皆様こんにちは、霜柱です。
私は先日、『うたかたの恋』の感想を書きました。
遅ればせながら、今回は役ごとの感想を書いていきたいと思います。
役ごとの感想
ルドルフ:柚香光
オーストリー帝国皇太子、フランツ・ヨーゼフとエリザベートの息子、ジャン・サルヴァドルとフェルディナンド大公のいとこの役。
もう出だしの大階段に登場した時から目を惹きました。ルドルフは何人もの方々が演じていますが、間違いなく柚香さんに似合っている役柄と言えます。
ルドルフはオーストリー帝国の皇太子ですが、保守的で帝政の古い決まり事に反対しながらも、それらにがんじがらめになっています。
思い通りにならない苛立ちや苦悩、悲しみなどを柚香さんは繊細に表現していました。
また、酒を呑んでやさぐれている場面がありますが、そんなお姿も素敵でした。
今作は間違いなく柚香さんの代表作になると言えるでしょう。
マリー・ヴェッツェラ:星風まどか
ヴェッツェラ男爵夫人の娘の役。
星風さんのマリーは純な少女でありながらも、どこか大人の雰囲気を纏っている様に観えました。
キャラクター的には『ロミオとジュリエット』のジュリエットに似ている気がします。
無邪気さを自然に出しながらも、子供っぽくはなっていなかったのが流石だと思いました。
このマリーという役は結構難しく、演じられる人が限られる気がします。若すぎてもルドルフと対等に渡り合えないですし、だからといって学年が上の人が演じてもバランスが崩れる気がします。
星風さんはトップ娘役になって、今年(2023年)で5年目を迎えますが、未だにこの様な役を演じる事が出来るのは強みだと言えるでしょう。
ジャン・サルヴァドル:水美舞斗
ルドルフのいとこで自由主義者の役。
ストーリーテラーの役目も果たしています。役柄的には『フィレンツェに燃える』のレオナルドに似ていると思います。というより結構被る気がしました。
脚本を書いたのがどちらも柴田侑宏先生だからかもしれません。
ただ、出番や台詞はそれなりにありましたが、正直あまり印象に残らない役の様に感じました。
もう少し良い意味でのクセがあると良いかもしれません。
ジェシカ:美風舞良
マリーの乳母の役。
マリーにやや押され気味な、ちょっと気の弱い性格の乳母を丁寧に演じていました。メイクも乳母っぽく見える様に仕上げていたと思います。
ロシェック:航琉ひびき
ルドルフの老従僕の役。
登場はしても台詞は最低限しか話しません。基本無口です。
ただ、マリーと2人でいる時にエリザベートが帰ってきてしまった事に気付いて、オロオロしながらマリーを隠れさせようとした行動は、観客からの笑いを誘っていました。この場面は印象に残ってますね。
今回は老従僕という役なので、その様に見えるメイクや髪型をしていました。その影響が大きいと思いますが、今回の航琉さんのお姿は元専科の星原美沙緒さんを若くした感じに観えたのです。
今後、航琉さんがどの様な変化を遂げていくかが楽しみです。
ゼップス:和海しょう
ウィーン新報主筆の役。
出番が多く、ルドルフと共にオーストリー帝国を新しい時代へ導こうとします。
しかし、陰謀を企んでいると思われてしまい警察に捕まってしまいます。
和海さんの声はとても朗々としっかりしていました。台詞を話しているのに、歌っている様な心地良さを感じたのです。聴き惚れてしまいました。
今後もその特性を生かした役柄に巡り合えると良いですね。
エリザベート:華雅りりか
オーストリー帝国皇后、フランツ・ヨーゼフの妻、ルドルフの母親の役。
台詞のある場面はそんなに多いという訳ではありません。
しかし、息子のルドルフの考えを支持し、また自身は良い母親ではなかったと述べる場面は心に刺さりました。
声も落ち着いて威厳のある感じでした。
今作を最後に宝塚をご卒業した華雅さん。
当初はスター路線でしたが、いつの間にかそこから外れ別格として活躍していました。
華雅さんの大人っぽく色気のあるお姿は、とても魅力的でした。そのお姿がもう観られないのは寂しいです。
ご卒業後もお幸せな人生になる事を祈っております。
フリードリヒ公爵:羽立光来
陸軍大臣でフェルディナンド大公の伯父の役。
甥のフェルディナンド大公にも、敬語を使って話しているのが特徴的な役柄です。
パッと見た感じは優しそうな雰囲気ですが、フランツ・ヨーゼフと同じく、昔の風習や体制に拘っています。人当たりは良さそうですが、実は今作で1番クセがあり、敵に回すと怖いタイプかもしれません。
羽立さんはこの役を隙の無い堂々とした姿で、見事に演じ切っていました。
やはり羽立さんの舞台姿は安定感と安心感をもたらしますね。
フェルディナンド大公:永久輝せあ
ルドルフのいとこでフリードリヒ公爵の甥の役。
ジャンと同じく新自由主義の考えを持っています。しかし伯父であるフリードリヒ公爵には理解されない状態です。
最後はルドルフを逮捕しようとマイヤーリンクの別荘にやってきますが、それはフェルディナンド大公の本心ではありません。ルドルフと2人になった時、逃げる道を教えます。
フェルディナンド大公もまた、ルドルフと同じ様な苦悩を抱えています。自分の意志を捨てて行動しなければならない辛い思いを繊細に表現していました。
フランツ・ヨーゼフ:峰果とわ
オーストリー帝国皇帝、エリザベートの夫、ルドルフの父親の役。
古い体制に拘り新自由主義の考えを断固として受け入れません。
息子のルドルフの考えや気持ちを全く理解しようとしない、頭の固い父親を威厳と迫力を持って見事に演じ切っていました。
勿論、フランツにはフランツなりの考えがある事は充分に承知です。何でもかんでも自由にすれば良いとは思いません。
でも、こういう人が父親だったら、間違いなく子供は委縮するかグレるでしょうね(笑)。
ブラットフィッシュ:聖乃あすか
ルドルフの御者の役。
明るいハキハキとした青年という感じでした。
舞台上に登場すると、それだけで舞台の雰囲気が明るくなった気がします。
今作は、結構お堅い役柄が多いですが、その分このブラットフィッシュという役がより生き生きとしている様に観えました。
ブラットフィッシュがいなかったら、舞台はもっと暗い雰囲気になっていたでしょう。
マリンカ:咲乃深音
ザッシェルの店の歌姫の役。
ソロで歌う場面があり、その迫力のある美しい歌声は聴き応えがありました。
そういえば、全国ツアー公演『フィレンツェに燃える』でも、ソロを披露しており観客の注目を浴びていましたね。
以前は花組の歌姫と言ったら音くり寿さんだったと思いますが、今は咲乃さんが歌姫の立場にいる気がします。
今後も歌で更なる活躍が出来ると良いですね。
マリー・ヴァレリー:都姫ここ
ルドルフの妹の役。
あどけなさが残る可愛いお姿が目を引きました。
今作はルドルフとマリー・ヴェッツェラがメインなので仕方がない事だとは思いますが、妹のマリー・ヴァレリーとの絡みももう少し観たかったのですね。
今作を最後に宝塚をご卒業した都姫さん。
ご卒業後もお幸せな人生を歩む事を祈っております。
ソフィー・ホテック:美羽愛
ボヘミア人でフェルディナンド大公の恋人の役。
ルドルフに初めて会った時は、結構畏れ多い態度を取っており、また、あまり世間慣れしていない様にも観えました。
しかし、そのお姿が可愛らしく登場してからは暫く美羽さんを目で追ってしまいました。
美羽さんはどんどん垢抜けていって、より綺麗になっています。今後も色々な役を経て更に活躍してほしいですね。
ミリー・ステュベル:星空美咲
ジャン・サルヴァドルの恋人の役。
このミリーという役も可愛らしかったですが、マリー・ヴェッツェラやソフィーと比べると、1番大人びている感じがしました。
やはり、星空さんは登場するだけで目を引きますね。スタイルも良く華もあるので、本当に期待の娘役だと言えます。
愛希れいかさんに似ていると言われて久しいですが、もう今は全然愛希さんっぽくはないです。
段々と星空さん独自の持ち味と魅力が出てきたという事だと思います。
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