テオドール・シュトルム『みずうみ 他四篇』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
ドイツの作家、テオドール・シュトルム(Theodor Storm)の短編小説『みずうみ 他四篇』(関泰祐・訳、岩波文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
儚げで美しい文体が良い
本書には5つの短編が収録されています。どの物語も文体が良かったですね。優しく淡くて儚げで美しい文体でした。叙情詩の様な感じがしました。
ですので、読んでいると気持ちが穏やかになります。
展開は・・・
全ての物語に言えるのですが作中で何かスリリングな事は起きません。また、起承転結もそんなにハッキリとしていない様に感じました。
ですので、もしかすると人によっては少々退屈に思うかもしれません。
実を言うと、私も少しばかりその様に思っています・・・。「みずうみ」くらいしか印象に残らなかったというのが本音です。
各短編について
既に「みずうみ」くらいしか印象に残らなかった、と書きましたが、それも含めて5つの短編を読んで思った事を簡潔に書いていきます。
みずうみ
既に老爺(ろうや)になっている主人公ラインハルトが、若い時の恋を思い出す話です。エリーザベトに恋していましたが、彼女はラインハルトの友人、エーリッヒと結婚します。
ラインハルトはそれを祝福しますが、彼女の元を去りました・・・。
結ばれなかったのは少しばかり悲しいですが、ウジウジせず身を引いた姿が立派と言えるでしょう。
全体的に淡い雰囲気があり、特に森の中の場面が良かったですね。
マルテと彼女の時計
老女マルテが主人公です。タイトル通り彼女が、ある時計と過ごした日々が書かれています。
ただ、あまり印象には・・・。
広間にて
バルバラという老女が主人公。孫に自分が子供の頃の事を話しています。
まぁ、普通かな・・・。
林檎の熟するとき
大変申し訳ないのですが、何回読んでもピンと来ませんでした・・・。
遅咲きの薔薇
詩的で綺麗な雰囲気がある作品です。
ただ、「えっ、ここで終わり!?」という結末です。主人公の友人、ルードルフが彼の妻について色々言っているのですが、結局何を言いたかったのか分からん・・・。
簡単なまとめ
本書は文体が何よりも良い!
どこか儚げでありながらも美しい雰囲気がある。読んでいると気持ちが和らいでくる気がします。
ただ、その分これと言った展開が起きません。スリリングだったりセンセーショナルな事は一切無しです。人によってはそれが物足りなく感じるでしょう。そういう私も「みずうみ」しか印象に残りませんでした。
しかし、こういった作品は例え印象に残らなくても、物語の世界観にとりあえずじっくり且つどっぷりと浸かる事の方が大事なのかもしれない、とも思いました。
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