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DREAMTIDE アルバム『HERE COMES THE FLOOD』感想

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ドイツのメロディアス・ハード・バンドが2001年にリリースした1stアルバム。

全13曲収録(日本盤ボーナストラック1曲含む)。

バンドメンバー

  • Olaf Senkbeil:Vocals
  • Helge Engelke:Guitars,Backing Vocals
  • Ole Hempelmann:Bass
  • CC Behrens:Drums
  • Torsten Luederwaldt:Keyboards

当時、活動休止中だったFAIR WARNINGのギタリスト、Helge Engelkeを中心に結成。

ボーカルはHelgeの知り合いから推薦されたOlaf Senkbeilを起用。Olafは以前にはメタル・バンド、JACK’S HAMMERのボーカリストとして活躍しており、解散後はLACRIMOSAやBLIND GUARDIANの作品にコーラスとして参加していた。

ドラムはFAIR WARNINGの3rdアルバム『Go!』リリース後、脱退したCC Behrensを、キーボードはFAIR WARNINGのライブでキーボードを担当していたTorsten Luederwaldtを起用。

ベースはドイツのメタル・バンド、THUNDERHEADの元ベーシスト、Ole Hempelmannを起用した。

各楽曲ごとの解説と感想

①What You Believe In

神秘的なキーボードから始まるハイ・テンポの曲。出だしのキーボードは静かに始まるが、途中で左右に揺れ、その後キーボードの波となる。そこに他の楽器とOlafの声が重なる。

もう出だしからして名曲と確信出来る曲である。

豊かな彩りを持ったサウンドであり、歌メロも印象に残る。生き生きとした演奏をしており、聴く者をグイグイと引き付ける力がある。

鮮やかな速弾きのギターソロを弾きながら曲はフェイド・アウトして終わる。終わり方も余韻が残って良い。

②Your Life

元気なギターリフから始まる疾走曲。とてもノリが良く、ライブでは盛り上がる事間違いない曲であろう。活気のあるサウンドが聴く者を奮い立たせる

2:17~2:37は間奏だが、そこにピアノの音色が入り、軽やかさも加わっている。また、コーラスが活躍しており、それが曲に良いスパイスとなっている。

③Come With Me

小さく軽めのキラキラしたキーボードから始まるミドル・テンポの曲。タイトな演奏にキーボードがカラフルな彩りを付けている。歌メロも印象に残りやすい。

ギターソロも活躍している。間奏(2:52~3:27)は勿論、曲の終わりの方(4:23~5:02)でも弾きまくっている。琴線を揺さぶるメロディである。

④Dreamers

幻想的なキーボードで始まるバラード曲。宇宙の様な広がりを感じる音色である。フルート風の音色が出てくるが、それが郷愁を誘う。

2番のサビからバンド演奏になって盛り上がる。ドラマチックな楽曲であり、メロディも美しい。この曲でもHelgeは鮮やかなギターソロを沢山弾いている。

曲はコーラスのアカペラで終わる。壮大感のある曲である。名曲と言って間違いない

⑤Fighter

日本盤ボーナストラック曲。艶っぽい異国情緒の雰囲気を感じるアコースティック・ギターから始まるミドル・テンポの曲。そこから勇ましいバンド演奏となる。シンフォニック・メタルの様なキーボードが特徴である。その音色をサビでも演奏してくれたら、より壮大になったと思う。

4:20~4:40はまるで勇者が行進するかの様な、勇ましいホーン風の音色が入る。

全体的に勇ましいサウンドだが、歌メロは良くも悪くもないという感じだった。

⑥Ten Years Blind

ハードなギターリフが前面に出ているミドル・テンポの曲。Aメロでは低く抑えた様な歌い方をOlafはしている。低い声は味わいのある声だ。

ごくまれに入るパーカッションが特徴であろう。

歌メロは2番のサビの後の部分(2:39~2:58)がノリが良く、1番印象に残ると思った。間奏(2:59~3:20)はパーカッションや妖しい感じの声が入っており、独特な雰囲気である。

ギターソロは3:51以降、曲がフェイド・アウトするまで弾き続けている。

⑦Sundance

異国的で民族的な声(「アー」や「ヨーホロイエイ」と聴こえる)で始まるハイ・テンポの曲。しかし全体的には瑞々しいメロディアス・ハードの曲である。バンドやコーラスの展開が上手く、ノリも良くドラマ性のある曲だ

ただ、何と言っているのか分からない活舌の悪い民族的な男性の声が、曲のあちこちに入っている。それが好き嫌い分かれると思うが、非常に特徴的とも言える。私は良いと思う(知り合いは「変だ」と言っていたが・・・)。

曲は太鼓の音とコーラスで終わる。

⑧Moment Of Truth

チェロとエレキギターのリフで始まるミドル・テンポの曲。1番のサビの後、バンド演奏となる。ギターソロは鮮やかな音色だけでなく、やや渋めのブルースっぽい音色も聴く事が出来る。

サビはゆったりとして雰囲気である。全体的にポップな感じであり、歌メロも良い感じだ。

⑨I Take The Weight Off Your Shoulders

しっとりとしたピアノで始まるバラード曲。全体的に爽やかさを感じる曲である。

④の様な壮大さは無い。他の曲と比べると淡白な印象を受けるが、決して物足りないサウンドではない。

優しいサウンドが特徴であり、また、この曲はOlafのボーカルに重点を置いている気がした。

⑩Crushed

キーボードソロで始まるミドル・テンポの曲。所々でギターやキーボードが中国風の旋律を奏でている。

勇ましい「イエー」という合いの手やコーラスが出だし・サビ・曲の終わりに入っている。しかしサウンド自体はそこまでハードという訳ではない。

この曲は正直、完全にイマイチである。特に歌メロである。最初聴いた時、「サビはいつ来るのか?」と思った。2番になった時、「えっ? そこがサビだったの?」というくらい弱い歌メロなのである。

その為、パッとしない曲である。

⑪Phoenix Tears

ギターソロとキーボードのみのインストである。とても幻想的な雰囲気となっている。柔らかく広がりのあるキーボードの音色とリバーブがかかった甘い音色のギターが、もう堪らない

琴線を揺さぶる素晴らしい曲である。天へ昇ってしまいそうな気持ちになる。

インストだが完全にお薦めの曲である。

⑫Promised Land

優雅な弦楽四重奏の演奏から始まるややハイ・テンポの曲。ただ、弦楽四重奏は出だしと曲の終わりの方で、バンド演奏がフェイド・アウトした後の演奏のみである。少し物足りない感じがした。もっと大々的に取り入れていたら、他の曲とより差別化が出来たと思う。

美メロはあまり無いが、曲自体は力強く、勢いとノリのある演奏となっている。

⑬Heaven Knows

オーケストラ・サウンドとOlafのボーカルのみの演奏である。緩急と迫力を伴う、とても壮大な曲となっている。琴線を揺さぶるメロディも入っている美しいサウンドである。

アルバムの締めとして相応しいドラマチックな曲だ

全体的な感想

名作!!

とてもメロディアスでカラフルに満ちた作品である。特に前半の4曲はキラー曲である。ただ5曲目以降には少しイマイチなメロディの曲も出てくる(⑩⑫など)。それでも全体的には躍動感に満ちており、聴く者の心に強く迫ってくる力を持っている

また、バラエティに富んだ作品である。ハイ・テンポ、ミドル・テンポ、バラード曲などがバランスよく入っている。それだけでなく、インストの曲や、オーケストラ・サウンドとOlafのボーカルのみという曲もある。その様に様々なタイプの曲があるので、聴く者を飽きさせない工夫がしてあると感じた。

FAIR WARNINGとよく比べられるが、正直大きな違いは無い。ただ、相違点といえば、まずボーカルである。FAIR WARNINGのTommy Heartは高めで繊細な声をしているが、OlafはTommyよりも低めで力強い声をしている所であろう。

他には、FAIR WARNINGには正式なキーボーディストがいなかったが、DREAMTIDEにはいる事である。Helgeがキーボードこそが大切な役割を果たすと考えた為である。それもあってFAIR WARNINGの作品よりもキーボードの音色が多く入っており活躍している。その活躍により曲が豪華に、且つダイナミックになっている。

後は、ソングライティングが完全にHelge中心になった事だと思う。FAIR WARNINGではUle Ritgenが中心に曲を作っており、Helgeが作る曲は数曲のみだった。だが、DREAMTIDEではHelgeが全曲の作詞・作曲をしている。それが関係しているのか、FAIR WARNINGのよりも生き生きとギターを弾いている気がした。

多少の相違点はあっても、琴線を揺さぶるメロディを持つ点はFAIR WARNINGと共通している。

先にも書いたが、頭4曲が最強なので、その4曲の為だけに買う価値は充分にある。勿論、5曲目以降にも良いメロディを持った曲はある。5曲目以降で私のお薦めは⑦⑨⑪⑬である。

DREAMTIDEはFAIR WARNING程の存在感は無いなんて言われているらしいが、この1st『Here Comes The Flood』はFAIR WARNINGの作品に勝ってはいても、決して劣らない作品と断言出来る

どうかこのカラフルで生気が溢れているメロディの中に、飛び込んで堪能してほしい。メロディアスな曲が好きな人なら、必ず聴くべし。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)と宝塚(全組観劇派)が好きです。 ツイッターも行っており、気儘に呟いています。