曽野綾子『本物の「大人」になるヒント』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
日本の作家、曽野綾子さんの『本物の「大人」になるヒント』(PHP文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
有益で為になる言葉が多い
秀逸な言葉がズラリです。読んでいて有益で為になります。曽野さんはオブラートに包まずに直截的に書いていますが、それが良いんですよね。
確かに中には結構厳しい事も書かれていました。でも、決して説教調ではなく親身になって語っている様に私は感じるのです。
断定的に書いている様な部分もありますが、それは決して「これが出来ない貴方はダメな人」という訳ではなく、「それが出来ないと精神的な成長の機会を逃す事になり、人生に厚みが出ないかもよ」と言っている気がします。
私はまだまだ曽野さんの仰る本物の「大人」には程遠い・・・。
果たして、それになれる日が来るのでしょうか?
印象に残った箴言
正直な事を言うと、ありすぎて困っています(笑)。どれもこれも突き刺さる言葉ばかりだったのです。それを全部引用したいですが、それは流石にマズい。
ですので、特に突き刺さった/胸に沁みた箴言を幾つか引用します。
私たちは、職種や、立場や党派で、ユメ、人を決めてかかってはいけない。充分に疑って、あらゆる善と悪が共存する姿を眼をこすってとくと見極めねばならないのである。
職種とか肩書ってある意味、「この人はこういう人だろう」と予想しやすいものだと言えます。ですが、同時にその人自身がどういう人なのか?という事に対して判断をぼやけさせる気もします。
割合は違えど、人間は素晴らしい部分と醜い部分を持っているのです。でも、それを認めるのが特に日本人は苦手な気がします。
非常に難しいですが、相手の事を本当に理解したいと思うなら善い面と悪い面の両方をしっかりと見る力が必要でしょう。
もし我々がささやかにせよ人間としての光栄に満ちた一生を送ろうとするなら、それは受けることではなく与えることを、得をすることではなく損のできる強さを持たせて下さい、と希求することなのである。
「貰えるものは貰いたい」「出さずに済むならそうしたい」と思う事自体は誰にでもあるでしょう。私もあります。
ですが、自分が受ける(貰う)事ばかり考えている人は、人間として成熟はしないと言って良いでしょう。勿論、損をただすれば強くなる訳ではありません。
損をしても、それを受け入れる器、動じない強さを持つ事が精神の円熟に繋がると言えるでしょう。
自分の弱点をたんたんと他人に言えないうちは、その人は未だ熟していない人物なのである。
自分の欠点や弱点を言うのが恥ずかしかったりするのは分かります。私も昔はそうでした。
でも、今は「私にはこんな欠点や弱点があります」と言う様にしています。
昔より熟したとは思いませんが、ただ、以前よりかは気が少しは楽になったかもしれません。
「こうしたら、どうなる」という判断が、根本的にぶっ壊れている人もまた、人間ではないことも確かである。
なかなか厳しい言葉です(笑)。でも、実際にこういう人っていますからね・・・。
「こういう事をしたら、こういう結果になるだろう。だからやろう(止めよう)」と常に考えるのは大変なので出来ない時があっても仕方がありません。
しかし、そういう判断が普段からほぼ出来ない/しない人は、その習慣が無いので、それを付ける所から始めないといけないですね。
一人の人間の中に、偉大なところと、卑怯なところと、やさしさと、鈍感さが、共存しているのが普通である。ところが弱い人は、相手の中に良さを悪さとを同時に見出すことが怖い。
これはどんな人間にも善と悪が共存している話と通じます。人間は相反する感情や性格を同時に持っている生き物です。
曽野さんは本書に限らず他の作品でも、人間の内面の複雑さを繰り返し説いています。
それ程、人間というのは1つの面からでは判断出来ない、判断してはいけない、という事なのかもしれません。
他人の良い部分と悪い部分を過不足なく受け入れる事が、生きていく上で重要と言えます。
先入観は精神の老化である。
これは耳が痛い(笑)。
私って先入観で物事を判断する事があるので、かなり刺さりました。
例えば、私は若い頃音楽を聴く時、「○○は良いに決まっている」「△△の曲なんて聴かなくてもろくでもない曲だと分かる」と直ぐに決めつけていたのです。
でも年月が経って、聴かず嫌いをしていたアーティストの曲を聴いたら「良いじゃないか!」と思う事が多かったのです。同時にちゃんと聴かずに判断していた自分が恥ずかしくなりました。
先入観って思考放棄が出来て楽な部分がありますが、それが精神に良くないのは言うまでもありません。
同情して手を貸す。(略)しかしこのような手の貸し方が、ことの本質を少しもはっきりさせず、そのことを自ら解決しなければいけない当事者の甘える気分を起こさせることも本当なのである。
これは私も常々思っているのです。困っている相手を助ける事自体は悪くないですが、それが張本人にとって良いとは限らないんですよね。
時には、あえて手を貸さないというのが、後々有効だったという事もあるのです。
この判断は難しいですが、私の経験上、助ける事が必ずしも相手の為になるとは限らないと言わざるを得ません。助けた事によって相手の自立を妨げてしまった事があったので・・・。
他にもまだまだ刺さった箴言があります。
穴掘りや料理の出来ない人、物欲しげな態度をする人に対してはなかなか厳しかったですが、その通りだと思いました。
本書『本物の「大人」になるヒント』は特に〈Ⅳ 精神の鍛え方〉と〈Ⅴ 仕事に対する考え方〉の章が印象深かったです。
簡単なまとめ
曽野綾子節が炸裂していると感じました。
厳しい言い方をしている時もありますが、それは別に「これが出来ない人はダメ人間だ」という事ではなく、「そういう事が出来なかったり気付けなかったりすると、精神的に熟せないかもよ」と言いたいのだと私は思います。
全部がそうだという訳ではないですし、中には「それはどうなの?」と思う事もありましたが、大部分は「この様な事をズバッと言ってくれてありがとうございます」という箴言ばかりだったので、本当に読んで良かった本だと断言出来ます。
「優しい言葉とかオブラートに包んだ言い方ではなく、厳しくても良いからズドンと来る言葉を聞きたい」と思っている人は、本書『本物の「大人」になるヒント』はお薦めですね。
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