥Der Tanz der Schatten(邦題:幻影の舞踏)
今作のお薦め曲。
厳かなキーボードから始まる曲。歌詞はすべてドイツ語。
アップ・テンポという訳ではないが、今作の中では速い方の曲である。
ノリが良く、歌メロも印象に残りやすい。なので、ライブでは盛り上がるかもしれない。
ギターのリフが心地良く、また、この曲はそんなに重々しくない(明るいという訳でもないが)ので、鬱々とした気持ちにはならないと思う。
⑦Black as the Devil Painteth(邦題:悪魔が塗りし如き黒)
スロー・テンポとミドル・テンポを行ったり来たりしている曲。
RaymondはAメロではグロウル、サビではノーマルの声で歌っている(この曲にBメロは無い)。Raymondのノーマルの声は、抑揚は無いが威厳の様な物を感じた。
ただ、曲としてはあまり印象に残らなかった。
⑧On Whom the Moon Doth Shine(邦題:誰が上に月は照らす)
ディレイをかけている様な、ギターのリフから始まるドラマティックな曲。
この曲ではキーボードが特に活躍しており、ストリングスを活かしている。
2:37からより盛り上がる展開となり、心を揺さぶられる歌メロがあった(2:38~3:04、3:58~4:23)。
歌は4:30頃で終わるが、そこから楽器のみの演奏が1分45秒程続く。
因みに❝Angels Of Death❞という歌詞が出てくるが、SLAYERの「Angel Of Death」とは関係無い(多分)。
⑨The Masquerader And Phoenix(邦題:仮面舞踏会の客と不死鳥)
ハープの音で始まるスロー・テンポの曲。7分30秒程の長さである。
この曲はLivが歌う所にもハープの音が入っていて、幻想的で浮遊感のある雰囲気になっている。しかし、Raymondの歌う所になると、重いギターリフが入り、鬱々とした感じになる。
5:35から、ややスピードアップし激しくなる。特にドラムが目立ち、タムを駆使した演奏をしている。
曲の終わり方が急な気がした。
⑩A Rose for the Dead(邦題:死者への薔薇)
日本盤ボーナストラック。スローな曲。
静かで暗いギターのフレーズから始まり、ヘビーなリフに繋がる。
とにかく暗い雰囲気の曲だ。ただ、それ以外に印象に残るものは、正直無かった。リフやメロディも弱い。
⑪Der Spiegel(邦題:鏡)
日本盤ボーナストラック。歌詞は全てドイツ語。
出だしから急き立てている様な演奏をしており、今作の中ではアップ・テンポの部類に入るだろう。
キーボードが曲に活躍しており、特に2:35~2:50の部分はカラフルな音色になる。少しEDMっぽい所もあり、今作の中では異曲になると思う。
全体的な感想
とにかく暗い作品である。ギターのリフが重々しく沈鬱だし、Raymondのグロウルや囁き声が、より雰囲気を暗くしている。しかし同時に美しさもある作品だ。その理由は、Livの可憐な歌声と、神秘的なキーボードが入っている事である。それにより、気品や高貴さを伴っている耽美的な作品に仕上がっている。
楽曲はスロー~ミドル・テンポの曲が殆どである。その為、盛り上がる曲はほぼ無い。
また、ギターソロは全曲無く、サビがどこか分からない曲も多い。決して楽しくなったり、前向きになれる様な曲は無い。そういうのを求める人にとっては、今作『VELVET DARKNESS THEY FEAR』は好ましい作品とはならないかもしれない。
しかし、逆に暗い作品が好きだったり、一緒に盛り上がるよりも曲に聴き入りたいという人にはお薦めである。
そう書いたものの、今作は「この曲は堪らん!!」という曲と「全然印象に残らない」という曲の2タイプに分かれると思う。実際、私が気に入った曲は④⑥⑧ぐらいだ。
また、今作を最初から最後まで通して聴くのはツライ所があった。その理由は、曲が1曲目以外、全て5分以上の長さであった事である。聴き所や壺に嵌まる要素が多ければ良いのだが、正直そうではない。展開が多い曲もあるが、技巧的という訳ではなく、演奏力も高いという訳でもない。
それでも今作『VELVET DARKNESS THEY FEAR』は、不思議な中毒性があり、月並みな書き方だが「魔力」みたいのがある。そういう作品だ。
先にも少し書いたが、今作は下記の様な方にはお薦め出来る作品である。
- 暗い作品が好き
- 曲の世界に没頭したい
- ギターソロ無しでもOK
この作品は、嵌まったらクセになる作品だと思う。
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