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月組公演『グレート・ギャツビー』役ごとの感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

私はこの間『グレート・ギャツビー』の感想を書きました。

今回は役ごとの感想を書いていきます。

役ごとの感想

ジェイ・ギャツビー:月城かなと

本作の主人公でニック・キャラウェイの隣人、ヘンリー・C・ギャッツの息子の役。

まず一目観た瞬間、もう目を引きました。月城さんは勿論新人の頃から、その格好良さや美しさで目を引きましたが、今作ではより引き付ける力が強かったのです。

もう美青年を絵に描いた様な感じで・・・、いえ、それでは褒め足りない程ですね。

ただ、ジェイという役はただの青年ではなく、裏街道とも通じている役なので、言葉の端々にただならぬ者という雰囲気もしっかりと出ていました。

このジェイという役は初演を杜けあきさんが、2回目は瀬奈じゅんさんが演じていました。私はお2人の作品は観ていませんが、ジェイという役は月城さんにかなり嵌まっていたのです。

この役を演じる為に宝塚に入ったのではないかと言っても過言ではないでしょう。

とにかく素晴らしかったです。
この作品は間違いなく月城さんの代表作になると思います。

デイジー・ブキャナン:海乃美月

トム・ブキャナンの妻、ニック・キャラウェイの又いとこ、ジョーダンの親友の役。

トムとは結婚生活が上手くいっておらず、全然充実していない日々を過ごしています。
しかし、ジェイと再会してからあの頃の熱い気持ちが蘇り、今度こそ2人で一緒に過ごそうと決めます。

だがジェイはジョージ・ウィルソンに射殺され、デイジーはトムと共にヨーロッパへ行きます。

恐らく、デイジーはジェイの事がずっと忘れられず、悲嘆に暮れながらジェイの幻を追い続ける日々を過ごすでしょう。

表面上はモノやお金に囲まれ何一つ不自由が無い生活を送っている様に観えますが、デイジーにとってはそれらがあるからと言って幸福ではないという事なのかもしれません。

金髪姿がとても似合っており、大人っぽい雰囲気で素敵でした。
また、海乃さんはハッピーで明るい役もこなせますが、今作のデイジーの様な薄幸な役の方が向き、よりリアリティを出せている気がします

トム・ブキャナン:鳳月杏

デイジー・ブキャナンの夫の役。

傲慢さがとても出ているキャラクターです。もしかすると原作よりもその度合いが強いかもしれません。
実際にこういう人はいそうですが、いたら嫌う人が多そうです。私も正直嫌です(笑)。

ピガール狂騒曲』で鳳月さんが演じたアンリにキャラクターの性質は似ています。しかしトムはアンリからコミカルさを抜いた感じなので、親しみやすさはありません。

また、トムはデイジーにプレゼントを沢山送って、やや強引に結婚しましたが、デイジーだけを愛している訳ではありません。浮気をし色んな女に手を出しています。

最低ですね(笑)。

でもそんなクセのあるキャラクターでも、鳳月さんが演じると格好良く観えるのです。羨ましいですね(笑)。

好感の持てる役ではありませんが、トムがいなかったら毒が無い気の抜けた作品になっていたと思います。

この難役を鳳月さんは見事に演じていました

ニック・キャラウェイ:風間柚乃

デイジーの又いとこで、トムの友人、ジェイの隣人の役。

月並みな言葉になってしまいますが、風間さんの演技の上手さよ!
とても自然体で力んでおらず安定した演技力なのです。

演技だけでなく、歌唱力も抜群です。

出番がとても多く、見せ場もありました。特にゴルフをする場面ではちょっとコミカルで面白かったです。
ただ、これだけ出番が多いと台詞を覚えるのがとても大変だったと思います。

風間さんは実力だけでなく、見た目もより洗練されてきました。
いつもという訳ではありませんが、時折安蘭けいさんを彷彿とさせる表情をする様に観えるのは私だけでしょうか?

現時点で風間さんは研9ですが、もう既に研10以上の貫禄がある気がします。

月組の舞台に於いて、風間さんの演技力がとても重要になるのは間違いありません。

ヘンリー・C・ギャッツ/運転手:英真なおき

英真さんは2役を演じています。
ヘンリーはジェイ・ギャツビーの父親の役。運転手というのはタクシーの運転手の事。

まず、英真さんはタクシーの運転手として1幕目の最初に登場します。
ニックを乗せて案内しているのですが、運転手の出番はここだけです! それ以降は全く登場しません。

しかし、とても少ない場面でもしっかりと観客に印象付けたのは、もう流石です。また、登場した時の安心感も英真さんならではだと思います。

ヘンリーは2幕目の終わりの方(ジェイの葬式)で、これもまたちょこっと出てくるだけですが、ここでも強いインパクトを与えてくれました。この場面は英真さんの場面と言っても過言ではありません。

ちょっと訛りのある喋り方も良かったですし、息子に対する愛情がとても伝わってきました。

英真さんのファンからすると、あまりの出番の無さに不満があるかもしれませんが、逆にこれだけしかない出番でここまで観客に印象付けるのは容易な事ではありません。

私が申し上げるまでもありませんが、英真さんは観客に魅せる力がそれだけあるという事なのです。

ただ気になった事があります。
雪組公演『CITY HUNTER』の全日程を休演した後、今作で復帰しました。しかし、以前よりもお痩せになっている様に観えました。お身体の調子は元に戻ったのでしょうか?

英真さんには末永く活躍してほしいので、お身体を大事にしながら今後も舞台に立ってほしいです。

マイヤー・ウルフシェイム:輝月ゆうま

暗黒街のボスの役。

いかにも只者ではない、裏の世界に生きているボスという雰囲気が出ていました。
月組にいた時からそうでしたが、より貫禄が増し男らしくなっているのが素晴らしかったです。

また、今作では声が一樹千尋さんの様だったのが印象的でした。第2の一樹さんの様になるでしょうか?

マイヤーは原作ではやや田舎っぽい喋り方をしていましたが、宝塚版ではそういう感じはありませんでした。
人物像もより冷酷に描かれていて、他の登場人物と一線を画しているのが特徴的です。

ただ、詳しい台詞は忘れましたが「友情は生きている間だけの物」というのは、私は賛成です。

これからの輝月さんの活躍がより楽しみになります。今後も大劇場の作品に多く出演してほしいです。

ジョージ・ウィルソン:光月るう

ガソリンスタンド経営者の役。

このジョージという男性はうだつが上がらない人物で、ジェイやトムとは真反対の生活を営んでいます。
気が弱く、妻のマートルとも上手くいっていません。

しかしこの気弱なジョージが2幕目になると結末を左右する存在になります。

妻のマートルが轢死された後、狂ったように必死にマートルを轢いた人物を探そうとします。

そして、最後にジェイの元に辿り着いた後、ジェイを射殺し自身も拳銃自殺します・・・。

ジョージは果たして自身の人生で少しでも幸せを感じた事はあったのでしょうか?
とても救われない終末を迎えてしまいました。

この難役を光月さんは見事に演じ切っていました

特に2幕目ではソロで歌う場面がありますが、犯人に対しての憤りや憎しみがとても込められていて怖かったです。
それと同時に光月さんのソロを聴けたのは、とても嬉しかったです。

最後のジェイを問い詰める場面は、息を吞む程恐ろしく、「光月さん、実際にそういう事をやった事があるのでは(笑)?」という程、迫真性がありました。

このジョージという役は、光月さんの代表作になるといっても言い過ぎではないでしょう。

ヒルダ:夏月都

デイジーの代からの乳母の役。

正直、物語上必ずしも必要な役という訳ではありませんが、所々で良い味を出していました。

今作で思った事は、声の質やトーンが灯奈美さんが『ベルサイユのばら-オスカル編』で演じたマロングラッセを彷彿とさせた事です。
マロングラッセはオスカルの乳母であり、共通点は乳母という事だけで全然違う作品ですが、似通う物がある様に感じました

ヒルダという役は原作には登場せず、宝塚版のオリジナルの役です。
もしかすると、役作りをする上で参考にした可能性はありますね。

今作で夏月さんは宝塚を卒業します。
月組の副組長に就任して約4年ですが、月組の優しい良きお母さんという雰囲気で、月組の舞台を締めていました

卒業されるのは本当に寂しいですが、退団後も幸せな人生を歩む事を祈っています。

エリザベス・フェイ:白雪さち花

アンソニーの妻で、デイジー、ジュディ姉妹の母親の役。

ちょっと気の強い性格ですが、しっかりとしており夫のアンソニー共に家を支えています。

エリザベスはデイジーを自身の家柄に合う人と結ばせようとします。そこにジェイが現れますが、エリザベスはジェイの過去を調べ、経歴や出生に偽りがある事を見つけました。
当時、軍に所属していたジェイに対して、軍に圧力をかける事も出来ると脅し、デイジーに2度と会わない様に忠告します。

ここだけ見ると権力を盾に取った嫌な女に見えるかもしれませんが、家の事を考えたらそうせざるを得ないのでしょう。

ジェイとは敵対という訳ではありませんが、主人公の恋を阻む難しい役を見事に演じていました
上乗の出来栄えと言って良いでしょう。

警視総監/ニコルソン市長:千海華蘭

千海さんは2役演じています。

まず、1幕目の最初の方の警視総監の役でギャツビー邸のパーティに登場します。

この時代のアメリカは禁酒法時代なので、お酒を飲んだら犯罪者として扱われてしまいます。

しかし、本来取り締まる側なのに、パーティに参加している人達と一緒にお酒を飲んでしまっています(笑)。

取り締まろうとした部下に対しては「クビだ!」みたいな事を言って、傲慢な態度を取ったりしていますが、千海さんが演じるとどこか愛らしくも観えるのです。

打って変わってニコルソン市長は真面目な役でした。

千海さんも色々な役をこなせますが、どちらかというとコミカルだったりクセのある役の方が魅力をより発揮出来ると思います。

アンソニー・フェイ:春海ゆう

最高裁判所の判事、エリザベスの夫で、デイジー、ジュディ姉妹の父親の役。

出番はあまり多くなく、他のキャラクターと比べるとあまりクセのない人物ですが、ちょっとデイジーに甘い優しい父親という雰囲気が出ていました。

ラウル:夢奈瑠音

ギャツビー邸の運転手。

ジェイの運転手として働いていますが、実は裏の顔は暗黒街で働いている人物でもあります。

月城さんが演じたジェイもそうでしたが、ラウルもパッと見は普通そうですが、ややただならぬ雰囲気を出していたのが良かったです。

1幕目ではソロで歌う見せ場があり、観客に印象付けたと思います。

ジョーダン・ベイカー:彩みちる

デイジーの親友で、プロゴルファーの役。

ジョーダンはしっかり者で独立心がある女性です。
また、ニックに気がある様なのが伝わってきました。

さんは本当にどんな役もこなしますね。何故こんなに色々な役をこなせるのでしょうか?
その秘訣を聞いてみたいですね。

ただ、とても上手く印象に残ったのですが役不足な感じもしました。

原作はもう少しクセのある役柄でしたが、宝塚版では原作と比べるとそれが少なかったので、その様に改変してしまったのはやや残念でした。

マートル・ウィルソン:天紫珠李

ジョージ・ウィルソンの妻で、トム・ブキャナンの愛人の役。

もう見た目からしてフラッパーという雰囲気が出ていました。
言動も自分勝手でトムと浮気をしています。

マートルを観る度に「何故ジョージと結婚したのか?」と思ってしまいます。ジョージもマートルも全く幸せではない事が伝わってきました。

長身とハッキリしたお顔立ちで、目を引きました

とても天紫さんに似合っていた役だと思います。

ビロクシー:礼華はる

ギャツビー邸の執事の役。

ビロクシーも同じく、ジェイやラウルと共に暗黒街で働いてもいます。

今作では台詞や見せ場が多く印象に残りました。

実は個人的に今作『グレート・ギャツビー』で1番良かったのが礼華さんなのです。

背が高くスラっとしており、小顔でとてもスタイルが良く目を引きました
段々垢抜けてきて素敵になってきています。

今後の月組の男役として非常に重要なポジションに付く事は間違いないでしょう。

礼華さんの活躍から益々目が離せなくなりました。

エディ・ニコルソン/ルディ:彩海せら

彩海さんは2役演じています。
エディはニコルソン市長とマーゴットの息子で、デイジー、ジュディ姉妹のいとこの役。
ルディはジーグフェルド・フォリーズの歌手の役。

まずエディは1917年の回想の場面で登場します。
眼鏡をかけており垢抜けていない雰囲気が可愛らしかったです。台詞も多く見せ場があったと思います。

ルディは2幕目の最初で登場します。
実は私は彩海さんの歌はハッキリ聴いた事が無かったので、今回彩海さんの歌を聴く事が出来て良かったです。

他の方々が仰る様に上手いですね。

彩海さんは3拍子揃った実力派ですが、今後は歌の場面でもっと本領を発揮してほしいと思います。

また、月組に異動してから初の本公演ですが、もうしっかりと月組に馴染んでいました。

キャサリン:白河りり

マートルの妹の役。

姉のマートルと同じでフラッパーで、性格もマートルに似ています。
ただ、キャサリンの方が無邪気さと可愛らしさがあった気がしました。

白河さんも以前より垢抜けて、綺麗になってきているので、今度は正当な宝塚らしい女性を演じてほしいですね。

ジュディ・フェイ:きよら羽龍

アンソニーとエリザベスの娘、デイジーの妹、エディのいとこの役。

とても可愛らしい無邪気な少女という雰囲気が出ていました。
歌を歌う場面もあり、とても上手く綺麗な歌声だったので聴いていて心地よかったです。

見せ場はほぼ1917年の回想の場面のみですが、それでも充分に持ち味や実力を発揮し、観客に印象付ける事に成功していたと思います。

お芝居の力が益々増している月組

今作『グレート・ギャツビー』でもお芝居の月組】をしっかりと堪能出来ます。
少なくとも私が観劇をした際は、上級生から新人に至るまで、イマイチなお芝居をしている人はいなかったと言って良いでしょう。

それ程、月組の演技力は他組を凌駕しているのです。

また、月組の御曹司と言われた暁千星さんは星組に異動したため、今作からもう月組の作品には出演していません。
さんがいない月組は果たしてどうなるのか?と思っていましたが、何一つ不安要素は無く、しっかりと舞台は成立していました。

勿論これはさんがいてもいなくても変わらないという意味ではありません。
やはり、月組の舞台に出ていない事には寂しさを覚えました。しかしそれを凌ぐ程の充実した舞台力が月組にはあったという事です。

風間さんは3番手に昇格し、より出番増えましたし、雪組から異動してきた彩海さんは既に月組に馴染んでいます。

今後の月組がどの様に発展していくか、楽しみで仕方がありません。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。趣味はハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴く事、宝塚(全組観劇派)を観る事、美味しい物を食べる事です。これらの事を気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿しています。