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星組公演『ロミオとジュリエット』(B日程)役ごとの感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

私は先日、『ロミオとジュリエット』(B日程)の感想を投稿しました。

今回は『ロミオとジュリエット』(B日程)の気になった・印象に残った役ごとの感想を書いていきます。

役ごとの感想

ロミオ:礼真琴

モンタギュー家の跡取り息子。

さんのロミオは音月桂さんや龍真咲さんのロミオと比べると、力強く元気な印象を受けました。その為、「僕は怖い」という曲を歌っている時は、表情は怖がっているのですが、歌だけ聴くとあまり怖がっていない様に思えました。ただ、演技の時は純粋な性格で、争いをしたくない、優しい雰囲気が出ていました。

ロミオの役は結構な曲数がありましたが、さんは持ち前のパワーで見事に歌いきっているのが分かりました。また、舞空さんとのデュエットダンスは、もう節炸裂でした(笑)。激しい踊りで、気の弱そうなロミオとは別人です(笑)。

礼さんの歌や踊りが、どんどん躍進しているのが分かるでしょう。

ジュリエット:舞空瞳

キャピュレット家の令嬢。16歳。

ポスターを見た時はジュリエットっぽく感じず、むしろ大人の女性に見えてしまったのですが、舞台では見事に可愛らしいジュリエットになっていました。時折、話している時の声のトーンが、元月組トップ娘役の愛希れいかさんを彷彿とさせる所があったのが発見でした。

歌唱力も『眩耀の谷』『Ray』の時と比べると、格段にアップしており、声質も透き通っていたのが素晴らしかったです。さんと一緒に歌う「エメ」はもう心揺さぶられるものがありました。

フィナーレでの礼さんとの激しいデュエットダンスでは、見事に息が合っていて、観客を魅了したと思います。

ロレンス神父:英真なおき

ロミオとジュリエットの結婚を最初に認めてくれる人物。

2012年の月組バージョンでもロレンス神父を演じていました。
英真さんが出てくると、安定感・安心感が出ますね。演技や歌はもう言う事無しです。特にロミオとジュリエットが亡くなった後のシーンでは大活躍でした。
専科に異動してからの英真さんは、色々な組に出演していますが、やはり星組が1番合っていると感じました(専科の前はずっと星組にいたからかもしれませんが)。

モンタギュー卿:美稀千種

ロミオの父親役。
今作は美稀さんが組長に就任してからの初の作品です。

このモンタギュー卿という役は、ハッキリ言ってモンタギュー夫人、キャピュレット卿、キャピュレット夫人と比べるとあまり目立たない役なのです。

ですので、決して美稀さんの実力が云々だからではありません。過去にモンタギュー卿を演じた飛鳥裕さんや綾月せりさんなども印象にあまり残っていないというのが正直な感想です。

モンタギュー夫人:白妙なつ

ロミオの母親役。

キャピュレット夫人と一緒に歌う「憎しみ」が見せ場です。迫力のある綺麗な歌声でした。

モンタギュー夫人は、ロミオの事は当然可愛く思っていますが、ロミオの友人、マーキューシオとベンヴォーリオの事も気にかけている良い母親という印象を受けました。

キャピュレット卿:天寿光希

ジュリエットの父親。ティボルトの叔父。

キャピュレット卿の見せ場は「娘よ」というソロの曲を歌う場面でしょう。
天寿さんは、娘ジュリエットに対する愛情や父親としての葛藤を、持ち前の迫力のある歌で表現していました。聴いていて少しウルっときました。もうお見事という他ありません

また、今作では付け髭をし、パーマのかかった髪型だったので、「他の作品と違う雰囲気の天寿さんだ」と少し驚きました。前作の大劇場作品『眩耀の谷』は若々しい役だったので、その作品を観た人なら天寿さんが、幅広い年齢の役を演じる事が出来るという事を確認出来るでしょう。

ヴェローナ大公:遥斗勇帆

ヴェローナを治める領主。

表情や動作がぎこちなかったり、固い所が少し見受けられましたが、歌を披露している時は、貫禄が出ており、また、その朗々とした歌声に聴き惚れました

ヴェローナ大公は出ている時と出ていない時の差が大きい役です。ただ、登場している時は非常に重要な存在で、特に1幕目の始めでは、その存在を魅せないといけません。
その様な役を遥斗さんは、存在感たっぷりに演じていました。

ピーター:輝咲玲央

乳母の従者。

1番目立つ場面は「綺麗は汚い」という曲が出てくる場面でしょう。モンタギュー側の人物達にからかわれたり、乳母からは「役立たず!」などと怒られたりする役で、あまり良い目に合っていません(笑)。

『眩耀の谷』ではさん演じる丹礼真の父親役で、重みや風格のある役でしたが、今作では全く違う役柄なので、幅広いキャラクターを演じられる人だと確認出来ました

キャピュレット夫人:夢妃杏瑠

ジュリエットの母親。ティボルトの叔母。

モンタギュー夫人と一緒に歌う「憎しみ」が見せ場です。白妙さん演じるモンタギュー夫人は綺麗な歌声でしたが、夢妃さんのキャピュレット夫人は少し擦れた様な声質だった様に感じました。

キャピュレット夫人は、ジュリエットの事は可愛いと思っていますが、ティボルトの事は甥と言うより、1人の男として見ている様に思えました。モンタギュー夫人と比べると、少し「毒」を含んでいる様な雰囲気だったのがポイントでしょう。

ティボルト:瀬央ゆりあ

ジュリエットの従兄。キャピュレット卿とキャピュレット夫人の甥。
ロミオ、マーキューシオ、ベンヴォーリオ等と敵対しており、15歳で女性を知ったという強者(笑)。

不良の役なのですが、瀬央さんが演じるとあまり不良っぽくは感じませんでした。睨みつけたり、乱暴な言葉を言っている時でも、どこか上品さが出ている様に見えたのです。それが良いのか悪いのかは観る人の判断によって異なると思いますが、そこが瀬央さんらしいと私は思いますし、それが特徴とも言えます。

歌唱力もアップしていました。ただ、「本当の俺じゃない」に❝♪戦い始めてる❞という歌詞があるのですが、2番目の❝た❞の部分位で、緒月遠麻さん・龍真咲さん等が演じたティボルトでは裏声になっていたのです。しかし瀬央ティボルトでは、そうはなってはいませんでした。裏声になる方が正しいのかは分かりませんが、そこも過去にティボルトを演じた人との違いが出ていたと感じました。

死:愛月ひかる

人間ではない、象徴(シンボル)の様な存在。基本的に愛とペア。
台詞・歌は一切無く、踊りのみで表現します。

妖しい雰囲気を醸し出しながら、ダイナミックな踊りを披露していたので、とても目を引きました。
「役替わりとはいえ、2番手の愛月さんが死を演じるのはどうなのか?」と思っていましたが、存在感は充分にあり、ティボルト、マーキューシオ、ベンヴォーリオ等の役と比べても引けを取りません

フィナーレでは通常の男役の姿に戻り、パレードでは再度、死の姿になります。その為、死の姿であっても、笑顔を振りまいていました。そのギャップが良かったです。

ベンヴォーリオ:綺城ひか理

ロミオの親友。

ベンヴォーリオも一応不良ですが、今作の中では、冷静な人物の方に含まれるでしょう。
役柄もあるとは思いますが、綺城さんのベンヴォーリオは、真面目な人が何とかして不良になろうとしている感じがしました。

ベンヴォーリオというと、やはり「どうやって伝えよう」という曲でソロを歌う場面が、1番の見せ場だと思います。綺城さんの歌が上手い事は認識していましたが、今作では、とても伸びやかに歌っており、低音から高音まで、完全に駆使して歌っていました。音域がとても広い曲で、それを難なく(実際は相当練習されたとは思いますが)歌いこなしたので、もう圧倒されました

主演ではありませんが、今作のベンヴォーリオは綺城さんを代表する役になると言っても過言ではないでしょう。

パリス伯爵:極美慎

ヴェローナ随一の富豪。

今作の中で1番穏やかで優しい性格でしょう。パリス伯爵は大金持ちで、キャピュレット家が背負っている沢山の借金を、ジュリエットとの結婚を条件に肩代わりしようとします。

極美さんにはこの役柄がとっても似合っていました。本当に良い所のお坊ちゃまの様な雰囲気であり、ちょっと能天気な部分も出ていた所も良かったです。極美さんの穏やかな笑顔も相俟って、パリス伯爵が登場する場面は、緊張が解けた様な気持ちになりました

因みにパリス伯爵も少しソロで歌う場面がありますが、私が観た時は極美さんの音程がずれている所がありました(笑)。

乳母:有沙瞳

個人的に今作で1番の功労者!

役名の通り、ジュリエットの乳母。

陽気な性格であると同時に、人生の酸いも甘いも嚙み分けた肝が据わった人物であると認識しました。

有沙さんは可愛らしい役からすれた役など、幅広い役柄をこなせる人です。今作の乳母では、喋り声や歌声を耳障りにならない程度に、おばさんっぽいガラガラ声に寄せている様に工夫していると感じました。
従者のピーターに声をかける時は、ドスの効いた声で「ピーター!」「役立たず!」と発していたのにはビックリ仰天です。

それでも1番の見せ所はやはり「あの子はあなたを愛している」という曲をソロで歌う場面でしょう。有沙さんは歌もお上手ですが、今作では更に飛躍していました。低音から高音まで見事に出し切り熱唱していたのです。感涙ものでした。皆様にも是非聴いてほしいです。

私見ですが、有沙さんの乳母は美穂圭子さんを彷彿とさせるものがありました。

マーキューシオ:天華えま

ロミオの親友。ヴェローナ大公の甥。

ベンヴォーリオと違って、キレやすく軽い感じの性格です。

天華さんは、この素行の良くない役(笑)を目つきや言動で見事に表現していました。

ティボルトに刺され、息も絶え絶えになった状態でソロを歌う場面では、モンタギュー家とキャピュレット家の争いを唾棄したり、友人ロミオに「ジュリエットとの愛を貫け」などと歌います。
また、マーキューシオは亡くなってしまいますが、この亡くなる直前、悲しみを含んだ優しい表情になります。そこも良かったです。

ジョン:天路そら

僧。ロレンス神父の部下の様な役でしょうか。

出番は教会の所で少し、マントヴァの街で少しという出番の少なさです。
マントヴァに着いてロミオに、ロレンス神父からの手紙を渡そうとするのですが、薬売りに化けた死が嘘の方向を示してしまった為、渡す事が出来ませんでした。

歌は無く、台詞も殆ど無かったと思います(曖昧ですみません)。ただ、それでも天路さん演じるジョンが登場した時は、「あどけなさが残る可愛らしい人だ」と思いながら観ていました。
先に書きましたが、出番は少ないです。しかし充分に印象に残った役だとは思います。

愛:希沙薫

人間ではない、象徴(シンボル)の様な存在。基本的に死とペア。
台詞・歌は一切無く、踊りのみで表現します。

愛らしい笑顔で、踊りも滑らかで優雅でした。愛月さんの死とは完全に対照的になっている様に感じました。

希沙さんは男役ですが、この様な雰囲気なら娘役に転向してもイケるかもしれません。多分しないとは思いますが(笑)。

全体としては

『ロミオとジュリエット』は上記の役以外は、正直に書くと、その他大勢の様に扱われているので、見せ場はほぼありません。もう少し他の人にも見せ場を作ってほしいですが、宝塚のオリジナルではなく、海外ミュージカルの作品なので。そう簡単にはいかないのでしょう。

何はともあれ『ロミオとジュリエット』は曲が本当に素晴らしいのです。力強く纏まっている星組生の力も相俟って、更に良い作品へと昇華しています。

今後の星組に対して、更に期待が高まると言える作品になっています。

※余談ですが、A日程はチケットが取れず観る事が出来ませんでした(泣)。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)と宝塚(全組観劇派)が好きです。 ツイッターも行っており、気儘に呟いています。