皆様こんにちは、霜柱です。
ロシアの作家、イワン・セルゲーエヴィチ・ツルゲーネフ(Ivan Sergeevich Turgenev)の『はつ恋』(神西清・訳、新潮文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
繊細な文体が良い
本書は小説ですが、抒情詩の様な感情豊かで綺麗な文体です。なので読んでいると心が洗われると言うか、心の奥底からキラキラしたものが湧き出て来る、そんな気持ちになりました。
主人公のウラジーミル・ペトローヴィチをからかったり、皮肉ったりする場面はありますが、それもどこか上品に描かれているので、「スンゴイ嫌な奴だ!」みたいな気持ちにはなりませんでした。
その辺りの描き方はツルゲーネフの腕前は勿論ですが、日本語訳をした神西清の手腕も大きいと断言して良いでしょう。
ウラジミールの心の移り変わりと結末
16歳のウラジミールは恋愛というのを知りませんでした。しかし、ジナイーダ・アレクサンドロヴナと出会う事によって、一気に恋するモードに入ります。
ジナイーダに惚れ切っているウラジミールの心情を読むと、こそばゆいと言うか眩しいと言うか。
恋する心情の移り変わりが繊細に描かれているので、「あぁ青春だな…」と感じてしまいます(笑)。
正直、読む前から「ハッピーエンドではないな」と予想してましたが、まさかね、ウラジミールの父親までもがジナイーダに惚れていたなんて・・・。
でも、そこで三角関係になったり、無残な事が起きなくて良かったです。
こうしてウラジミールは人生を知ったと言えるでしょう。
ちょっと気になった部分
16歳の時のウラジミールの話って、実は40歳前後になった彼自身が回想しているんですよね。
それを友人達に聞かせています。
ですので私は本書のエンディング辺りで、また40歳前後の現在に戻って来て、友人達がどう感じたかを言うのかと思っていました。しかし、そうはなりませんでした。
回想のまま終わってしまったのが、ちょっとばかし物足りなく感じたのが本音です。
簡単なまとめ
本書は恋愛小説と言って良いでしょうが、〈甘酸っぱい恋〉とは違う気がします。ウラジミールとジナイーダは年齢差(ジナイーダの方が5歳上)が少しありますし、ウラジミールの父親までジナイーダに惚れていたのですから・・・。
でも、そういう関係や展開があったからこそ、ウラジミールの熱くありながらももどかしい恋心が光ったと言えるでしょう。
青春小説としてもピカイチな作品だと思います。
ロシア文学と言うと難解なイメージがありますが、本書は読みやすいです。ページ数も130ページ程という丁度良い長さなので飽きずに読めます。
「若者の恋が描かれた作品を読みたい」と思っている方は読んでみてはいかがでしょうか?
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