皆様こんにちは、霜柱です。
澁澤龍彦の『世界悪女物語』(河出文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
13人の女性の恐ろしい悪事が載っている
悪事と言っても色々ありますが、本書に登場する女性がした事は恐怖そのものと言って良いでしょう。同時代を生きていなくて本当に良かった(笑)。
どの女性もなかなか強烈でインパクトがあり過ぎです。一体、どうしたらそういう思考や性格になるのか? いやはや恐ろしや恐ろしや・・・。
紹介されている女性について思った事を、簡潔に書いてみます。
ルクレチア・ボルジア
本人にも原因があるかもしれませんが、何だか本人よりも周りにいる家族の方が悪い気がしました。
特に兄のチェーザレが。
エルゼベエト・バートリ
何百人という数の若い娘を殺して、その血の中に浸った! 非常に恐ろしいですが、この数は盛っていると言われています。ただ、どちらにせよ恐ろしい事に変わりはありません。
拷問器具まで作ったなんて・・・。
ブランヴィリエ侯爵夫人
ゴーダン・ド・サント・クロワという騎兵隊に出会わなかったら、まだマシだったのでしょうか?
エリザベス女王
他の女性もそうですが、彼女も自分が1番だと思っていた様です。それにより思考が変わった方向へ行ってしまうのかな?
メアリ・スチュアート
男性に恵まれなかった気がします。残酷というより悲劇的な要素が強かったと感じました。
カトリーヌ・ド・メディチ
極端に内攻的な性格が原因だったのでしょうか? 息子に恵まれなかった気がしますが、それはカトリーヌがそうだったからでは? と思いました。
マリー・アントワネット
本人だけでなく、周りにも原因があった気がします。
アグリッピナ
皇妃になってから横暴になりますが、そこまでやりますか?
息子のネロはこの母親を畏怖していた様ですが、似てしまいましたね・・・。
クレオパトラ
才知に溢れ機知に富んでいますが、それを良い方向へ活かせたら・・・。
フレデゴンドとブリュヌオー
2人共、憎悪と嫉妬が凄すぎます。周りの人達は大変だったでしょう。
則天武后
恐怖の一言では到底語り尽くせない粛清政治をしました。この時代に生きていた人は気が気じゃなかったと思います。
マグダ・ゲッベルス
そんなに悪女という感じはしなかった様な。むしろ最期は悲劇的に感じました。ナチ党に入っていなければ、そんな事にはならなかったでしょう。
周りにどういう人がいるのか? それも重要
波乱万丈の人生を歩んできた女性ばかりですが、この様になったのは周りにいる人も原因な気がします。どういう性格なのか? どういう考えを持っているのか?
もし、それらに非常な偏りがあったり、きな臭かったりしたら、影響を受けかねません。
勿論、本人がしっかりと理性を働かせて感情をコントロール出来る様にするのが大事です。
しかし、本書に登場する女性の周りにいる人達も結構変な人が多いのです。特に両親とか兄弟とか。
なので、もし周りの人達がもっとまともな思考の持ち主だったら、彼女達の運命も変わっていたのではないか? とも感じたのです。
簡単なまとめ
なかなか読み応えがあって面白い本と言えます。
悪女達が生まれてから亡くなるまでの間に、起こした様々な悪行。それらに怯えながらもページを繰る手が止まりませんでした(笑)。
変に感情を交えない澁澤龍彦の書き方も良いです。それによりスーッとその女性の人物像が入ってきました。
悪女の背景に興味がある方なら、興味深く読み進める事が出来るのではないでしょうか。