皆様こんにちは、霜柱です。
宝塚歌劇団の演出家、谷正純先生が2025年4月5日(土)に亡くなったのは、まだ記憶に新しいと思います。
本当に信じられません。手掛けたい作品がまだまだあったと思います。
1986年に演出家デビューしてから、沢山の作品を世に送り出した谷先生。
好きな作品は色々ありますが、特に私自身が好きなのを5つに絞って書いていこうと思います。
個人的に好きな谷先生の作品
プラハの春
宝塚の作品で、特に谷先生の作品の中で『プラハの春』を外す事は絶対に出来ません。この作品が名作だからというのもありますが、何よりも私自身が初めて生で観た宝塚の作品がこれなのです。
なので、思い入れはやはり他の作品よりも強いですね。
この作品は2002年に星組で上演され、当時の星組トップコンビは香寿たつきさんと渚あきさんです。お2人共、大人の魅力に溢れており、非常に芸達者でした。特に緻密で上品な演技が好きだったのです。
また、当時は安蘭けいさん、夢輝のあさん、朝澄けいさん、真飛聖さんなどがおり、専科からは彩輝直さんも出演していました。今思うと、途轍もなく豪華なメンバーだったと言えます。
あぁ、思い出すだけであの頃に戻れそうな気持ちになりますね。
ただ、話自体は1968年にチェコスロバキアが侵攻された内容なので、ハッキリ言って暗いです。観て「楽しい!」と言える作品ではありません。特に渚さん演じるカテリーナ、朝澄さん演じるミロスラフ、朝峰ひかりさん演じるポジェナが撃たれて亡くなる場面はショックだと言えるでしょう。
しかし、それでも私はこの作品を推します。私にとっては心に残る作品なのですから。
実は私は以前この作品を彩風咲奈さんと朝月希和さんの雪組トップコンビ、もしくは月城かなとさんと海乃美月さんのトップコンビで再演してほしい、という記事を書いた事があります。
「どんだけ『プラハの春』が好きなんだ⁉」と思われるかもしれませんね。今でも「再演してほしい」という気持ちは全く変わっていません。
谷先生は在団中のままお亡くなりになったので、別の演出家の手によって再演は出来る筈です。
今の世界的情勢から判断すると、この作品を再演するのは難しいだろうと事は分かっています。ですが、このまま埋もれさせるなんてあまりにも勿体なさすぎです。どうか再演をしてほしいです。
因みにもし、今の宝塚で再演するとしたら、どの組が合うかな?
鳳月杏さんと天紫珠李さん率いる月組が合いそうですね。
EL DORADO
この作品は1997年に月組で上演され、当時の月組トップコンビは真琴つばささんと風花舞さんです。また、この作品は真琴さんの大劇場トップお披露目公演でもあります。
私はこの作品はビデオで観ただけですが、画面越しからでも、舞台が豪華絢爛で壮大だという事をとても強く感じました。もし、生で観ていたら間違いなく圧倒された事でしょう。当時、この作品を生で観れた方が羨ましくて仕方が無いです。
出演者も錚々たるメンバーです。
姿月あさとさん、汐風幸さん、樹里咲穂さん、成瀬こうきさん、千紘れいかさん、檀れいさん、水夏希さん、大和悠河さんなどが出演していました。
おぉ、本当に凄すぎるメンバーだと断言して良いでしょう。
これだけでも充分に観る価値はありますが、話も面白かったのです。簡単に書くと真琴さん演じるイグナシオがスペインから逃げて、理想郷であるエル・ドラードを見つけに行く、という話なのです。
ワクワク感のある演出や心を揺さ振る曲も堪らない!
1本物という事もあり、非常にボリュームもあった作品でした。
そして、この作品の何よりの特徴は最後の場面です。
実は出演者が演じている役の大部分が亡くなってしまいます。「いくら何でもやり過ぎでは⁉」と思う程、死者が続出するのです。
当時、この作品を観た人はこういった結末をどの様に感じたのでしょうか? 恐らく賛否両論あったと思いますが、それをちょっと聞いてみたいですね。
もし、今こういう結末の作品を上演したら間違いなくSNSで炎上するでしょう(笑)。
でも、面白い作品に仕上がっている事は間違いありません。非常に心に残る作品だと言えます。衣装や装置にもお金をかけていますし(笑)。
因みにこの作品に関しても以前、再演してほしいという記事を書いたのです。
柚香光さんと星風まどかさんの花組トップコンビか、彩風咲奈さんと朝月希和さんの雪組トップコンビで再演してほしいという内容です。ただ、当然ですが再演はされず・・・。
もし、今再演するとしたら、永久輝せあさんと星空美咲さん率いる花組か、次期星組トップコンビに決定した暁千星さんと詩ちづるさんが合いそうですね。
たた、再演するとしてもまずは結末を変えないといけないかもしれません。あまりにも亡くなる役が多すぎますし・・・。それに衣装や装置も他の作品と比べて凝っている気がしたので、その辺りをちょっと簡素にしないと、赤字にもなりかねない気がします。
でも、何とかして再演してほしいなぁ・・・。
望郷は海を越えて
この作品は2000年に宙組で上演され、当時の宙組トップコンビは和央ようかさんと花總まりさんです。また、この作品は和央さんの大劇場トップお披露目公演でもあります。
この作品もビデオで観ただけですが、画面越しでも和央さんや湖月わたるさんの豪快な格好良さが伝わってきました。
内容を簡単に書くと、和央さん演じる九鬼海人が乗る船が難破してシベリアに着き、そこでなんやかんやして花總さん演じるエカテリーナII世に出会って・・・、というお話です(本当に簡単な書き方だな、笑)。
花總さんもまた美しくて目が行きました。ドレスの格好が本当に似合います。
ただ、この作品は宝塚ファンの中ではトンチキに当たるらしいです。何故かは分かりませんが、個人的には面白くて充分に楽しめました。
とは言っても、この作品でもねぇ・・・、結末が・・・。
ハッキリ書いてしまうと、樹里咲穂さん演じる渡海屋源九郎と、出雲綾さん演じる唐戸が撃たれて亡くなってしまうのです。衝撃的な結末で、「この2人は亡くならないといけなかったのか?」と流石に思いましたね。
どうも谷先生は誰かしらを葬らないと気が済まない様です(笑)。
JAZZYな妖精たち
この作品は2005年に月組で上演され、当時の月組トップコンビは瀬奈じゅんさんと彩乃かなみさんです。また、お2人の大劇場トップお披露目公演でもあります。
この作品の特徴は何と言っても始まりにアイリッシュダンスがある事です。独特なリズムとメロディを持つ曲で踊っており、通常の宝塚のダンスとはまた違った感じになっています。
この時のダンスが全員ビシッと決まっていて素敵なんですよ。ただ、ちょっと長すぎる感はしないでもなかった(笑)。
内容を簡単に書くと、瀬奈さん演じるアイルランド系アメリカ人のパトリックがアメリカ大統領を目指す話です。
この作品もなかなか面白くて何故か哀愁を誘います(思い出補正もあるのかも)。ただ、結末が尻切れトンボの様に感じたのです。「えっ⁉ ここで終わり⁉ 中途半端過ぎない⁉」と思ってしまいました。
出演者ですが、瀬奈さんや彩乃さんの他に霧矢大夢さん、大空祐飛さん、月船さららさん、北翔海莉さん、青樹泉さん、彩那音さん、真野すがたさん、城咲あいさん、星条海斗さん、龍真咲さん、明日海りおさん、夢咲ねねさん、白華れみさんなどがいます。
あぁ、とても懐かしいメンバーですね。凄い充実していた事が分かります。
賛否両論あった作品の様ですが、『プラハの春』の時と同様、観た時の感動は昨日の事の様に覚えています。
SAMOURAI
この作品は2011年~2012年にシアター・ドラマシティと日本青年館で雪組によって上演されました。当時の雪組トップコンビは音月桂さんと舞羽美海さんです。
内容を簡単に書くと、音月さん演じる前田正名がパリに留学するのですが、そこで普仏戦争に参加をして・・・、というお話です。
因みにこの作品は月島総記さんの小説『巴里の侍』を原作としており、前田正名という人物も実際にいました。
この作品は何と言っても出演した雪組生の演技が光っている事です。
少年らしさがありながらも気迫のある殺陣を披露する音月さん、ズーズー弁っぽい話し方をしながらも格好良い早霧せいなさん、高慢さがありながらも立っているだけで引き寄せられる程の可愛さを持つ舞羽さん、全く違う性格・役柄である2役をこなした緒月遠麻さん、突き抜けた傲慢さを見事に表現した大湖せしるさんなど、もう本当に雪組生の演技は真に迫っていました。
因みにこの作品も『EL DORADO』程ではありませんが、亡くなる役が非常に多いです。ですが、普仏戦争を題材にしているので違和感や大袈裟な感じはしませんでした。
繰り返し書きますが、雪組生の一丸となった緻密な演技は充分に観る価値があります。
それに何よりも舞羽さんが半端無い程可愛い! 声も良いんですよね。
特にちょっと怒った時の表情が堪らないのです。分かる人には分かる筈(笑)。
まとめ
さて、以上が私が特に気に入っている谷先生の作品でした。
皆様のお好きな谷先生の作品は何でしょうか?
作品数が多いので、選ぶのに苦労しました。ですが先に書いた通り何と言われようとも『プラハの春』だけは絶対に外せないです。
それにしても、お亡くなりになってしまったなんて本当に信じられません。
若手の演出家が出て来ているとは言え、まだまだ谷先生もご活躍出来た筈です。
ところで、谷先生の遺作ってあるのでしょうか?
もし、未発表の脚本や原案とかがあるのなら、他の演出家の協力の下、是非完成させて舞台化をしてほしいです。
賛否両論あった作品が多かったかもしれないですが、それでも偉大な演出家だった事に変わりはありません。
改めて谷先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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