皆様こんにちは、霜柱です。
私はこの間、『今夜、ロマンス劇場で』の観劇の感想を書きました。
今回は役ごとの感想を私なりに書いていきたいと思います。
役ごとの感想
牧野健司:月城かなと
映画会社・京映スタジオの助監督の役。
仕事場では失敗ばかりしており、海乃美月さん演じる美雪にも振り回されています(笑)。
トップスターが演じるにはちょっと地味な役柄かも。そういう点では少し『Shall we ダンス?』のヘイリー・ハーツに似ているかもしれません(ヘイリーは失敗ばかりしてませんが(笑))。
しかし、月城さん持ち味のスター性は出ており、強みである、演技や歌で見事に観客をこの世界に引き込んだと言えます。
最後の方の場面では老人になって、病院のベッドに横たわっています。その時も声のかすれ具合や息遣い、目の虚ろ具合にしっかりと、【もうすぐ亡くなる者】としてしっかり演技されていました。お見事です!
因みに月城さんはお爺さんになっても、美しいという事も確認出来ますよ。
美雪:海乃美月
モノクロ映画『お転婆姫と三獣士』のヒロインの役。
まぁ、これでもかという程のお転婆王女です。暁千星さん演じる大蛇丸やその従者達を蹴散らしたり、牧野健司の事も叩いたりしています(笑)。
それだけでなく、捕まえに来ようとする映画会社のスタッフにも怯む事無く立ち向かったりと、意外に戦闘力が高いかもしれません。
『アナスタシア』のアナスタシアや『はいからさんが通る』の花村紅緒に似ている気がします。
美雪はお転婆ですが、同時に王女としての品位や気高さ、大人っぽさはしっかりと出ていました。
『CITY HUNTER』の槇村香の様にトップ娘役が演じるにあたって、らしからぬ役ですが、この役は海乃さんだからこそ出来たと思います。
俊藤龍之介:鳳月杏
京映の看板スターの役。京映のスタッフ達から一目置かれている。
「自分は女性にモテまくって、有名なんだぞ」みたいに、ちょっと自分の人気を鼻にかける所はありますが、決して嫌みという訳ではありません。
とても懐が大きく、牧野の失敗に直面しても許してくれるという寛大な心の持ち主でもあります。
その牧野に対して「男は常に未来を見て生きるんだ。下ばかり見てたら、今しか見えないよ」と背中を押す場面があります。
この台詞を言った時はとても格好良く感じたと同時に、描かれてませんが、俊藤も大分苦労したのではないかと推察しました。
鳳月さんにピッタリの役で見事にこなしていました。
本多正:光月るう
ロマンス劇場の館主の役。
老人の役であり、声の濁り具合・歩き方などで、それをとても上手く表現出来ていました。『桜嵐記』で演じた年老いた楠木正儀もそうでしたが、光月さんは本当にこの様な役を演じるのが上手いです。
ばあや:夏月都
美雪のばあやの役。
出番はあまり多くないですが、「私にはちゃんとした役名が無い」(←この様なニュアンスの台詞)などのメタい台詞を言って、観客の笑いを取っていました。
少ない場面でもしっかりと印象付けている事に成功していたと思います。
萩京子:白雪さち花
俊藤龍之介の相手役女優。
もう服装からしてセレブスターという感じで登場します。つばの広い帽子を被っており、他の役者とは違う大物スターのオーラを放っており、貫禄もありました。
白雪さんにとても合っていた役だと思います。
成瀬正平:千海華蘭
京映の社長の役。
京映のスタッフ達に対しては偉ぶった態度を取っていますが、俊藤に対しては猫撫で声で機嫌を取ったりしようとして、その対応の格差で笑いを取っていました。
でも、こういう人確かにいそうですね(笑)。
時折、力強い演説口調になるのも面白かったです。
インパクトのある役で、千海さんは本当にどの様な役も出来ると思わず唸りました。
清水大輔:夢奈瑠音
京映会社のプロデューサー兼部長の役。基本的に成瀬正平に追従しています。
神経質且つちょっと冷酷な感じが出ていて良かったです。
大蛇丸(おろちまる):暁千星
モノクロ映画『お転婆姫と三獣士』の美雪に惚れている隣国の王子の役。
人間なのか人間でないのか、よく分からない見た目をしていますが、少なくとも王子には見えません(笑)。
個人的には『ロミオジュリエット』の【死】の和製版という雰囲気がしました。更にこれにちょっと笑いの要素を加えた感じ。
不気味さを纏っていますが、ちょっと格好がつかないという絶妙な所を狙っていたと思います。
しかし、歌は迫力があり気圧されました。それだけでなく暁さんの歌はやはり聴き惚れますね。
1番ツボったのは牧野の家の押し入れから登場するシーンです。実際にこんな事が起きたらドヒャーっとビックリしますが、とても笑いが取れていたシーンでした。
成瀬塔子:彩みちる
京映の社長令嬢の役。
社長令嬢と言っても、キリッとした感じでも「私は社長令嬢なのよ!」という偉ぶった性格ではありません。
純でおぼこい喋り方や雰囲気をしていました。京映の男性スタッフから人気がありますが、それは当然の事でしょう。私も惚れてしまいます(笑)。
それにしても、何故彩さんはこんなに色々な役をこなせるのでしょうか? 『CITY HUNTER』で野上冴子を演じましたが、同一人物とは思えません。
本当に「彩さん、貴方は一体何者ですか⁉」と言いたくなる程。
個人的には、この作品の中で1番の功績者と思っています。
月組生になって初の作品ですが、もう何の違和感も無く月組に馴染んでしました。
今後も月組での活躍が楽しみです。
山中伸太郎:風間柚乃
京映スタジオの助監督の役。牧野健司とは友人。
牧野と違ってしっかりと仕事をこなしています。
今作『今夜、ロマンス劇場で』の中ではごく普通の役柄かもしれません。しかし、特徴的だったり、アクが強い登場人物の中で、この様な役は演じるのが難しかったのではないかと思います。
いくら登場シーンが多いとはいえ、印象に残らないまま終わってしまう場合も考えられます。
しかし風間さんは、地に足のついた演技をし、且つ等身大に演じていて、しっかりと観客に印象付けたと思います。
吉川天音/雨霧(大蛇丸の従者):天紫珠李
天紫さんは2役演じています。
吉川天音は看護師の役で、雨霧は大蛇丸の従者の役です。
吉川の時は、牧野の書いた脚本に夢中で、その為仕事は二の次という状態になっており、看護師長に怒られています。
ただ、ストーリーテラーという役目もあり、物語を進めるにあたって重要な存在と言えるでしょう。
打って変わって、雨霧の時は全く違ったダークな雰囲気になっており、キビキビとしたダンスや表情が良かったです。
吉川になったり雨霧になったりしているので、演じるのを切り替えるのは大変だったと思います。
新生月組は安定性が抜群だと思う
今作『今夜、ロマンス劇場で』『FULL SWING!』は月城さんと海乃さんの新生トップコンビの大劇場お披露目公演です。
お2人ともオールマイティにこなす事が出来、特に演技力はとてもあり、それにより観客を一気にその世界の中に引き込みます。
月城さんと海乃さんは本当に息が合っていて、安心して観られます。
しかし、正直に言うと新鮮味が無かったというのも本音です。もう既に2年くらいトップコンビとして活動している様にも観えました。勿論それが悪いという訳ではありませんし、そう感じなかった人もいるでしょう。
彩さんは今作が月組生としての初の作品ですが、既に月組にちゃんと馴染んでいる様に観えました。
抜群の演技力で観客の目を引いた事は言うまでもないでしょう。
そして、暁さんは2022年5月27日付で星組へ異動します。今作が月組生としての最後の大劇場作品です(戻ってこない限り)。
月組の顔である暁さんが、月組からいなくなるのはとても寂しいです。しかし、暁さんの持ち味である朗々とした男っぽい歌声、キレッキレのダンスは星組でも貴重な物になる事は間違いありません。
暁さんなら礼真琴さんと対等に渡り合える実力を持っていると言っても良いでしょう。
月城さんと海乃さんのトップコンビは新鮮が無かったと先に書きましたが、勿論お2人のトップ就任はとても嬉しかったです。特に海乃さんは後輩の美園さくらさんに先を越された経験があるので、「トップ娘役にならずにやめてしまうのでは?」という不安がありました。
しかし、無事にトップ娘役に就任というニュースを聞いて、胸をなでおろした人は多いでしょう(私もそのうちの1人)。
安定感があり、息もピッタリのトップコンビなので、どんな作品でも怖い物無しと言っても過言ではないと思います。
因みに、次回の大劇場作品は『グレート・ギャツビー』で、月城さんに合いそうな役ですが、私としてはコメディ作品で思いっきり笑いを取る月城さんを観てみたいです。
お読み頂き有難うございました。ブログ村に参加しています。
にほんブログ村