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EDENBRIDGE アルバム『SHINE』感想

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オーストリアのメロディック・メタル・バンドが2004年にリリースした4thアルバム。

全11曲収録(日本盤ボーナストラック1曲含む)。

バンドメンバー

  • Sabine Edelsbacher:Vocals,Backing Vocals
  • Lanvall:Guitars,Bass,Piano,Keyboards,Bouzouki,Saz
  • Andreas Eibler:Guitars
  • Roland Navratil:Drums

[ゲストメンバー]

  • Dennis Ward:Backing Vocals&Choirs,Recording(Drums&Vocals),Mixing

メンバーは前作『APHELION』の時と同じメンバー。前作ではサポート・ベーシストがいたが、今作『SHINE』ではLanvallがベースも弾いている。
また、引き続き制作メンバーとしてDennis Wardが参加しているが、今作はコーラスにも参加している。

各楽曲ごとの解説と感想

①Shine

ゆったりとした打ち込み風のキーボードから始まる曲。メタリックなギターが前面に入っているが、テンポはミドルである。

8分30秒程の曲だが、5:19頃から転調し、テンポが速くなり、7:23頃に元の速さに戻る展開があるので、飽きが来ない。
耳を引くメロディがあり、心地良い音作りをしている。ただ、冒頭と終盤には、まるでサスペンス劇場で、人が襲われそうな時に使われる不協和音のストリングスが入っているので、それには少しびっくりするかもしれない。

②Move Along Home

シタールで始まってシタールで終わる曲。オーソドックスなメロディック・メタルである。ノリが良く、歌メロも覚えやすい
3:24からの短い清涼なキーボードソロが、曲に華を添えている。
シンプルな曲だが、その分馴染みやすさがある曲である。

③Centennial Legend

少し暗めで寂しげなピアノで始まるバラード曲。Sabineの優しく嫋やかな歌声が堪能出来る。また、コーラスで参加しているDennis Wardの陰影のある歌声が、この曲をより美しいバラードに仕立てている事に一役果たしている。

この曲も②の様にシンプルな作りだ。しかし、技術力を駆使したり、大仰な展開はしていない。その様な事をせずに、心に染みるメロディを作るのは難しい事だと思う。

④The Wild Chase

妖しく幻想的な雰囲気のする東洋的なメロディで始まる曲。始まりだけでなく、あちこちに東洋的なメロディを奏でている。
ただ、サビのメロディは弱い。むしろAメロの方がメロディの印象が強く、気持ち良さがある

サビ以外は耳を引く要素が、多い曲だと思う。

⑤And The Road Goes On

引き続き、東洋的な雰囲気のミドル・テンポの曲である。
AメロでのSabineの歌い方が妖しく、手招きされている様な(誘惑されている様な)感じになる。
この曲は8分強の長さであり、前半と後半では局長が変わる。特に前半のサビの部分は3rd『APHELION』の「The Final Curtain」に通じる部分が少しある。
しかし、全体的にはメロディが弱く盛り上がりに欠ける。後半になると、テンポや雰囲気などが変わるが、あまり意味を成していない気がする。

⑥What You Leave Behind

シンプルだが荘厳なキーボードのリフで始まるバラード調の曲。
③もバラード曲だったが、この曲の方が、やや暗めで広大な雰囲気がある。暗めと言っても憂鬱という訳ではない。
暗めのサウンドだが、そこにSabineの美しい声が重なる時、不思議な事に、心が洗われる気持ちになる。その様な曲だ。

⑦Elsewhere

引き続きバラード曲である。2分程の短めの曲であり、バンド演奏ではなく、ピアノ・キーボード・Sabineの歌声のみの構成となっている。
少し明るめで硬い音色のピアノが特徴である。

幻想的で涼やかな雰囲気のある曲であり、Sabineの繊細な歌声が活かされている。

⑧October Sky

メタリックなギターリフから始まる曲。最初から最後まで、勢いよく進む疾走曲である。
美メロはあまり無いが、メタル・バンドとしての逞しさを感じさせる曲だ。ライブで演奏されたら、間違いなく盛り上がるであろう。
この曲はギターが主軸になっている曲だと思った。

⑨The Canterville Prophecy

1分45秒程の小曲。バンド演奏ではない。
キーボードのサウンドが、幻想的で不可思議な雰囲気を出している。伝統楽器も使われており、それが曲のアクセントとなり妖しさも出している。
Sabineの浮遊感ある歌声もピッタリとはまっている。

⑩The Canterville Ghost

最初に書いてしまうが、殆ど印象に残らない曲である。

楽器陣のリフやバッキング・メロディ、また、歌メロもはっきり言って弱い。Cメロの歌メロと、その後の間奏のギターソロなどはまだ良いが、それも「Aメロ・Bメロ・サビと比べたら・・・」という感じなのである。

正直、琴線を揺さぶられる事は無い曲だと思う。

⑪Anthem

日本盤ボーナストラック。2分半のインスト。
バンド演奏ではなく、情感のあるキーボードと泣きのギターで構成されている曲。技巧的な演奏ではないが、その分ギター演奏の機微を味わえる曲だろう。
ただ、曲の終わり方が、いきなりプツっと切れてしまう。そのせいでせっかく良い曲が、中途半端になってしまった。もう少し演奏してから区切り良く終わらせるか、フェイドアウトして終わらせた方が良かったのではないかと思う。

全体的な感想

全体的にはギターをややメタリックにしたメロディアス・ハードという印象を受けた。心地良く優しいキーボードが、曲に爽やかさを与えている。そしてそこにSabineの繊細な歌声が入る事により、幻想的な世界観を作り出している。
3rd『APHELION』まではキーボードのキラキラした音色が、多くあったが今回はあまり多様していない。むしろバンドとしてのタイトな演奏の方に、軸を置いている気がした。その影響か、ギターの音が3rd『APHELION』までの頃より強く出ている。ただ、ギターの音質はチープに感じてしまう部分があった。

また、美メロが少し減った気がする。琴線に触れるメロディがEDENBRIDGEの強みだから、そこが減ったのは勿体ない。
決して悪くはない作品だが、正直、何かもやもやした物を感じてしまった。

勿論、②③⑥の様な美しいメロディを持った曲はある。EDENBRIDGEのファン、特にSabine Edelsbacherの声が好きだという人は、聴いてほしい。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)と宝塚(全組観劇派)が好きです。 ツイッターも行っており、気儘に呟いています。