皆様こんにちは、霜柱です。
私は先日、東京宝塚劇場で月組公演『応天の門-若き日の菅原道真の事-』『Deep Sea-海神たちのカルナバル-』を観劇して参りました。
今回は平安朝クライム『応天の門-若き日の菅原道真の事-』(脚本・演出:田渕大輔)の感想を書いていこうと思います。
ミステリー要素のある新鮮な和物
今作は灰原薬先生が描いている漫画、『応天の門』が原作となっています。
2017年に第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞しており、現在(2023年4月時点)も連載が続いている人気の作品です。
菅原道真や在原業平など、歴史で習った人物が登場します。
平安時代が舞台なので当然和物ですが、内容がミステリー系と言うのが特徴です。
主人公の菅原道真はまるで平安版シャーロック・ホームズの様に推理を働かせて、ある事件を解決しようとします。この設定が新鮮でしたね。
月城かなとさんが演じる菅原道真を中心に、「この後の展開はどうなるのだろう?」と夢中になりながら観ていました。
作品全体としてはシリアスな感じで、ちょっと重苦しくなる様な場面もありますが、堅苦しいという訳ではありません。
テンポ良く物語は進み、起承転結もちゃんとしています。ですので、途中で間延びしたり退屈に感じる事は無かったです。
ただ、結末だけ「えっ、遂に犯人が分かったのに追い詰めないの?」と疑問は浮かびましたが・・・。
今作の主役は菅原道真ですが、キーとなるのは藤原家です。ですので藤原家の事について知らない状態で観ると、ちょっと物語が分かりにくく感じる可能性はあります。藤原家の事は学校で習った気がしますが、もうすっかり頭の中から抜けてしまっていたので、観ながら「え~っと、基経は良房の養嗣子で、常行とは・・・どういう関係だっけ?」と頭の中で関係性を繰り広げていました(笑)。ですので、事前に藤原家について知っておいた方が、物語を把握しやすくなると思います。
とは言え、知らなくても充分に楽しめる作品に仕上がっています。
宝塚は当然和物の作品は数えきれない程上演をしていますが、その大部分は主人公とヒロインの愛や恋を謳っていると思います。ですので、今作の様なミステリー系は珍しいのではないでしょうか?
和物が好きという方は勿論ですが、「宝塚は好きだけど和物はちょっと苦手・・・」という方でも今作なら、良い意味で気楽に観る事が出来ると思います。
「是非、もう1回観たい!」と思わせる面白い作品でした。
それぞれのキャラ立ちがしっかりしている
今作『応天の門-若き日の菅原道真の事-』で注目するのは、それぞれのキャラクターの個性がしっかり出ている所です。
印象に残るキャラクターが少なかったり、かと言ってキャラ渋滞を起こしている訳でもない、調度良いキャラ配分がされていたと言えます。
私は原作を読んでいませんが、恐らく原作はしっかりとそれぞれのキャラクターの個性や持ち味を描き活かせているのでしょう。
ただ、それだけではなく演出をした田渕先生が原作の雰囲気やキャラクターの持ち味を損なう事無く手掛けられたからこそ、より良い作品に仕上がったと思います。
田渕先生の手腕が光った作品と言って良いでしょう。
【お芝居の月組】は健在!
月組は【お芝居の月組】と言われて久しいですが、今作でも月組のお芝居をしっかりと堪能出来ました。
もう月組生はお芝居に関しては本当に絶好調!という感じですね。上級生から下級生まで全員役になりきっており、その他大勢の様な役の方でも、ちゃんと役としていて生きていたと言えます。
ですので、月組のお芝居は観ていて飽きる事が無く、「もっと観たい!!」と思わせる程の演技力や、その舞台の世界に引き込む力が尋常ではない程あります。
一体、月組のお芝居力はどこまで飛躍するのでしょうか? 限りが無い気がしますね。
次回の月組の本公演の劇は『フリューゲル-君がくれた翼-』という1988年のドイツを舞台にした作品です。
今回の『応天の門』とはまたガラリと雰囲気が変わりますね。
気が早いですが、次回の作品も楽しみです。
以上が私が『応天の門-若き日の菅原道真の事-』を観た際の感想でした。
演出の上手さやや月組生の演技力のお陰で素晴らしい作品に仕上がったと断言して良いでしょう。
因みに私は先に併演のショーの『Deep Sea-海神たちのカルナバル-』の感想を書きましたが、こちらは辛口になっていますので、もしお読みになる際はその点をご容赦下さい。
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