ドイツのメロディアス・ハード・バンドが2003年にリリースした2ndアルバム。
全13曲収録(日本盤ボーナストラック1曲含む)。
バンドメンバー
- Olaf Senkbeil:Vocals
- Helge Engelke:Guitars
- Ole Hempelmann:Bass
- CC Behrens:Drums
- Torsten Luederwaldt:Keyboards
2001年にリリースした1st『Here Comes The Flood』とメンバーは同じ。
各楽曲ごとの解説と感想
①Dream Real
ビヨンビヨンする音(ギター?)で始まるミドル・テンポの曲。力強い演奏であり、Olafも熱唱している。
ギターがこもった様な音をしており、キーボードの演奏は控えめである。
感想だが、歌メロは悪くはないが良いという訳でもない。ノリも特別に良いという訳でもない。正直あまりパッとしない曲である。特にこの曲が1曲目なので「う~~~ん」という思いを抱いてしまった。3曲目くらいに入っていれば印象が変わったかもしれない。
②Live And Let Live
キーボードのリフで始まるノリの良い曲。鮮やかなキーボードの音色がアクセントとなっている。ギターソロは間奏だけでなく、曲の終わり(5:08以降)でも速弾きしている。
勢いのある演奏なので、ライブで盛り上がる曲であろう。歌メロも印象に残る。この曲を1曲目にした方が良かったのではないだろうか?
③I’ll Be Moving On
ややフランジャーのかかったギターで始まるミドル・テンポの曲。ギターのリフがハードな演奏をしており、Olafも熱唱している。間奏でのギターソロはあまり無い。キーボードの音は最低限という感じである。
歌メロは良くも悪くもない。楽器の演奏よりも歌に重心を置いている気がした。
④All Of My Dreams
アコースティック・ギターとキーボードの演奏で始まるミドル・テンポの曲。伸びやかなOlafの歌声を聴く事が出来る。
良い曲だが、いま1つ物足りない。Olafの熱唱に対して、バンドの演奏が控えめで地味になっている気がする。その為か歌メロも光っておらず、イマイチに感じてしまう。
⑤I’m Not With You
民族的な「アー」という声で始まるハイ・テンポの曲。民族的なのは冒頭の「アー」のみで、全体的には激しくノリが良いハードな曲である。
歌メロは美メロという訳ではないが印象に残る。もう少しカラフルなキーボードの音色を取り入れたら、曲が華やかになってより良くなったのではないだろうか。
4:01~5:02ではHelgeがギターソロを弾きまくっている(4:34~4:40では輪郭をぼかしたような音になっている)。
⑥Man On A Mission
この曲もハードなハイ・テンポの曲である。低い声のコーラスが特徴である。
楽器陣は元気に演奏し、Olafもこの曲でも熱唱しているが、メロディがイマイチで印象に残りずらい。ノリの方に重点を置いていると思うが、⑤程ノリは良くない、それゆえ、色々と惜しいと感じてしまった曲である。
⑦Eden
エキゾチックな雰囲気があるミドル・テンポの曲。そのエキゾチックな所が特徴だが、正直それのみである。メロディの力は弱く印象に残りにくい。だからと言ってリフやフレーズが印象に残るという訳でもない。ノレる訳でもない。
全体的に間延びしている感じを受けた。イマイチな曲である。
⑧Land Without Justice
小さいサイレンの様なキーボードの音とスクラッチの様な音から始まるややハイ・テンポの曲。曲の所々(出だしや終わりにも)にサイレンの様な音とスクラッチの様な音が入っているのが特徴。
ノリの良い曲である。歌メロはとびきり印象に残るという訳ではないが、この『Dreams For The Daring』の中では良い方だと思う。
⑨Out There
清涼感のある80年代っぽいキーボードの音で始まるミドル・テンポの曲。
爽やかさを感じる曲であるが、この曲もメロディが弱い。その為、(この曲に限らないが)曲の世界の中へどうしても入り込む事が出来ない。
⑩Dreams Are Free
ミドル・テンポの曲。リズム重視の曲で、メロディは正直光っていない。
出だしの数秒のハードなギターリフだけ聴けば、ノリが良いハイ・テンポの曲かなと思うがそうではない(すぐにテンポ・ダウンする為)。
冒頭のハイ・テンポの調子のまま演奏してた方が、曲が良くなったのではないだろうか?
⑪Along The Way
日本盤ボーナストラック。綺麗な優しい音色のアコースティック・ギターで始まるバラード曲。1番のサビまでアコースティック・ギターとキーボードとコーラス、そしてOlafのボーカルでの演奏だが、それ以降はバンド演奏となる。
正直、11曲目にしてようやく印象に残る美しいメロディを持った曲が聴けたと思ってしまった。Helgeの天に昇る様なギターソロも短いながらもアクセントとなっている。
1番のサビの後の1:21~1:30はストリングスの演奏がされていて、曲を一時的に壮大にしている。そのストリングスを後半にも入れて、曲を豪華にすればもっと良くなったと思う。曲の終わり頃に勇ましいホーンの演奏が出てきてフェイド・アウトする。
この『Dreams For The Daring』中で1番良い曲だと思う。
⑫Sweet Babylon
EDMっぽい出だしで「オッ」と思わせるが、出だしだけであって、基本的にハードでハイ・テンポの曲である。
潜めた様に歌っているコーラスが特徴。歌メロは悪くはないが良くもない。せっかく、他曲と違う出だしだったのだから、そのEDMっぽい音をもっと全面に出したら異曲として注目されたと思う。
⑬You Can’t Burn My Heart Out
ミドル・テンポの曲。メロディは弱い・・・。
正直、他の曲と書く事が同じだから、以上。
全体的な感想
はっきり言ってガッカリした作品である。余程「私はHelgeの関わっている作品なら何でも聴く」「FAIR WARNING関係は揃えたい」という人でない限り、聴かない方が良いと思う。
前作『Here Comes The Flood』の時は、瑞々しく躍動感があり、琴線を揺さぶるメロディのある曲が殆どだった。だから聴いていると、とてもワクワクし心躍り、そしてメロディに圧倒された。メロディ好きのリスナーならガッツポーズをしたくなる作品だった。
だが、この『Dreams For The Daring』は・・・。殆どの曲がイマイチなのである。特にメロディだ。メロディが枯れてしまっている。印象に残らないのである。それが理由で、聴いている途中でもどかしい思いをした。
それでも、この作品の良さを挙げるなら、まず前作よりも力強い演奏になった事とキーボードの音色の種類が増えた事である。
しかし(こんな書き方はしたくないが)それらは何の意味も無い。何故なら肝心の曲が良くないからである。HelgeはFAIR WARNINGでUle Ritgenと共に、高品質のメロディアスな曲を作っていた(特に1st『FAIR WARNING』~4th『FOUR』の頃)。
それなのに一体どうした事なのだろうか? この冗長ですぐに飽きが来てしまう作品は・・・。曲も悪い意味で同じ感じである。
最初に書いたが、聴いてガッカリする作品である。余程のファンでない限り聴く必要は無いと思う。
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