皆様こんにちは、霜柱です。

イギリスの小説家、サキSaki、本名:ヘクター・ヒュー・マンロー/Hector Hugh Munro)の短編小説集『サキ傑作集』(河田智雄・訳、岩波文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。

感想

日常に突然現れる多種多様な恐怖

本書には21の短編が収録されています。

どれも怖さや不気味さみたいのがありますが、種類が豊富なのが何よりの特徴だと言って良いでしょう。

「ヒー怖いよー」みたいなのもあれば、「えっどういう事!?」の様なのもあれば、人間の狡猾さの怖さ、ブラックユーモア的な怖さなど色々堪能出来るのです。

よく、ここまで色々な種類を描く事が出来たな、とただただ感心してしまいました。
恐怖とかに対して強い好奇心が無かったら、ここまでバラエティ豊かな作品を書く事は出来なかったのではないでしょうか?

本書は怪奇の超フルコースと言って良いかもしれません(笑)。

各短編について

ここでは21の短編の各話を読んで思った事を軽く書いていきます。

アン夫人の沈黙

個人的にはこの話が1番面白くて怖かった!

何故、アン夫人は亡くなってしまったのでしょうか? その理由もそうなった過程も全く描かれていません。そう言った事が逆に更に怖さを倍増させたのでしょう。

これは本当に見事な作品です!

狼少年

16歳くらいの少年が実は・・・。狼男が実際に現れたら確かに怖いです。

でも、結末は何だか皮肉を感じましたね。実際は人命救助なんてしていないのに。
まあ、トゥープの子供は食べられてしまったでしょう・・・。

二十日鼠

服の中に鼠が入ったらそりゃあパニックになります。噛みつかれたりでもしたら超最悪な気分になる事は論を俟ちません。

確かに鼠が入っちゃう事は怖いです。しかし、結末はコメディっぽく感じました。「見えてないんかーい」とツッコみたくなりました(笑)。

トバモリー

動物が人間の言葉を話す物語は沢山ありますが、これは楽しいというより恐ろしい作品ですね。とは言っても、別に襲ってきたりする訳ではありません。

人間の秘密をベラベラと喋る感じです。でも、こっちの方が精神的なダメージはデカいかも。

それにしても、コーネリアス・アピンはどの様にして動物に人間の言葉を教えたのでしょうか?

刺青奇譚

有名作家の美術品に対して、一喜一憂したり右往左往したりする人間への皮肉を描いていると感じました。

ただ、そもそも刺青に芸術価値ってつけられるのでしょうか? それが出来るとするならその価値は誰にあるのでしょう? 描いた人? その刺青が入っている人?

スレドニ・ヴァシュター

これは不思議な話でしたね。結局スレドニ・ヴァシュターって何者だったのでしょうか?

デ・ロップ夫人はどうなってしまったのか?

イースターの卵

この作品は・・・正直、よく内容が理解出来ませんでした。
また、他の作品と比べて、印象が残りにくい・・・。

グロウビー・リングトンの変貌

飼っている動物が飼い主に似るというのはよくある話です。では、その逆はどうでしょうか? 実際にあるのか無いのか?

主人公のグロウビー・リングトンの変化がとても面白かったです。
鸚鵡っぽくなったり、猿っぽくなったり、亀っぽくなったり・・・。

開いた窓

気になったのはこの窓を閉めたらどんな事が起きるのか? もしくは起きないのか?
それが非常に気になります。1度やってみてほしいですね(笑)。

それにしてもサプルトン夫人はどういう気持ちでいるのでしょうか?
15歳の娘も慣れ切っている感じがします。

宝船

本音を書くとほぼ印象に残りませんでした・・・。

蜘蛛の巣

マーサって死神を見たのは初だったのでしょうか? まあ、しょっちゅう見たいものではありませんが(笑)。

結末は意外性がありました。ただ、それが同時に迫力に欠けたというか、蛇足というか・・・。

宵闇

ノーマン・コーツビーはまんまと騙されてしまった、という事ですね。

ある意味確かに怖いですが、可笑しさの方が強いかも。

個人的には星新一のショートショートの雰囲気をプンプンと感じました。特に結末が。

話上手

子供は正直ですね。

私もこの作品の独り者の様に上手い話をしてみたい。何で彼はこんなに話が上手いんでしょうか? 元々話が得意なのか? アドリブも得意そうに感じました。

ただ、独り者の話の上手さに感心すると同時に、表面上の事しか見れない大人を揶揄した様にも思えました。

物置部屋

何でか分かりませんが、子供って物置部屋みたいなのが好きな事がありますよね。秘密基地的な匂いをかげたり、未知なる場所の様に感じるのでしょうか?

この作品は主人公のニコラスの生意気な態度や心の移り変わりをリアルに描いていると思いました。

毛皮

これは笑ってしまいました

エリナの狡猾な計画が凄い(笑)。欲しい物があるからといってここまで頭が回るとは・・・。
でも、友情が壊れないと良いですけどね。

おせっかいと仕合わせな猫

ジョカンサは自分自身が地球の中心だと思っているのでしょうか?

飼猫のアタブの方が圧倒的に幸福に満ちていると言える気がします。

クリスピナ・アムバリーの失踪

「身代金を払わないなら、奥さんを家族の元へ返す」という脅迫は噴き出してしまいました。そんな脅し文句は現実では多分無いでしょう。

セルノグラツの狼

狼達の声が沢山聞こえたら、普通は恐怖を感じるでしょう。

でも、アマリーにとってはお迎えの声だったという事ですね。

人形の一生

子供の素直な気持ちや気まぐれ、そして残酷さが描かれていると感じました。

誰もモールヴェラの事を悲しまない・・・。

ショック療法

家族と言えども、自分宛のではない手紙を勝手に見るのはダメでしょう。

それにしても、クローヴィスは頭が切れる人ですね。でも、彼が言った事をしっかり実行したバーティも凄いと思います。

七つのクリーム壺

う~ん。
正直な所、他の話のインパクトが強すぎて、この話の存在感をあまり感じませんでした・・・。

簡単なまとめ

怪奇小説が好きだという方は是非とも本書を読んでみてほしいです。
正直ピンと来ない話はありましたが、それでも殆どの話が面白く、「そう来るか!」と展開や結末を楽しむ事が出来ました。

私はやはり「アン夫人の沈黙」がガツンと来ました!
1話目だからというのもあるかもしれませんが、とにかく凄い! 突拍子もない展開がある訳ではありませんが、むしろ最低限の描写だからこそ、恐怖感を高める事が出来た作品と言えるでしょう。

本当に素晴らしい作品を読んだ気持ちになりました。
系統を問わず怖い作品が嫌いでないのなら、1度は読んだ方が良い作品だと私は断言します。

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ABOUT ME
霜柱
ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴いたり、宝塚(全組観劇派)を観たり、スイーツ(特にパフェ)を食べる事が好き。これらを主に気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿中。