皆様こんにちは、霜柱です。
この間、『おれがあいつであいつがおれで』(角川つばさ文庫)という本を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
入れ替わりが起こすドタバタ劇
タイトルから2人が入れ替わる話だろうという事は容易に想像は出来ましたが、予想よりもかなり面白かったです。
主人公の斉藤一夫と斉藤一美の2人を中心に起こすドタバタ劇は、スピードとパワーがありページを繰る手が止まりませんでした。
内容としては目新しい物は無かったかもしれないですが、だからこそ入れ替わり劇は不変の楽しみがあるとも言えるでしょう。
斉藤一夫の口調が良い!
読んでいて印象強かったのが斉藤一夫の口調です。基本べらんめえ口調なのですが、それが気持ち良いのですよ。それだけでなく、笑いを誘ったりスカッとさせてくれたり等、痛快でした。特に一夫になった一美を守る場面は格好良かったと言えます。
ただ、私が小学生だった時、そんな口調で話す男子はいなかった気がします。なので、「本当に小学生か? 江戸時代からタイムスリップした江戸の人では?」と思わないでもない(笑)。
でも、本作ではこの口調でバッチリだと言えるでしょう。
他の登場人物も良い味を出している
本作は斉藤一夫と斉藤一美が主人公ですが、他の登場人物も良い味を出していました。
特に、浮気をしているっぽい校長先生、2人の入れ替わりを知っており、それを心配しながらも楽しんでいる吉野アケミ、入れ替わった後の2人の様子をしっかりと観察していた川原敬子などが良い味を出しており、物語にアクセントや緩急を付けていたと感じました。
終わり方が・・・
非常に面白かったのですが、唯一惜しいのが元に戻った後の描写があまりにも少なかった事です。ちょっと尻切れトンボの様に感じてしまいました。
もう少し後日談の様な物を書いてくれたら、良かった様な気がします。
まとめ
とにかく面白くて痛快なお話です。オースドックスな内容かもしれませんが、だからこそ作者の手腕が問われるとも言えます。
山中恒さんは抑えるべき点はちゃんと抑え、しっかりと筋の通ったお話を書いたと言えるでしょう。
ですので、難しい事を考えずにスムーズに読む事が出来ました。
「何か面白い小説は無いかな?」と思っている人は本作を読んでみたらいかがでしょうか?