皆様こんにちは、霜柱です。
唐沢俊一さんの『古本マニア 雑学ノート 人生に大切なことはすべて古本屋で学んだ』(ダイヤモンド社)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
古書マニアの悲喜こもごも
開店前のデパートのエレベーター前で並んでいる行列から始まります。古書即売会があり、それを目当てに並んでいる方々が大部分です。
既に勝負は始まっているとの事。ベテランになると行列の何番目に並んだ方が良いかまで把握しているらしい。エレベーターの中の出来事は、「グフフ」と笑ってしまいました。ある意味、残酷でありながら悲哀があると言えます。
目当ての古書を虎視眈々と狙う様子を、ユーモアが溢れる調子で描写しているのが良いですね。古書の面白さと裏のドロドロとした面を偏り無く書いているのも特徴的です。
当時、唐沢さんが付き合っていた女性とのエピソードは失礼ながら噴き出してしまいました。まぁ、女性からしたら確かに怒りたくなる気持ちは分かります。でも、その後、また本屋に戻ったとは(笑)。
眠田直さんのイラストも分かりやすくてGOODでした。
どの本も分からない・・・
本書には唐沢さんが購入した本や漫画などの寸評が載っています。しかし、どれも知らないのばかりです。著者名、タイトルだけでなく、「えっ、そんな出版社あるの(あったの)?」と言いたくなる出版社だったり・・・。
古書マニアは古書店から発行されている目録を見て、お目当ての本を手に入れます。しかし、実際に手に入れられるかは別問題です。
こればかりは運だったり、古書店との駆け引きが物を言うのでしょう。
それにしても、明治から昭和初期に出ていた本って、特徴的というかエキセントリックというか・・・。そういったのが多いみたいですね。
「もし、これを現在出したら間違いなくSNSで炎上するだろうなぁ」という古書も目立ちます。当時は結構許容されていた時代なのかもしれませんね。
古書を売る時のマナーや心構え
古書を売る時のコツやマナーなども載っています。ただ、これは古書に限らずあらゆる物に言えると断言して良いでしょう。
その中で印象に残ったのを書きます。まずは、
愛着は付加価値にならない。
当たり前だと言えば当たり前です。もし愛着を付加価値にしてしまったら、買い取りをしているお店は潰れてしまいます。
しかし、こういったシンプルな事が分からない方って結構多いのではないでしょうか?
もう1つ印象に残ったのが、
自分の本に愛着があるのなら、どんなに安く買い叩かれようと、自分の本を有効に活用してくれそうな人に売るのが一番である。
これも当然と言えば当然ですよね。本に限らず有効に活用してくれたり大切に扱ってくれる人に渡るのが1番良いです。
最近はネットで売る事が流行っていますが、中にはなるべく高い値段で売ろうとしている人もいます。間違いではないでしょうが、「どこかの知らない誰かも、私と同じ様に大切にしてくれると良いなぁ」という思いを忘れないでほしいですね。
簡単なまとめ
古書という存在や、それを求める方々についての日常や考えについて記載されている興味深い内容だと言えます。
「古書の世界って一体どんな所なのだろう?」と感じている方なら、本書は面白く読めるでしょう。1996年に出版されたので、もしかすると少しばかり情報が古い可能性(記載の古本屋が既に閉店しているとか)があるかもしれまぜん。しかし、大部分は2025年現在でも通用すると思います。
実を言うと、私も一時期古書に嵌まっていた時期が少しありましたが、「とても自分はこの世界でやっていく力は無い」と痛感し、今はとっくに身を引きました。
あぁ、そういえば唐沢さんの知り合いの女性(当時30代)で、魔女志願をした方がいた様ですが、今はどこでどうしているのでしょうか? 魔女になれたのでしょうか?