皆様こんにちは、霜柱です。
私はこの間『フィレンツェに燃える』の感想を書きました。
今回は役ごとの感想を書いていきます。
役ごとの感想
アントニオ:柚香光
バルタザール侯爵の長男、レオナルドの兄の役。
パメラを一目見て恋してしまい、その後もずっとパメラの事ばかりを考えています。
幼馴染のアンジェラから好意を持たれていますが、アントニオはそれには気付いていなさそうです。
紳士ですが鈍感とも言えそうです(笑)。
この役では柚香さんは口髭を付けています。最初観た時は驚きましたが、渋さや上品な大人の品格が加わり、今までの柚香さんとはまた違う格好良さが溢れていました。
柚香さんは恐らく髭を付けた役は殆どやった事がないのではないでしょうか?
しかし、今作でお髭が似合う事が判明。
ですので、是非柚香さんには『風と共に去りぬ』のレット・バトラーを演じてほしいですね。
絶対に似合うと思います。
今作ではまた新たな柚香さんの魅力を発見する事が出来ました。これは非常に大きな収穫でした。
パメラ・クレメンティーナ:星風まどか
元酒場の歌姫、クレメンティーナ伯爵の妻、未亡人の役。
いつも影を纏っていて暗い雰囲気の役です。それでいながら何人もの男達を惑わせる美魔女でもあります。
役の雰囲気としては星風さんが以前演じた『El Japón-イスパニアのサムライ-』のカタリナと被る所がありますが、カタリナは最後に主人公の蒲田治道と結ばれますが、パメラはオテロに撃たれて亡くなってしまいます。
パメラの生涯は全て描かれている訳ではないので、あくまで予想となりますが、パメラは恐らく生まれてから亡くなるまで、幸せだった事はほぼ無かったのではないでしょうか?
因みにパメラは伯爵夫人になる前は酒場の歌姫でした。具体的に描写されてませんが、もしかしたらその頃の方がまだ良かったのかもしれません。
パメラはアントニオの事が好きという事以外は、謎に包まれているので、どの様な役なのか把握するのに難儀だったでしょう。
しかし、そんな中この難役を舞台上で星風さんはしっかりと体現していました。
段々この様な影のある大人の女性の役が似合ってきたという事ですね。
レオナルド:水美舞斗
バルタザール侯爵の次男、アントニオの弟の役。
兄のアントニオと違い、レオナルドは街へ出かけたり酒場で飲んだりするなど、自由奔放な言動・性格です。
ただ、時代を読み取る力はあり、貴族の生活はこのままでは立ち行かなくなる事を予想します。
その性格や考えにより、父親のバルタザール侯爵とは意見が割れている状態です。
兄のアントニオとも性格は違いますが、兄弟は仲良く暮らしています。
レオナルドはアントニオがパメラに誑かされていると思い込み、アントニオとパメラの仲を引き裂こうと策します。
しかし、それをしている内に今度はレオナルドがパメラを好きになってしまいます・・・。
自由奔放でありながらも、純真で繊細な心を持つレオナルド。
パメラが亡くなった後は、義勇軍に参加します。その後の経緯は描かれていませんが、レオナルドもパメラの面影を思い出しながら生きていくでしょう。
出番は多く、ソロもあり完全に花組の2番手として大活躍していました。
水美さんはどの様な役を演じても上手いですが、今作の役を演じた事により、より演技の幅が広がったと言えるでしょう。
柚香さんとの息もピッタリなので、花組の95期コンビは最強だと証明になりますね。
マルガレート・シュザンテ侯爵夫人:梨花ますみ
ルチア、アンジェラ、セレーナ姉妹の母親の役。
他の貴族の女性の方々と比べると貫禄があり、舞台の雰囲気を締めていました。
特にカーニバルの場面でアンジェラを説得する所はさすがでした。
バルタザール侯爵:高翔みず希
アントニオ、レオナルド兄弟の父親の役。
足腰が悪くて車いす(舞台上では乳母車と言ってますが)に乗っています。
貴族としての誇りを一切捨てず、何が来ても恐れないという気高い精神を持っています。しかし、それにより次男のレオナルドとは折り合いが付いていない状態です。
それでも最後までレオナルドを見捨てる事はなく、我が息子としてしっかり考えを受け止める所に寛容さが出ていました。
この役で高翔さんはいぶし銀の様な味を出しており、舞台を引き締めるだけでなく、観客に安心感を与えていたと思います。
専科に異動してからはまだ花組での出演しかないので、今後は他の組での活躍も観たくなりました。
カルロ:航琉ひびき
バルタザール侯爵家に仕える老執事、ロベルトの父親の役。
老人としての動きがとても上手く表現出来ていました。ちょっとコミカルな言動がとても良かったです。
また、物語の中で良い意味で緊張を緩和させる役目も果たしていました。
この役は雪組公演『伯爵令嬢-ジュテーム、君を愛さずにはいられない-』で真那春人さんが演じた執事を彷彿とさせましたね。
ジーナ:華雅りりか
酒場の女主人の役。
台詞も出番も少ないですが、ただそこにいるだけで、しっかりと酒場の女主人という風格が出ていました。
これはそれだけ華雅さんに舞台力があるという事なのでしょう。
とは言っても、やはりもう少し台詞が多かったりしても良かったと思います。
オテロ・ダミーコ:永久輝せあ
憲兵隊の将校、パメラの元恋人の役。
悪役という訳ではありませんが、アントニオ、レオナルド兄弟と対立する位置にいます。
また、結末を左右するとても重要なキャラクターです。
アントニオとは出会いませんが、レオナルドとはパメラを巡って決闘をします。しかし決闘に負けて亡くなってしまいます。
このオテロという役は出番が少ないですが、非常にインパクトのある役です。
もしオテロというキャラクターがいなかったら「好きだ」「愛してる」だけの甘ったるい話で終わっていたと思います。ですので、オテロは作中で非常に重要なスパイスという役目を果たしていたと言えるでしょう。
永久輝さんはこのオテロという役の心情を、切れ長の目で表現した様に観えました。
ちょっと危ない男という雰囲気がサマになっていて格好良かったです。
またこの様な永久輝さんを是非観たいですね。
ルチア:春妃うらら
マルガレートの娘でアンジェラ、セレーナの姉の役。
ちょっと気の強いアンジェラやお転婆なセレーナとは違い、とても上品で落ち着いた長姉という雰囲気が出ていました。
春妃さんにはこの様な役がとても似合いますね。私もこの様な姉が欲しい(笑)。
本当に春妃さんならではの役でした。
ですので、目の保養にとてもなりました(笑)。
マリア:凛乃しづか
バルタザール侯爵家に仕える侍女の役。
主にバルタザール侯爵の車いすを押す時に登場します。
出番や台詞は多くなく、正直物語上必ずしも必要な役ではありませんでしたが、静かな佇まいが逆に印象に残りました。
レナート・パリアーノ伯:聖乃あすか
貴族の役。
レナートは主にアンジェラの家族と一緒にいる場面が多かったです。
彼はアンジェラの事が好きですが、アンジェラが好きなのは本当はアントニオです。
レナートはこの事に対してどう思っていたのでしょうか?
その場面は描かれていません。
パメラ絡みの恋愛の方が強かったので、その分レナートの描写が弱かった様に感じました。
ですので正直この役はあまり印象に残っていません。
もう少しレナートとしての役を描いてほしかったです。
マチルド:咲乃深音
オテロの恋人の役。
オテロと共にイタリア統一運動に参加して、レオナルドの行きつけの酒場に酒場の歌手として潜入しスパイとして活動します。
ソロで歌う場面があり、その迫力のある歌声に驚かされました。
結構目立つ役であり、他の娘役達が演じた役とはまた違った役柄だったので印象に残りました。
ビットリオ・ジロッティ:愛乃一真
アントニオ、レオナルド兄弟の従兄弟の役。
好青年という雰囲気でハキハキとした台詞回しが印象に残りました。
ただ、正直な事を申し上げますと、今まで愛乃さんに注目した事は無かったので、今後は愛乃さんに注目してみようと思います。
ロベルト:侑輝大弥
バルタザール伯爵家の執事カルロの息子の役。
執事の息子と言っても、父親とは仲違いをしており酒場で働いています。
酒場の場面ではソロで歌う場面がありました。とても朗々とした男らしい歌声で「侑輝さんて、この様な歌声なんだ!」と驚きました。
背も高くスター性もあるので、今後の更なる飛躍に期待ですね。
セレーナ:愛蘭みこ
マルガレート・シュザンテの三女でルチア、アンジェラの妹の役。
上品で落ち着きのあるルチア、ちょっと気の強いアンジェラと違い、お転婆な三女という感じが雰囲気や言動に出ていました。
可愛らしくて元気一杯だったので、登場すると舞台の雰囲気が明るくなりました。
アンジェラ:星空美咲
アントニオの幼馴染、マルガレート・シュザンテの次女、ルチアの妹、セレーナの姉の役。
アンジェラはアントニオを好いていますが、アントニオはその事になかなか気付きません。
ですので、アンジェラはずっともどかしい想いを抱いたままです。
そこにいるだけで人を惑わすパメラと違い、アンジェラは純真無垢でちょっと子供っぽい所もあります。
アンジェラはパメラと同じくらい重要な役ですが、全く違う性質の役なので、この2人の対比がとても良く描かれていたと思います。
この役は星空さんにとても合っていた役でした。
可愛らしさの中に凛とした美しさもあったので、観る者を引き付けたと言って良いでしょう。
また、見た目だけでなく、演技や歌も上手いので、星空さんには期待しかありませんね。
愛希れいかさんに似ていると言われて久しいですが、今作を観た感じですと、『脱・愛希れいか化』している様に少し思えました。
役作りの影響もあるかもしれませんが、特に声質が愛希さんより澄んだ声の様に聴こえたのです。
今後の与えられた役によっては更に化ける可能性があるので、星空さんには色々な役を演じてほしいですね。
『THE 宝塚』を体現していた
今作『フィレンツェに燃える』という作品の雰囲気もあったと思いますが、出演者全員が王道の『THE 宝塚』を舞台で体現していたと言えます。
特に柚香さんが演じたアントニオは見た目だけなら、『風と共に去りぬ』のレット・バトラーを彷彿とさせますし、永久輝さんが演じたオテロは悪役にすれば『バレンシアの熱い花』に登場する士官と通じる物があります。
役だけでなく、作品中に描かれている台詞、そして音楽や衣装もそうだと思います。
どこをどう切り取っても「宝塚らしさ」しかない。その様な作品なのです。
本公演の作品より出演人数は少ないですが、人数の少なさが気にならない程、濃い作品に仕上がっています。
花組は今度本公演で『うたかたの恋』を上演しますが、それがどの様になるかが今から楽しみですね。
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